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VRMMOのキメラさん〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!?【リメイク版】  作者: 水定ゆう
7ー3:月の試練は何を得る?

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◇290 月を消してみせましょう

こんなのでいいのかよ! ってなってください。いいんです、いいんですよ。

「嘘っ、それいいの?」


 私はハチャメチャなことを言われてビックリした。

 まさかとは思ったけど、本当に頓智みたいな感じだ。


「試してみていいだろ」

「試すって……もっと他に無いの?」

「あるにはあるが、一泡吹かせないと、癪だろ」


 Sin=ナルツキノミコトさんに一泡を吹かせたいらしい。

 うーん、それで動じてくれるのかな?

 ちょっと面白いけど、試してみてもいいのかな? 私はNightの提案を飲んだ。


「いいよ。やってみよう」

「よし。それじゃあ決まったな……」


 Nightはクルンと振り返った。

 腕を組み、目を閉じているSin=ナルツキノミコトさんの前に立つ。

 すると気配で気が付いたみたいで、「なんだ?」と問われた。


「おい、決まったぞ」

「決まった、だと? 我の試練を超えられるというのか?」

「当たり前だ。そのために声を掛けた」


 Nightは相変らずだった。Sin=ナルツキノミコトさんはイラっとしている。

 だけど神様の威厳と寛容さによって、上手く受け流してくれた。

 でも、これで失敗は……しない。したくない・


「では、我にその答えを見せてみよ」


 Sin=ナルツキノミコトさんは「フッ」と笑った。

 豪語するけど、本当上手く行くのかなって気持ちが完全に拭われた訳じゃない。

 ちょっと面白い……けど、やってみるしかない。


「ふっ。だそうだ、フェルノ!」

「OK。んじゃ、せーのでっやぁっ!」


 フェルノは種族スキルを発動する。【吸炎竜化】が応えた。

 全身に真っ赤な竜の鎧を纏うと、背中からは翼が生えた。

 鋭く発達した爪が伸びると、地面をパン! と蹴った。


「なにをするつもりだ?」

「まぁ見ていろ」


 Sin=ナルツキノミコトさんも気が付いていなかった。

 だけどNightはそれさえ見越していて、フェルノは翼をはためかせる。

 宙に停滞すると、渡されていたNightのマントを使い、鳥居の扁額にヒラリと掛けた。


「どうかなー、Night-?」

「充分だ」

「……これでなにが変わったのだ?」


 流石にSin=ナルツキノミコトさんもピンと来ていない。

 やっぱり想定外のことをしているんだ。

 でも大丈夫。私達の狙いはまさにそれで、一泡吹かせることなんだ。


 何だろう。Sin=ナルツキノミコトさんの表情が面白い。

 キョトンとしていて、本当に頭になかった。

 ふと拝殿から飛び降りると、裸足で舗装された神道を行く。


「一体なにを……」

「アレよ!」


 ベルが指を指した。視線をふと誘導する。

 鳥居の扁額が一部だけ隠されている。

 これで“月を消した”ってことになってるんだけど、ピンと来ていないみたい。


「一体なにを消したというのだ?」

「月だ」

「月だと? これの何処に月が隠されているというのだ!」


 グィー――――――――――――――ン!!!


 空気が張り詰め、上から押し潰された。

 重力を支配されているみたいな感じで、私達は圧倒的な威圧感に襲われる。

 一体これは何? 何が起きているの? もしかして、嫌われちゃったのかな?


「えっ、あの、その?」

「……何故だ。何故我の威圧が効かんのだ」

「えっ、あの、その……みんな?」


 みんなの顔色が凄く悪かった。

 クロユリさんの時に似ているけれど、それとはまた違う。

 もっとこう、高貴な感じのエネルギーに押し潰されたみたいな感じで、みんな膝を崩していた。


「みんな、大丈夫? 立てる?」

「……ああ、はぁはぁ……神だかなんだか知らないが、少し勘違いをしているんじゃないのか?」

「なに?」


 Nightは気持ちが悪そうで、それでも立ち上がった。

 Sin=ナルツキノミコトさんのことを上から目線で否定すると、スッと指を指す。

 見るべきはそこじゃないってことで、ニヤッと笑みを浮かべた。


「私達は満“月”神社を消した」

「……はっ!?」


 Sin=ナルツキノミコトさんは何か気が付いた。

 扁額の一部にマントが掛かっている。

 その意味をようやく理解すると、威圧感が解ける。


「「「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ」」」


 威圧感から解放されたみたい。

 ペターンと地面に押し潰されているって感じより、解放された感じだ。

 心の余裕を取り戻すと、対照的でSin=ナルツキノミコトさんは口を開けていた。


「月を消した、だと?」

「ああ。本当は、扁額をコンクリートかなにかで塗り固めたかったが、罰当たりになるからな」

「……貴様が言うな。だが、貴様が言うからこそ、理解できる。面白いぞ」


 凄い好印象を貰った。

 ここまでのいやり取りで、印象は最悪だった。

 けれど今回で挽回したみたいで、Sin=ナルツキノミコトさんは笑っている。


 私達がやったのは、本当に頓智みたいなこと。

 満月神社の象徴的な、立派な細かい装飾の入った扁額(へんがく)

 そこにはこの世界の文字で、満月神社と刻まれていた。


 その内の一つ、“月”の文字を消した。

 実際には隠したんだけど、如何やらアイデアがいいみたい。

 Nightっぽい……って言うか、ひねくれているのかな? でも、なんか面白かった。


「ふっ、見れば見る程単純だな」

「単純でいいんだ。凝ったことをする必要は無い」

「貴様が言うのか? 月の立体物(オブジェ)を作った奴がな」

「それもそうだな。だが、私達は試練を超えたぞ」


 Nightが言葉を足せば足す程、何だか普通じゃない感じがする。

 それがいいんだけど、Sin=ナルツキノミコトさんは受け取ってくれた。

 だからこそ、Sin=ナルツキノミコトさんに認めて貰えたらしい。試練は無事に……?


「いいだろう。だが、最後の試練を超えてみる覚悟はあるか?」


 ん? まだあるの。結構大変だったよ?

 Sin=ナルツキノミコトさんも意地悪だよ。もしかして怒ってる?

 そうとしか考えられないけど、ここまで来たんだ。やるしかないっぽい?


「は、はい。頑張ります!」

「いいだろう。ならば見ろ」


 Sin=ナルツキノミコトさんの体が光り出した。

 また眩しい光が投影されて、私達は視界が潰される。

 瞼をソッと閉じると、過去最大級の月の光に当てられて、私達は震えた。


「な、な、な、なにが起こってるの!?」

「分からない……だが」

「また変身するの?」

「ここまで来たらそうでしょ」

「一体どのような方が……あれ?」


 光が解けた。私達はユックリ瞼を開ける。

 そこに居たのはSin=ナルツキノミコトさんじゃない?

 もちろん、Me=チルツキノコトさんとも違う。


 何処か男性のような力強さも、女性のようなしなやかさもある。

 不思議な感覚で、私達は言葉が出ない。

 頭が混乱すると、ピコンとはてなが浮かび上がった。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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