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VRMMOのキメラさん〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!?【リメイク版】  作者: 水定ゆう
7ー3:月の試練は何を得る?

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◇293 月のウサギ2

とんでもなく強い!

「あ、危なかった……よ」


 私は何とか躱せた。危く即死だった。

 あのモンスター、如何してこんなに強いの?

 これが月の、月輪の試練なの? 難易度(レベル)が高過ぎてヤバいよ。


「大丈夫ですか、アキラさん」

「う、うん。心配してくれてありがとう」


 雷斬は素早く私の隣にやって来た。

 心配してくれて、白いウサギのモンスターを牽制する。

 フェルノが一人で注意を引いてくれるけど、それも限界が近いよ。


「心配している暇ないわよ」

「ベル!」

「そもそもあのモンスターはなんなのよ!」


 ベルは弓を引いていた。矢を連続で射ると、フェルノは適度に避ける。

 モンスターには命中した。でも、全部弾かれる。

 普通に後ろ脚でへし折られると、ムカついていた。


「そうだな。あのモンスターは一体……ん?」


 Nightもひたすら考えている。だけど答えが出ない。

 情報が無いから仕方ないけれど、急に眉根を寄せる。

 何処か痛いのかな? そう思ったら、頭の中に情報が流れ込んだ。



固有名:月兎使(ツキトエ)

条件:月輪の試練を受ける。

説明:満月命(Ma=ンゲツノミコト)の試練を受けることで現れる月の使者。月の眷属であり、高い身体能力を誇る。二足歩行で移動することができ、発達した後ろ脚と強靭な聴覚が特徴的である。



「な、なにこれ!?」

「情報……か。ツキトエ?」

「知らない名前ね。もしかして、専用ってこと?」


 相当作り込まれている設定だ。

 まさか専用のモンスターまで用意されているなんて思わなかった。

 私達はようやく分かったモンスターの正体に、息を飲むしかない。


「そんなことは分かっても仕方ないよー」


 フェルノはツキトエに拳を振り抜く。

 顔をドン! と殴り付けようとしたけど、全然ダメ。

 耳がピクピク動くと、シュン! と音を立てて避けられた。


「うっそー」


 フェルノは信じたくなかった。

 そんなフェルノとは対照的に、ツキトエはちょっとほくそ笑む。

 何だかムカつくけれど、後ろ脚でボン! と蹴って来た。


「うわぁっ!?」


 フェルノは後ろに大きく跳んだ。

 何とか逃げることが出来たけど、微かな風圧でHPが削られる。

 下手したら直撃してた。こんなの喰らったら……怖い。


「大丈夫、フェルノ!?」

「うん。けどさー、アイツ強すぎるよー。隙が無いっていうのかなー?」


 フェルノの言う通りだった。隙が無いから本当に怖い。

 耳がピクピク動いていて、私達の様子を眺めている。

 完全に有利不利がハッキリすると、Nightは口走る。


「どうやら向こうの方が強いらしいな」

「ですね。確実に上手です」

「それじゃあ勝てないの?」

「そんなことは言ってないだろ。見た所確かに隙は無い。だが、隙が無いなら隙を作ればいい」


 ツキトエの方が強いのは分かっているみたい。

 雷斬も同意していて、ツキトエに隙は無い。

 そんな相手に勝つには如何したらいいの? Nightはあるみたいだけど、如何するのかな?


「Night?」


 スッと拳銃を取り出した。自動拳銃(オートピストル)を構えると、引き金を引いた。

 バンッ! と音を立てると、同時に二発の弾丸が飛ぶ。

 えっ、改造? って思ったけど、そんな次元の神業(レベル)じゃない。


「(バンッ、バンッ!!)ギュァッ!」


 ツキトエは後ろ脚を使って、弾丸を蹴った。

 二発とも弾かれると、ツキトエは余裕そう。

 でもこれが狙いってことだよね、Night!


「今だ、雷斬!」


 Nightは雷斬に指示を出した。

 バッと動くと、雷斬は刀を鞘に納める。

 ビリビリと電気を放つと、ツキトエの脚が下がった瞬間に抜いた。


「雷流剣術—雷鳴光線」


 キラン! と眩い光が走った。

 ツキトエも視界を一瞬奪うと、グッと地面を蹴り踏み込む。

 一瞬で近付くと、バッサリと切り捨てた。


 ガキ―ン!


「ダメ、ですか」


 雷斬は厳しい表情を浮かべた。

ジリジリと刀が悲鳴を上げている。

もしかしなくても、効いていないみたいだ。


「では……フェルノさん!」

「OK-。せーのっだぁ!」


 雷斬は後ろに下がった。背中を丸めると、踏み台になる。

 ドンッ! フェルノが飛び出すと、拳を振り抜く。

 ツキトエに攻撃を繰り出すと、ベルも仕掛ける。


「射抜くわよ!」


 ベルは蔓を引き絞った。矢を射ると、ツキトエに飛ぶ。

 同時攻撃を仕掛けて、ツキトエの身動きを封じようとした。

 だけど関係無い……のかな? 耳はピクピク動くと、瞬時に後ろに跳んだ。


「「嘘っ!?」そんなのあり……」


 フェルノとベルは苦笑いを浮かべた。

 パワーだけじゃなくて、頭もいいなんて、流石に信じたくなかった。

 でも動きがヤバくて、反応が追い付かない。


「流石に届かないか」

「どうしますか、Nightさん?」

「そうだな……」


 Nightは少し考え事をしていた。

 如何やったらあの俊敏な動きを封じれるのかな?

 多分だけど、一撃貰ったらお終い。私もジッと観察すると、あることに気が付く。

 

「「あの耳」」


 Nightと被っちゃった。そうだよね、あの耳変だよね?

 長く発達した耳。多分、微かな音さえ聞き逃さないに違いない。

 あの耳があるから……あれ?


「Nightも気が付いた?」

「とっくに気が付いていた。とは言え……」


 ツキトエの判断力は、野生的だった。

 きっとあの長く発達した耳が、ほんの些細な違和感にも気が付いちゃう。

 そのせいで私達の動きはバレて……それなら、やってみよう。


「ねぇ、Night。私に考えがあるんだけど、いいかな?」

「考え? ……聞かせろ」

「うん。えっとね」


 私はNightに説明した。

 無茶苦茶だけど、私にしか出来ない戦法。

 面白いって思って貰えるかな? まぁ、危険なんだけどね。


「……なるほどな。だが、それは危険だぞ?」

「危険でも、みんなが手伝ってくれるなら、頑張れる気がするな」

「お前な……分かった。それに賭けるか」


 Nightは仕方が無く折れてくれる。

 まぁ、私も無茶だとは思ってるけどね。

 とりあえずやってみる。これが出来るのは私だけなんだから。


「みんな、私が動きを止めるから、全力で注意を引いて!」

「なにか考えがあるんだねー。いいよー」

「仕方ないわね。で、なにする気よ?」

「分かりました。皆さん、合わせましょうか」


 前線で戦ってくれている三人は、私を信じてくれる。

 協力すると、ツキトエの注意を引く。

 それぞれ武器を手にすると、Nightも応戦する。


「はぁ。仕方が無いか」


 Nightは溜息を付く。

 そう言いながらも両手には拳銃が握られる。

 よし、やってみようってことで、私はやることにした。

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