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VRMMOのキメラさん〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!?【リメイク版】  作者: 水定ゆう
7ー3:月の試練は何を得る?

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◇294 月のウサギ3

狙いはアキラ、分かってるね!

「と言う訳だ。行くぞ」


 Nightは指示を出した。

 それを受けてか、フェルノは地面を蹴る。

 全身を竜の鎧に身を包むと、拳を振り切った。


「おりゃぁ!!」


 ツキトエは耳をピクピクさせる。

 瞬時にフェルノの動きを読み切っちゃう。

 スッと首を捻って避けると、拳は宙を切った。


「うっそ!? 奇襲だったに避けるのー」

「それだけ反応がいいんでしょ?」


 ベルは弓を引いた。矢をパンッ! と音を立てて射る。

 ツキトエの耳がまたピクピク動いていた。

 矢を後ろ脚で蹴り落とすと、バキッ! と地面に落ちて折れた。


「やっぱりダメね……でもよ!」

「雷流剣術—氷柱針!」


 刀の切っ先を突き出した。まるで氷柱のよう。

 鋭い一撃を繰り出すと、これには対応が間に合わない。

 もしかして行けるかも? そう思った瞬間、ツキトエはウサギの歯を見せる。


「キャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」


 喉を震わして鳴き喚いた。

 耳が痛くてたまらない中、目の前で喰らった雷斬の体が固まる。

 完全に硬直しちゃうと、私は急いでツキトエの背後に回り込む。


(ヤバいよね、急がないと)


 ツキトエの背後に回り込もうとする私。

 一応こっちに気が付いていないみたいで、陽動が上手く行ってる。

 注意を引いてくれている中、動けない雷斬にベルが一発渇を入れる。


「なにやってるんだ!」


 って、銃の引き金を引いた!?

 バンッ! と音を立てて、もの凄い速さでゴム弾が放たれる。

 背中にぶち当たると、雷斬の硬直が強制的に解かれ、ツキトエの攻撃を喰らう前に避けた。


「ありがとうございます、Nightさん(ガキン!)」


 刀を使って上手く蹴り技を受け止めた。

 流石に雷斬の刀だと記述に追い付いていないみたい。

 プルプル震えていて、とっても頼りなかった。もう少しだけ待っていてみんな。


「それでNight、いつになったらアキラは仕掛けるのよ」

「そう言えばー」

「もう少しだ。多分な」


 ううっ、みんな怒らないでよ。私もツキトエの後ろに回り込む。

 音を立てても大丈夫。でも気配を悟られたらダメ。

 意識を研ぎ澄まして、何とかツキトエの背後を奪うと、私は呼吸を整える。


(よし。後は……チャキン!)


