◇293 月のウサギ2
とんでもなく強い!
「あ、危なかった……よ」
私は何とか躱せた。危く即死だった。
あのモンスター、如何してこんなに強いの?
これが月の、月輪の試練なの? 難易度が高過ぎてヤバいよ。
「大丈夫ですか、アキラさん」
「う、うん。心配してくれてありがとう」
雷斬は素早く私の隣にやって来た。
心配してくれて、白いウサギのモンスターを牽制する。
フェルノが一人で注意を引いてくれるけど、それも限界が近いよ。
「心配している暇ないわよ」
「ベル!」
「そもそもあのモンスターはなんなのよ!」
ベルは弓を引いていた。矢を連続で射ると、フェルノは適度に避ける。
モンスターには命中した。でも、全部弾かれる。
普通に後ろ脚でへし折られると、ムカついていた。
「そうだな。あのモンスターは一体……ん?」
Nightもひたすら考えている。だけど答えが出ない。
情報が無いから仕方ないけれど、急に眉根を寄せる。
何処か痛いのかな? そう思ったら、頭の中に情報が流れ込んだ。
固有名:月兎使
条件:月輪の試練を受ける。
説明:満月命の試練を受けることで現れる月の使者。月の眷属であり、高い身体能力を誇る。二足歩行で移動することができ、発達した後ろ脚と強靭な聴覚が特徴的である。
「な、なにこれ!?」
「情報……か。ツキトエ?」
「知らない名前ね。もしかして、専用ってこと?」
相当作り込まれている設定だ。
まさか専用のモンスターまで用意されているなんて思わなかった。
私達はようやく分かったモンスターの正体に、息を飲むしかない。
「そんなことは分かっても仕方ないよー」
フェルノはツキトエに拳を振り抜く。
顔をドン! と殴り付けようとしたけど、全然ダメ。
耳がピクピク動くと、シュン! と音を立てて避けられた。
「うっそー」
フェルノは信じたくなかった。
そんなフェルノとは対照的に、ツキトエはちょっとほくそ笑む。
何だかムカつくけれど、後ろ脚でボン! と蹴って来た。
「うわぁっ!?」
フェルノは後ろに大きく跳んだ。
何とか逃げることが出来たけど、微かな風圧でHPが削られる。
下手したら直撃してた。こんなの喰らったら……怖い。
「大丈夫、フェルノ!?」
「うん。けどさー、アイツ強すぎるよー。隙が無いっていうのかなー?」
フェルノの言う通りだった。隙が無いから本当に怖い。
耳がピクピク動いていて、私達の様子を眺めている。
完全に有利不利がハッキリすると、Nightは口走る。
「どうやら向こうの方が強いらしいな」
「ですね。確実に上手です」
「それじゃあ勝てないの?」
「そんなことは言ってないだろ。見た所確かに隙は無い。だが、隙が無いなら隙を作ればいい」
ツキトエの方が強いのは分かっているみたい。
雷斬も同意していて、ツキトエに隙は無い。
そんな相手に勝つには如何したらいいの? Nightはあるみたいだけど、如何するのかな?
「Night?」
スッと拳銃を取り出した。自動拳銃を構えると、引き金を引いた。
バンッ! と音を立てると、同時に二発の弾丸が飛ぶ。
えっ、改造? って思ったけど、そんな次元の神業じゃない。
「(バンッ、バンッ!!)ギュァッ!」
ツキトエは後ろ脚を使って、弾丸を蹴った。
二発とも弾かれると、ツキトエは余裕そう。
でもこれが狙いってことだよね、Night!
「今だ、雷斬!」
Nightは雷斬に指示を出した。
バッと動くと、雷斬は刀を鞘に納める。
ビリビリと電気を放つと、ツキトエの脚が下がった瞬間に抜いた。
「雷流剣術—雷鳴光線」
キラン! と眩い光が走った。
ツキトエも視界を一瞬奪うと、グッと地面を蹴り踏み込む。
一瞬で近付くと、バッサリと切り捨てた。
ガキ―ン!
「ダメ、ですか」
雷斬は厳しい表情を浮かべた。
ジリジリと刀が悲鳴を上げている。
もしかしなくても、効いていないみたいだ。
「では……フェルノさん!」
「OK-。せーのっだぁ!」
雷斬は後ろに下がった。背中を丸めると、踏み台になる。
ドンッ! フェルノが飛び出すと、拳を振り抜く。
ツキトエに攻撃を繰り出すと、ベルも仕掛ける。
「射抜くわよ!」
ベルは蔓を引き絞った。矢を射ると、ツキトエに飛ぶ。
同時攻撃を仕掛けて、ツキトエの身動きを封じようとした。
だけど関係無い……のかな? 耳はピクピク動くと、瞬時に後ろに跳んだ。
「「嘘っ!?」そんなのあり……」
フェルノとベルは苦笑いを浮かべた。
パワーだけじゃなくて、頭もいいなんて、流石に信じたくなかった。
でも動きがヤバくて、反応が追い付かない。
「流石に届かないか」
「どうしますか、Nightさん?」
「そうだな……」
Nightは少し考え事をしていた。
如何やったらあの俊敏な動きを封じれるのかな?
多分だけど、一撃貰ったらお終い。私もジッと観察すると、あることに気が付く。
「「あの耳」」
Nightと被っちゃった。そうだよね、あの耳変だよね?
長く発達した耳。多分、微かな音さえ聞き逃さないに違いない。
あの耳があるから……あれ?
「Nightも気が付いた?」
「とっくに気が付いていた。とは言え……」
ツキトエの判断力は、野生的だった。
きっとあの長く発達した耳が、ほんの些細な違和感にも気が付いちゃう。
そのせいで私達の動きはバレて……それなら、やってみよう。
「ねぇ、Night。私に考えがあるんだけど、いいかな?」
「考え? ……聞かせろ」
「うん。えっとね」
私はNightに説明した。
無茶苦茶だけど、私にしか出来ない戦法。
面白いって思って貰えるかな? まぁ、危険なんだけどね。
「……なるほどな。だが、それは危険だぞ?」
「危険でも、みんなが手伝ってくれるなら、頑張れる気がするな」
「お前な……分かった。それに賭けるか」
Nightは仕方が無く折れてくれる。
まぁ、私も無茶だとは思ってるけどね。
とりあえずやってみる。これが出来るのは私だけなんだから。
「みんな、私が動きを止めるから、全力で注意を引いて!」
「なにか考えがあるんだねー。いいよー」
「仕方ないわね。で、なにする気よ?」
「分かりました。皆さん、合わせましょうか」
前線で戦ってくれている三人は、私を信じてくれる。
協力すると、ツキトエの注意を引く。
それぞれ武器を手にすると、Nightも応戦する。
「はぁ。仕方が無いか」
Nightは溜息を付く。
そう言いながらも両手には拳銃が握られる。
よし、やってみようってことで、私はやることにした。
少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。
下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)
ブックマークやいいねに感想など、気軽にしていただけると励みになります。
また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。




