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鳴海探偵事務所へようこそ  作者: デン
怪しい妻と謎の男
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3/17

ー昼12時16分。


内山が帰り、静かな鳴海探偵事務所。

真っ先に静寂を破ったのは彩花だった。


「ねぇどう考えても浮気じゃん」


「決めつけるな」


彩花は鳴海の席から立ち上がるなり、応接ソファへ移動し、ぼふっと身を投げ出す。


眉間に皺を寄せた鳴海に


「静かに座れ」


と言われたが聞こえない事にした。



「所長、俺もクロかと思います」


「まだ証拠はない」


「私見ていて可哀想になってしまって…」


「私情を挟むな」


立花も浮気を疑っている。黒崎は浮かない顔をして内山の心配をしているようだった。



「明日はどう動きますか?」


立花は自席から応接ソファに移動した。彩花の隣にゆっくりと腰掛けながら問う。


「内山さんのお宅に向かって、蘭子さんが出てくるのを待ち尾行…というような感じでしょうか。」


黒崎もそう話しながらふんわりと彩花の隣に腰掛けた。


大きなソファではあるが、流石に楽な体勢のままだと左右の2人に邪魔になってしまう。


「しょうがないなぁもう…。」


と彩花も苦笑しながら姿勢を正した。


「そうだ。内山の出勤時間に合わせて自宅前に張り込み、調査対象を確認次第尾行でいいだろう。」


「じゃあじゃあ!先頭はあたしで…」


「お前はここの誰よりも顔が広いからバレる。最後尾だ。」


鳴海と彩花のやり取りを聞いていた立花が、くすりと笑った。


「彩花さんは尾行に1番向かないじゃないですかー。ここら近所みんな友達みたいな感じなのに。」


つられて黒崎もふふっと笑う。


「集合は明朝7時。」


「えぇー!まだ2度寝しようとしてる時間だよ!」


「お前は堕落しすぎだ。」


鳴海はこめかみを押さえながら言う。


先程の重い空気が嘘のような作戦会議であった。






6月2日

ー午前7時05分。


「…おはよぉ」


彩花がまだ眠そうな声と共に、集合場所である内山宅周辺に到着した。ヘアセットする時間も無かったのか、下ろしっぱなしのセミロングの髪は寝癖でうねっている。


「彩花さんおはよう。時間がある時に髪直してあげるわね。」


小さく笑いながら黒崎がそう話す。

お願い〜、と目を擦りながらいう彩花に、黒崎がまた笑う。2人のやり取りはまるで姉妹のようだ。


「…5分の遅刻だ。」


鳴海は呆れ顔で言う。

ただし遅刻は想定の範囲内だったのだろう。それ以上のお小言を言うことは無かった。


「まだ蘭子さんが出てきたわけじゃないですし、いいんじゃないですか?」


軽口を言う立花を鳴海はジロッと睨み、返事の代わりに小さな溜息をついた。



「ところで朝食は済ませ…ている訳がないな、その寝癖で。」


彩花の方を向きながら鳴海は言う。

そしておもむろに上着のポケットへ手を突っ込み、何かを手にするとそれを彩花めがけて投げ渡した。


うわわ、と彩花は声を上げながらキャッチし投げ渡されたものを見る。


…コンビニのおにぎりだ。しかもツナマヨ。あたしの1番好きなおにぎり!


「それしかない。だが空腹よりはましだろう。」


と鳴海がぶっきらぼうに言う。


「きゃあああ!神様仏様鳴海さま〜ありがたや〜!!」


「静かにしろ」


手を合わせて拝む彩花に鳴海は頭を抱えるのだった。

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