 Nightの作ってくれた短剣。それともう一本用意した短剣。

 二本構えると、ツキトエの背後を取る。

 ユックリ音を消して近付くと、ツキトエは姿勢を低くした。


「雷斬、前脚が来るわよ!」

「前脚ですか。では……」


 雷斬は刀をスッと引いた。

 後ろ脚は最大の脅威だけど、前脚はそんなことない。

 多分攻撃力はそこまで無くて、前脚を切ることを選ぶけど、ツキトエがそんなにバカじゃない。


「プギャァッ!!!」


 雷斬がツキトエの前脚を切ろうとした。

 その瞬間、ツキトエも後ろに飛んだ。

 危ない所で、私は距離を同時に取ると、そのまま抱き付いた。


「それっ、もう逃がさないよ!」


 私は両足を使ってガッチリホールドする。

 体幹を鍛えておいてよかった。そうじゃないと、こんなの出来ない。

 突然私が現れて、ツキトエもみんなもビックリしている。


「プギャァッ!?」

「「「アキラ」」さん!?」

「ふん。やれ、アキラ!」


 ツキトエの動きが一瞬だけ固まった。何が起きたのか分かってない。

 みんなの顔も驚いている。凄く面白いけど、Nightだけは違った。

 ニヤッと笑うと、銃口を空に向け、一発軽快にバン! と撃った。


「ごめんね、その耳を貰っちゃうね!」


 クルンと短剣を逆手に持ち替えた。

 そのままツキトエの耳の中に突き刺すと、鼓膜を貫通する。

 ツキトエの聴覚を奪い、ダメージを大きく当たると、当たり前だけど痛みで暴れ出した。


「キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!!」


 ツキトエが激しく体を動かした。

私は簡単に引き剥がされると、地面を転がる。

力任せにふっ飛ばされて、地面をゴロゴロさせたれ。


「い、痛いよー。でも、きっとこれで」


 ツキトエに反撃されちゃったけど、全然構わない。

 これくらいされるのは予想していて、私はすぐに体を起こす。

 代わりにツキトエを睨み付けると、何も聞こえなくて耳がシナシナにへたっていた。


「キュァィ? キャッキャッ!?」


 耳が聞こえないせいで、感覚が大きく狂わされていた。

 酷いことをしちゃったのは分かる。でもこれくらいしないと勝てない。

 何たって、ツキトエはとてもいい耳を利用して、私達の動きを先読みしていたんだ。


 アレがある限り、私達の攻撃は多分通らない。

 それ所か、時間を掛けさせられるだけで勝ちに直結しなかった。


 私も本当はこんなことしたくない。

 そんな気持ちはあったけれど、ツキトエには大ダメージだったみたい。

 自慢の耳を奪われると、方向感覚を完全に狂わされて、アタフタしていて可愛い。


「どうやら勝負あったみたいだな」

「Night!」


 Nightが私に声を掛けた。

 もしかしなくても、私がやろうとしていたことは分かっていたみたい。

 そんな口振りについつい笑っちゃった。


「まさか本当にやるとは思わなかったぞ」

「えへへ。でも上手く行ったんだよね?」

「見ての通りだ」


 ツキトエは暴れまくっている。冷静じゃない。

 フェルノや雷斬は簡単に避けちゃっていて、攻撃は全て空を切る。


「お前の手柄だな。このまま一気に終わらせるぞ」

「うん」


 後はHPを削るだけで終わりそう。

 そんな甘い考えを抱いていると、ツキトエはクルンと振り返る。

 もしかして、私のことを睨んでる? 何だか目が合うと無性に怖い。


「これって、私のことを見ているよね?」


 自然と体勢を立て直した。

 ギュッと拳を握ると、ツキトエは私のことを睨んでいる。

 何だか嫌な予感がするな。……気のせいだといいんだけど。


「シュー―――――――――――――――」


 空気が抜けるような音がした。

 しかも頬に含んで、喉を唸らせるような鳴き声。

 もしかしてツキトエの声? これって……


「マズいな。相当怒らせたらしいぞ」

「えっ!?」


 そう言えば動物番組で見たことがある。

 ウサギって威嚇の時にこういう鳴き声を出すらしい。

 ちょっとだけエフェクトが付けられて、加工されているみたいだけど、なんだか嫌な予感がする。


「一旦距離を取るぞ」

「う、うん」

「さぁ、さっさと逃げるわよ」


 私達は一旦距離を取ろうとする。

 でも全然ダメで、体が動かない。

 な、なんで? そう思ったけど、ドンッ! と地面を叩く音がして振り返り、ツキトエが居ないことを確認した。


「あ、あれ? ツキトエは?」

「上だよー、アキラー!」

「上?」


 私は頭上を見た。

 綺麗な夜空。月が浮かんでいる。

 光に照らされると、ツキトエが舞っている。


「えっ、待って、これ、私を狙ってるよね!?」


 ツキトエが跳び上がった。

 私のことを睨みつけていて、蹴りを繰り出そうとしている。

 逃げたい。けど逃げられない。そんな速度感で、私の体は動かなかった。

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