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VRMMOのキメラさん〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!?【リメイク版】  作者: 水定ゆう
7ー4:月は何を知っていた?

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◇298 月輪の祝福

祝福という新システム。

「痛たたたぁ……まだ調整が上手く行かないね」

「当たり前だろ」


 【月跳】の制御が上手く行かなかった。

 やっぱり初めてだと難しいよ。

 私は雷斬に肩を借りて、みんなで満月山まで戻って来た。


 それにしても、まさか帰りは普通に山を下山するなんて。

 あの光の道、ずっと出てくれていたらよかったのに。

 意地悪なMa=ンゲツノミコトさんに、私は少しだけムッとなる。


「ですが、ようやく戻れましたね」

「そうね。下山してここまで直接下りられると思ったら、まさか回り道になるなんて、許せないけど」


 ベルの言う通り、ここまでの道のりは遠かった。

 と言うのもただ下山した訳じゃなくて、グルグル回りながら下りた。

 本当、これぞ想像していた峠道で、ちょっとだけ疲れちゃったな。


「でもこれで試練? 達成だよねー」

「そうとは限らないぞ。相手は神だかなんだか知らないが、所詮はAI。いざとなれば反故にして……」


 そんなことしないと思うけどな。

 私は頬をポリポリ掻いてみると、階段を上がった先に神社が待ってる。

 満月神社。Ma=ンゲツノミコトさんはちゃんと認めてくれるかな?

 不安が少しだけ出てしまったけど、変な音が聞こえた。


 パチパチパチパチパチパチパチパチ!


 手を叩いている音? 誰かが拍手でもしているのかな?

 私達は階段を急いで駆け上がった。

 足がもつれそうになるけど、雷斬は的確に合わせてくれる。


「「「えっ?」」」


 飛び込んで来た光景に困惑しちゃった。

 神社の拝殿でずっと立って待っていたMa=ンゲツノミコトさん。

 その人が、神様が私達に拍手を送る。柏手の連続に、ついつい目を疑った。


「な、なんですか?」

「『素晴らしいですね。素晴らしいな。まさか、本当に倒してしまうとは』」

「あ、あれ、伝わってる?」


 もしかして、本当に神様だったのかな?

 AIだからゲームの世界の情報を瞬時に解析しているとか?

 よく分からないけど、称賛してくれているみたいで安心した。

 怒られていないみたいで、ホッと胸を撫でた。


「ああ、これ!」


 私はインベントリを開く。

 白兎の白毛って言うアイテムを取り出そうとする。

 これが証拠になればいいんだけど、大丈夫かな?


「『構わないです』」

「えっ?」

「『眷属を打倒したことは把握している。見せなくてもよいのです』」


 あ、あれ? 本当に証明が必要無いんだ。

 何だか調子が狂っちゃうな。何てことを思うと、Nightは前に出る。

 要するに全部クリアしたんだから、訊きたかったことに答えて貰う。


「それなら、私達の質問に答えて貰うぞ」

「『口にせずとも分かっているのです』」

「ん?」


 もしかして、本当に神様パワーが発動している?

 ソッと瞼を閉じ、Nightの口を閉じさせた。

 それじゃあミツキミで起こっている、ウサギ病の治し方を教えて貰おう。


「それじゃあ!」

「『動かなくてもよい』


 つい衝動で動いてしまった。

 だけどMa=ンゲツノミコトさんに制される。

 やっぱり全部分かっているんだ。私達は黙っていた。


「『馳せる気持ちは分かっていますよ。貴女達に満月の祝福を授けよう』」


 Ma=ンゲツノミコトさんは何か勘違いしていた。

 でもそんなこと気にしていないみたいで、サッと腕を出す。

 手のひらから光りが溢れると、神々しい光が私達に注がれた。


 とても心地がよかった。温かな光で、温もりがある。

 太陽とはまた違う、それこと月だから出せる何か。

 優しさを受け取ると、光が私達を包む。あ、あれ? 何だか思ったのと違うな。

 私達が教えて欲しかったのは、もっと別のことなんだけど、伝わっていない、とか?


「祝福?」


 一体何のことを言ってるのかな?

 私達は動揺すると、急にアナウンスが鳴った。

 すると目の前にウィンドウがポップアップして、見慣れない用語が表示される。



——クレスト獲得! <【満月の祝福】>を獲得しました——



 ・・・な、なにこれ? 一体何を貰ったの?

 サッパリ分からないけど、何だか凄そう。

 って言うか新要素だよね? こんなのステータス画面には無かった。


「な、なにこれ?」

「こんなのあったっけー?」

「私の記憶にはありませんが」

「Night、黙ってるってことは知ってるのよね?」


 確かにNightだけが何故か黙っていた。

 もしかしなくても知っているのかな?

 顔色を窺うと、「マジか?」って顔をしていた。これ、知らないんじゃなくて想定外だったみたいだ。


「Night、どうしたの?」

「いや、これはクレストだな」

「クレストってなに?」


 全然知らない新要素が飛び出した。

 私達はみんな揃ってポカン顔をする。

 そんな中、Nightだけは淡々と説明した。


「アップデートで追加された新要素だ」

「新要素なの?」

「隠し要素でもあるな」

「隠し要素!?」


 それは知らない訳だよ。Nightがこんな顔するんだもん。

 それで、クレストってなに? 一体何をしてくれるの?

 私達は期待を寄せる中、NightはMa=ンゲツノミコトさんを見た。


「本当にいいのか?」

「『はい。これが我らの試練を超えた人間達への褒美だ』」

「褒美か……ふん」


 いやいや、何勝手に分かった顔をしているの?

 こっちは全然知らないから、説明待ちなんだよ?


「Night、クレストってなに?」

「クレストは特別な条件、それこそお前の【キメラハント】や隠しダンジョン以上の超低確率で手に入れることができる称号のようなものだ」

「「「称号?」」」


 全く知らない要素が飛び出す。

 “称号”って一体なんのこと?

 私達の視線がNightに向けられる中、簡潔にクレストの説明をする。


「クレストを得ることで、特定の条件下においてだが、様々な効果が発揮される」

「つまり、永続効果ってことー?」

「永続効果であり、自動発動効果でもある」

「……分からないけど、凄そうだね」


 ごめんなさいだけど、付いて行けなかった。

 私は考えることを頑張ったけど、最悪諦める。

 キョトンとした顔をする中、Ma=ンゲツノミコトさんに頭を下げる。


「ありがとうございます、Ma=ンゲツノミコトさん」

「『いや、我が眷属を倒したのです。祝福を得るに相応しいぞ』」

「ありがとうございます、なんだか分からないけど、頑張ってみます!」


 Ma=ンゲツノミコトさんは私達を本当に称賛してくれた。

 しかもちゃんといいものをくれたみたいで、凄く嬉しい。

 Ma=ンゲツノミコトさんも何処となく嬉しそうで、私達はよく分からない凄いものを貰って嬉しかった。

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