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VRMMOのキメラさん〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!?【リメイク版】  作者: 水定ゆう
7ー4:月は何を知っていた?

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◇299 ウサギ病の真実

このオチを書きたいがために、ここまでのフラグを建て続ける。

「って、そうじゃないですよ!」


 ここに来て我に返る。

 そうだよ、そう。私達が知りたいのはそうじゃない。

 なのにMa=ンゲツノミコトさんはキョトンとした顔をする。


「『そうじゃない、だと?』」

「そうじゃないですよ!」


 何にも分かってくれていなかった。私はボケだと思ってた。

 でもこの反応はマジそうで、私はついつい敬語を捨てる。

 フランクな口調になると、Ma=ンゲツノミコトさんに伝えた。


「私達が知りたいのは、ウサギ病のことです」

「『ウサギ病?』」

「そうだよ、ウサギ病だよ!」


 Ma=ンゲツノミコトさんは目を閉じた。

 瞼の向こう側で必死に考えると、“ウサギ病”に付いて検索する。

 忘れていたって言うか、意識していなかったみたいで、何だかなだった。


「まさか、忘れていたのか?」

「『そんな筈はありませんよ。そうだ、忘れていたなどあり得んな』」


 絶対に忘れていた。顔色は変わらないけど、汗を垂らしていそう。

 実際には全く汗を掻いていないんだけど、普通に書いているように見える。

 私達はムッとした表情を浮かべると、Ma=ンゲツノミコトさんを見損なった。


「『ウサギ病とは、風土病のことだな』」

「そうだ。だがそんなこと、この土地で祀られている限り知っていてもおかしく無いだろ。なにを今更」

「『それが今更では無いのですよ』」


 そう言えばも何も、話に脈絡が無かった。

 私達は一度説明した筈で、それを聞き取ってくれた筈。

 なのにこの態度でこの反応。忘れている……って言うのかな? それとも認識とのズレがあったのかな?


 ——まるで、最初からウサギ病なんて知らない——


 みたいに、私は見えてしまった。

 如何してかな? 如何して、そんな風に見えるのかな?

 Ma=ンゲツノミコトさんの表情がそう語り掛けて来るんだよね。


「えっ!?」

「どうした?」

「なにかあったのー?」


 自分一人で納得して、驚いちゃった。

 まさかそんなことあるの? それじゃあれは一体なに?

 私は真実が知りたくて、Ma=ンゲツノミコトさんに言葉を投げる。


「あの、Ma=ンゲツノミコトさん」


 麺と向かってMa=ンゲツノミコトさんを見た。

 声を掛けると、全て把握していたみたいに、私の顔をジッと見つめる。

 目と目が合うと、全て見透かされる。


「『なんです? 我らに用でもあるのか?』」

「はい、あります。あの、そう言うことですか?」

「『ふっ』」


 やっぱりそうだったんだ。

 私は改めて訊ねると、Ma=ンゲツノミコトさんは笑った。

 あまりに不適だったからかな? 私は自分の想像力が怖くなる。


「やっぱりそうだったんだ……」


 言葉の余韻を残しちゃった。

 私は本当の意味で理解すると、凄く悲しくなる。

 だって、ミツキミの人達がやってることって、ただの……


「アキラさん、なにが分かったんですか?」

「実はね……」


 雷斬に訊ねられたので、答えようとした。

 その瞬間、Ma=ンゲツノミコトさんは口走る。

 鋭い真実を突き付けると、言葉を失う。


「『……だ』」


 Ma=ンゲツノミコトさんは口にした。

 その真実はあまりにも残酷だ。

 仕方が無いの一言で片付けようと思えば簡単だけど、私は何だか嫌だった。


「それって本当ですか!?」

「『本当です。これが真実だからな』」


 Ma=ンゲツノミコトさんは決して揺るがなかった。

 頭を抱えたくなるけど、本当にこれが真実なの?

 それじゃあ、一体如何したらいいの?

