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VRMMOのキメラさん〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!?【リメイク版】  作者: 水定ゆう
7ー3:月の試練は何を得る?

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◇289 新月の試練:「月を消してみせよ」

一体なにを企んでいるのかな?

「まぁよい。我の試練でも受けてみるがいい」


 いよいよSin=ナルツキノミコトさんの試練だ。

 一体どんな無理難題を言いつけられるのかな?

 不安をよそに、フェルノは拳を振り上げた。


「どんとこーい!」

「来るな」


 Nightは即座に否定する。Me=チルツキノコトさんの試練も大概だった。

 私は「あはは」と笑って誤魔化すと、Sin=ナルツキノミコトさんは言い付けた。


「我の下す試練、試練。それは……月を消してみせよ」


 また凄いことを言われちゃったよ!?

 しかも今度は月を射抜くって話じゃなくて、月を消すってどういうこと?


(消すってことは、隠すのとは違うってことかな?)


 ふと考えられる可能性。

 例えば、Sin=ナルツキノミコトさんを目隠しして、「はい、月が消えました」が通用するのかな? 何となくだけど、しないと思った。


「月を、消す?」

「うむ。うぬ等に与えし試練など、精々その程度のこと」

「その程度ってレベルじゃないよ」


 ボソリと思ったことを口にした。

 吐露して零れ落ちたみたいだけど、流石に聞こえていないらしい。

 よかったとホッとするのも束の間で、無理難題への糸口を導く。


「無論、何人が集まり束となろうが構わんぞ」

「つまり協力はありだな……人数が必要な試練か」


 Nightは少し複雑なことを考えているみたい。

 もしかして、協力して乗り越える試練なのかな?

 Me=チルツキノコトさんの試練とは何処か重きが違う気がするけど、“月を消す”って?何だろう?


「あの、一つよろしいでしょうか?」

「なんだ、人間よ」

「月を消すというのは、比喩的な意味合いが強いのでしょうか?」


 雷斬は恐る恐る、でも礼儀た正しく手を挙げた。

 Sin=ナルツキノミコトさんに質問をする。

 気になっていたことで、“比喩的な月”の可能性の話だ。


「フン。人間の考えることだ」

「では、よろしいのですね」

「……いいんだ」


 それがありなんだ。ってことは、それでいいのかな?

 何の月を消せばいいのか分からないけれど、多分お月様じゃない。

 どの月のことを言ってるのか、明確に答えがありそうで、足りない頭を悩ます。


「ただし、枷を出そう」

「「「枷?」」」

「うむ。この社の中にあるものだけだ。加え、貴様らの妙な力は認めんがな」


 条件を出されちゃった。もしかして、Me=チルツキノコトさんの件を怒ってるのかな?

 Nightが作った立体物(オブジェ)に不満があるみたいで、さっき作った月の置物を消すのはダメになっちゃった。あー、如何しよう。しかもこの社の中ってことは、何処かに月に関するものがあるのかな?


(月に関するもの……いっぱいあって分からないよ!)


 ここは満月神社だ。今は新月神社なのかもしれないけど、結局は同じ。

 至る所に視線を向ければ、月が飾られている。

 月に関するものはいっぱいあるってことで、この中かから何を消すのが正解か分からなかった。


「理解したなら早く行け。我は気が短いのでな」


 突き放されちゃった。でも、やるべきことは分かった気がする。

 まずは行動を起こす前に、一回集まる。

 私は「みんな、一回話してみよう」と声を掛けた。


「どうしたのー?」

「Sin=ナルツキノミコトさんが、月を消してみせよ、って言ってたよね? どうしよう」

「んー、私には分からないよー」


 フェルノは考える前から放棄していた。

 考えようとしてくれているけれど、首を横に捻っている。

 ポカンとしていると、私はNightを頼ることにした。


「Night、どうしよう?」

「条件提示はされた。答えは見えている」

「答えって、いっぱい月はあるよ?」


 満月神社or新月神社、ここには月の要素が多い。

 別に飾りって言っても、飾り付けが多い訳じゃない。

 色んな所に月の要素が垣間見えるだけで、何処の何を消したらいいのか不明だった。


「Nightはなにを消したらいいのか分かるの?」

「一番象徴になる物だろ」

「象徴……扁額(へんがく)!?」

「おー、アレか―」


 ここに来て扁額が関わって来るとは思わなかった。

 普通に看板としての役割かなって思ってたけど、違ったみたいだ。

 いやいや、それは思わなかったよ。でも、どうやって消すのかな?


「雷斬、どう?」

「そうですね。扁額には、月の模様はありません」

「嘘でしょ? ここだと思ったのに」


 雷斬とベルは鳥居をチラッと見た。

 視線を飛ばして、頭上を見上げると、首を捻っている。

 何かあったみたいで、私は二人に訊ねた。


「雷斬、ベル、どうしたの?」


 雷斬とベルは困り顔を浮かべていた。

 先に扁額を見たけど、思ったものが無かったみたい。

 もしかして、ここじゃないのかなって不安になる。


「Night。話は聞き耳を立てていたから分かるわよ。でも、それっぽいものが無いわよ」

「なにを想像していたんだ?」

「月が描かれていると思ったのですが、違ったみたいです」


 二人は先手を打ってくれた。扁額に月があるって思ったんだ。

 でも、月のマークは何処にも無い。つまり、Nightの考えは間違っていたのかな?

 ここが一番それっぽいし、色んな可能性はあるけど、ここを消せばSin=ナルツキノミコトさんも認めてくれると思った。でも、そもそも月が描かれていないなら、消すことも出来ないんだ。


「それじゃあ、もっと無難な形で探す?」

「例えばなんだ」

「えっと、由緒板とかかな?」


 まだ由緒板を見ていない。

 絶対に月のことが書かれている筈で、ここを消せばいいのかも。

 そう思うと、Nightは「ふっ」と不敵に笑う。


「確かにお前の言うことは正しいな」

「そうだよね。それじゃあ……」

「だが、この神社に由緒版は無い」

「あっ!?」


 そう言えばそうだった。この神社には何故か由緒板が無い。

 もしかして、これはそのための伏線だったの!?

 私は困り顔を浮かべると、Nightに頼った。


「そうだよ。それじゃあどうしたら……」

「他にもあるだろ、月が描かれている物が」

「月が描かれている、ですか?」


 雷斬が首を捻っていた。

 けれど何か察しが付いたのか、ベルと顔を見合わせる。

 この神社の中に、他にちゃんとした月があるってことだよね?

 何処にあるのかな。でもそれって、引っ掛けじゃないよね?


「ああ。なにも真っ向から相手をする必要は無い。この神社にあるものなら何を使ってもいいんだ。試してみるぞ」


 何だかNightが嫌な奴の顔をしていた。

 絶対に何か企んでいるんだよ。

 もしかして、また頓智かな? 


「それじゃあ聞かせて、Nightの考え」


 私は息を整えてから、Nightの話に耳を傾けた。

 幸い、Sin=ナルツキノミコトさんには聞こえていない。

 瞼を閉じ、私達を待ってくれていて、Nightの話に「えっ?」ってする顔も隠し通した。

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