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VRMMOのキメラさん〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!?【リメイク版】  作者: 水定ゆう
7ー3:月の試練は何を得る?

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◇291 月輪の試練:「月を倒してみせよ」

第三の試練。これぞ最終形態。

「『我らはMa=ンゲツノミコト』」


 な、な、な、何が起こったの?

 ここまで眩し過ぎる光に煽られていたけど、それとはまた違う。

 一回りも二回りも、それこそ私達なんて影に消されてしまいそうな程、白くて煌びやかな光が放たれると、現れたのは……男性、女性? 分からないけど、神様が降臨した。


「えっ、ミチル……シンナル……えっ?」

「『我らはMa=ンゲツノミコト。月の輪より顕現した、月そのものである』」


 Ma=ンゲツノミコトさん(満月輪命)からは、二人分の声が聞こえた。

 男性と女性。シンナルさんとミチルさん、二人の声が重なっている。

 人格も混ざっているのかな? 何だか高貴と威厳が混ざり合っている。


「Ma=ンゲツノミコト、さん?」

「『我ら分身の試練を突破した人間達よ、よくぞここまで来た』」


 話を聞いてくれる神様だった。

 私達は恐れ多くて言葉が詰まっちゃった。

 それだけ眩しい。直視が出来ない。光りそのものを受け、あらゆる世界の陰を影として浮き彫りにする。


「ありがとうございます」

「大変だったわよ」


 雷斬とベルは調子を取り戻していた。

 さっき一回Sin=ナルツキノミコトさんに喰らった威圧から解き放たれたおかげだ。

 Ma=ンゲツノミコトさんは二人の神様が一つとなった姿。高貴と威厳の狭間で、包容力を宿していた。そんな感じに私は見えるけど、多分合ってるよね?


「ここまでの過程は果たした。そろそろ私達の望みは……」

「『分かっているのです。分かっているからこそ、我らはここに顕現した』」


 全てを見越してここに居るんだ。流石は神様、凄すぎる。

 私達の想像や思考なんて簡単に看破してみせると、両腕を広げた。

 望みを、お願いを聞いてくれるらしい。やった、頑張った甲斐がある!


「それじゃあMa=ンゲツノミコトさん、私達は……」

「『ですが、月の祝福を欲すのであれば、最後の試練を超えてみせよ』」


 まさかっていうか、このパターンだった。

 もう慣れているけれど、最後の試練ってなんだろう。

 凄く嫌な予感がすると、私達は気を引き締める。


「最後の試練?」

「えー、またつまんない奴―?」


 フェルノはついボヤいた。うーん、そんなことないと思うけど。

 でもフェルノにとってはあまり面白くなかっと思う。

 解いてばっかりで詰まらなかったって思っても仕方がない。


「『つまらない……ですか。では、貴女に打ってつけの試練でも与えよう』」

「おっ、私に打ってつけ!?」


 色んな試練のパターンがある。

 また謎解きかなって思ったけど、配慮してくれたみたい。

 それは……つまらなそうな人間がいたら、神様的にも面白くないよね。


「なになに、バトル!?」


 シュンシュン、拳が空を切る。

 シャドーを相手にボクシングっぽい動作を始めた。

 ずっと戦いたかったんだ。遊びたいのがフェルノだから、気持ちも分かる。


 それを加味してくれた神様は流石はだ。

 フェルノの望む展開を用意すると、ニヤリと笑った。

 何か考えている。もしかして、ヤバいことかな?


「『腕試しがしたいのですね。では、我が眷属の一角よ。あらゆる雑音を聞き分ける長耳を持ちて、月の頂まで昇ってみせよ——(パン!)』」


 Ma=ンゲツノミコトさんは、パン! と拍手をした。

 柏手になると、私達の体を駆け抜ける。

 これには少しビックリしちゃった。体が動かなくなると、フラリと軸がズレる。


「あ、あれ?」

「『フン、我が眷属を顕現させた。存分に力を振るうがよい』」

「力を振るう?」

「やったぁ! それじゃあ早くやろうよー」


 いやいや待ってよ、待って。フェルノは判断が早すぎるよ。

 まだどんなモンスターかも分からない。

 多分長手的に勝たないとダメだと思うけど、本当に勝てるかも怪しい。戦うけど。


「『そう焦らない方がいいですよ。我らが呼びし眷属は、悪意に敏感なのでな』


 神様の眷属ってことは、凄く怖いしヤバそうだ。

 私は身構えつつも、拳をギュッと握った。

 何とか善戦出来ればいいけど、雷斬とベル、二人の武人は気が付いている。

 相当嫌な気配が走っていたみたいで、私は見事に受け流す(知らないうちに)。


「悪意に敏感?」

「……なんだか、見られている気がするわ」

「はい。これが、モンスターなのでしょうか?」


 雷斬とベルは怯えているのかな、武者震いがしていた。

 二人共、同じ方向を見ている。登山道の更に先で、もしかしてこの先で待っている?

 戦うために場所でも用意されているのかなって思うと、私の思考をMa=ンゲツノミコトさんは、読み切って言い当てた。


「『貴女、その読みは正しいな』」

「正しい、えっ!? もしかして、読んだんですか」

「『ええ、読んだに決まっている』」


 ミチルさんとシンナルさん、二人の言葉が混ざり合う。

 褒められているのか、怒られているのか、多分窘められている?

 私は瞬きをすると、Ma=ンゲツノミコトさんは、スッと手を払った。


「『では、行け。この先に道があるんです』」


 Ma=ンゲツノミコトさんは、腕をサッと払う。

 すると光の一本道が作り出された。えっ、もしかして、神様が道を作ってくれた?

 ゲームの世界、AIの力だけど、世界に影響を与えちゃうなんて、本当にカッコいい。

 高貴な神様のようで、私達は実力を見せつけられる。


「この道を進めば、モンスターがいるんだな」

「『ふふっ、そうだな。人間達が何処までやるか見物だ』」

「見物って……」

「『まぁ、我らの祝福は与えられないですが、少し力を与えよう』」


 私達は見世物にされるつもりはない。

 ちょっとだけムッとすると、Ma=ンゲツノミコトさんが手のひらを出す。

 淡い光が放たれ、私達に注がれる感覚が貰えた。


「うわぁ、なんだか力が湧いて来た……かも?」

「これは……バフか!」

「パラメータが上がってるわよ。これなら勝てるかもしれないわね」

「……それだけ厄介な相手ってことだな」


 Ma=ンゲツノミコトさんが力を貸してくれた。

 体がポカポカっていうか、サワサワする。

 気持がよくて、ベルが見た限りだと、確かにパラメータが大幅に上がっていた。


「それじゃあ行ってきます、Ma=ンゲツノミコトさん」

「『ええ、しかと試練を受けるがいい』」


 私達は宙に浮かんだ直通経路に足を踏み出す。

 パッと宙に体が浮くと、不思議な感覚だ。

 Ma=ンゲツノミコトさんに見送られながら、私達はモンスターに戦いを挑んだ。

 多分強いと思うけど、みなぎる力で頑張ることにした。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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