 そもそも、説明が出来ないよ。そんな残酷な真実、口にしたくない。


「あの、どうしたらいいんですか?」

「漠然としているな」

「でも、漠然としていないとダメだよ?」


 Ma=ンゲツノミコトさんに訊ねた。

 如何したらいいのか分からなくて、先にNightが口にする。

 あまりにも漠然としているけれど、漠然としていないと辛い。


「『無理だな』」


 Ma=ンゲツノミコトさんはバッと口にした。

 鋭い矢が胸を射ると、ドクンドクンと溢れ出す。

 結局神様でも如何にもできない。これはそう言う話題なんだ。


「『無理ですよ。ウサギ病は……な』」


 Ma=ンゲツノミコトさんは追い打ちを繰り出した。

 私達は黙らされると、何も言い返せなくなる。

 この真実、伝えたくないな。帰ってもいいかな?


「本当に無理ですか?」

「『……できなくはないが、そのためにはあの村の人間達を全員滅ぼす必要があるな』」

「それは……ダメだよ」


 Ma=ンゲツノミコトさんは流石に神様だ。

 規格外の言葉を平気で口にすると、頼んだら本当にしてくれそう。


「ちなみに、頼めば本当にしてくれるのか?」

「『もちろんですよ。我らの試練を超えてみせたのだからな』」

「超えてみせたからか……」


 Nightさん、そんなこと頼まないでよね!?

 後、Ma=ンゲツノミコトさんはやらないでね。

 頼んだらやってみせるのは、絶対に違うよ。


「まさか頼んじゃうの!?」

「頼む訳が無いだろ、バカが」

「だよね。よかったー」


 Nightなら本当にやっちゃいそうだった。

 だからホッと胸を撫で下ろすと、安心してしまう。

 って、安心しなくてもいいよね? 安心なんて関係ない。


「どうするのよ? 真実を伝える気?」

「伝えてもいいのかな?」

「別に、その義理は無いわよ。依頼は終わったんだから、引き返したって構わないでしょ?」


 ベルの言い分はとっても正しい。

 私達が責任を負う必要は無い。嫌われるくらいなら、引き返してもいい。

 無理をして、嫌な思いをしてまで、ミツキミの人達を助けるのも違った。


 でもなー、ここまでやったんだけどね。

 軽くオブラートに伝えてあげた方がいいのかな?

 せめて村長さんにだけなら、もしかするとバチッと来るかもしれない。


 私の胸がドクンと波打った。

 きっとこれが最善で、私が思い付く出来るだけの善意。

 善処すると、単純な直感が唸っていた。


「どうする気だ?」

「私? 私は……」


 Nightに問い掛けられてしまった。 

 如何しよう? 何が正解かな?

 そう思っていると、雷斬の目がある。

 

「アキラさん」

「うん、そうだよね。このままにするのは気持ち悪いから、上手く誤魔化して伝えよう」


 私の本心を揺さぶっていた。

 もしかして、曝け出せってことかな?

 私がやりたいのは……このままは気持ち悪いってことだよ。


「本当に伝えるつもり?」

「お前にそんな高等テクニックができるのか?」

「うっ!」


 Nightにズバリと言われてしまった。

 うーん、出来ないことは無いと思うよ?

 でも難しいと思い、私は目が泳いで思考を揺らす。


「それじゃあ一人だけ、一番理解力のある人に伝えるのはどうかな?」

「となると、村長か?」

「うーん、それがいいかもね」


 村長にだけは真実を伝えてもいい。

 でも優しく、オブラートに、出来るだけ傷付けないようにしたい。

 注文が多いかもしれないけど、そうしないと激昂されそうだよ。


「分かった。お前の考えを飲もう」

「ありがとう、Night」

「仕方が無いわね」


 Nightとベルは受け入れてくれた。

 渋々って感じだったけど、結局折れてくれてありがとう。


「Ma=ンゲツノミコトさん」

「『なんです?』」


 私はMa=ンゲツノミコトさんに感謝を伝えた。

 だってここまで色々教えてくれたのは、Ma=ンゲツノミコトさんのおかげだから。

 試練はヘンテコで大変だったけど、無事に乗り越えたって気になる。


「ありがとうございました。またここに来てもいいですか?」

「『ふっ。我らの試練を無事に超えてみせたのですよ? 構わない』」

「ありがとうございます」


 Ma=ンゲツノミコトさんは認めていた。

 まさか本当の試練を超えてみせるとはって顔だ。

 何よりもまた来ることを快く思ってくれてホッとなる。


「それじゃあ、みんな。一旦村に戻ろっか」


 私は前向きに捉えていた。

 全員に声を掛けると、ミツキミに戻る。

 村長さん只一人に真実を伝えることを決め、電子の神様に別れを告げた。

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