ダニエル、家を改装したいと思う
シャルルがいる修道院から馬車で帰るダニエルは仕事について考える。
発育不良のヨフギの葉を茶葉として売る。シエルさんはシャルルの付き人が教えてくれたから自分のアイディアじゃないよと笑っていたが、あっという間に茶葉にする魔法の方法などを領地の人間に教えて、ちょっとずつ試作を作っている。もうそろそろ販売も出来そうだ。領地の人達も凄く生き生きしている。
シエルさんの行動力や人脈には頭が下がる。
シエルやご家族の方が貴族の人達にセールスしたり販売できるように掛け合ってくれるので、俺はヨフギの葉の栽培に専念しないといけない。
馬車の窓から領地のヨフギの畑が見える。ダニエルは目を細めて見る。
子供の頃から忌々しいと思っていたけど、今ではよく育てよと思う。手のひら返しが過ぎる。それはシャルルにとってもそうだ。
シャルルに戻ってこいと言ったが断られた。当たり前な気もするし、シャルルにしたらどの面がって感じだろうな。だけど俺が今まで言った言葉の謝罪はして、言葉は受け入れると彼女は言った。そしてうちで取れたヨフギのお茶を飲みたいとも言っていた。
そう考えるとシャルルは大人だよなって思う。
日が傾き始めた頃、ダニエルは家に着いた。生まれ育った、父が死んだ家に。あの事件後、寄り付かなくなったがヨフギの葉の栽培で領地にいないといけなくなった。
「ただいま」
返事は無いけど言ってみた。
もちろん静かだ。
昔はノアがパタパタやってきて「お帰りなさい」って言ってくれただろう。だけど彼女はもういない。あの離れでずっと過ごさないといけない。
シエルさんは「また体調を崩すといけないから」と言っていたが、多分ノアの本性や嘘を出さないため、こうして閉じ込めているんだと思った。
ノアは辛そうだがシエルさんに彼女を出すべきだと強く言えない。いや、言うつもりもない。俺はノアのすべてを知らなかったし、ノアはもうシエルの妻だ。俺はもう、関係ない。
結局、自分の事しか今まで考えていなかったな。俺は。
二人の妹の事を思いながら、家の中に入って階段を昇る。そして思った。
そうだ。ヨフギの茶葉が売れて借金が落ち着いたら、この家を改装しよう。まずは階段を、と。




