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鉄の世界に咲く花は  作者: イロハ
二捻生
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汚されてしまうのね

「ところで、もう1人の子はもう帰っちゃったのかな?」


教室を出て、昇降口への廊下を進む途中でこの場にいない留学生のことを呟いた。


「帰りの挨拶をしたあと直ぐに出ていっちゃったぞ。せっかくだから話したかったのになー」


と幸。

その足元にはスフィカから隠れるように夕がまとわりついている。

当のスフィカはというと――――――――


「全く…………飛びつかないでっていってるじゃない!」


「アハーごめんなさイ凜……………許しテ?」


「なんで私なのよ…………他に3人もいるのに」

「おい」


凜が思わずポロリした本音に幸がすかさずつっこむ。

抱きつかれた挙句胸まで触られた凜はばっちりおかんむりだ。


「これからお家も同じだから、ゾンブンに堪能しまス!!」


「ほんとよ!私、これからどうなっちゃうのかしら…………」


「凜、とスフィ、は同じ、家、なの?」


2人の会話に反応したのは未だ隠れる夕だ。

スフィカが振り返り、目線の高さを合わせて返事をする。


「そうなのでス!私のステイ先で…………ところで夕ちゃん、私のこと、なんて呼んだでス?」


「ス、スフィって………………今は、ちょっと怖い、けど、あだ名で、呼んだら少しは、仲良くなれるかなって………………ひゃっ!?」


「夕ちゃん、最っ高にかわいいのでス!!」


「だろ!?ウチの夕は可愛いんだ!」


スフィカに迫られ頭を撫でられ、幸に可愛いと大きく宣言されてゆでダコ化する夕。

ヘロヘロと力なく(くずお)れる夕に微笑みを浮かべながら私は凜に問うた。


「凜はもう1人の子ともお話したんでしょ?どんな子だったの?」


軽く腕を組み、先の初顔合わせを思い出しているであろう凜はしばらくしてから口を開いた。


「さっき自己紹介の時間があったじゃない?その時に何か違和感があったのよね」


「あ、それも思いましタっ!なんだかカチカチだったのでス」


長い金髪を派手に揺らしながら振り返ったスフィカが凜に同調する。


「口調こそあまり変わったようには感じなかったけれど…………声音とか表情とか、もう少し柔らかかったと思うわ」


「ほんとのクリーちゃんはもっと可愛かったのでス!」


なるほど、初対面の、それも大勢の外国人の前で自己紹介ともなれば自然と緊張もするだろう。

と思ったが、初手から破天荒なスフィカを視線が捉えて冷静になった。


「まあ、明日にでも話しかけてみるかー。夕も、ビビってないで参加しろよー」


「が、頑張る……………」


既に(しお)れているような夕を見ると心配と同情が沸き起こるが、幸が一緒なら大丈夫かな。


結局、その後も数分に渡って廊下で話をしていたが、たまたま通りかかった南風野先生に帰るようにと促されて学校の外へと出た。




「凜のお家、どっちでしたっケ?」


「朝いっしょに来たでしょう………こっちよ」


「ほんとにいっしょに住むんだねー。葉菜もいい人の所に行けたのかな」


遠方の地にいる親友を想う。

出発する前に「いい人そうっ!」て喜んでたからきっと大丈夫だろうと信じる。


「ハナって誰のことでス?」


「私たちの友達だよ。アメリカ領に留学してるんだ」


「おおっ、留学ですカ!私と同じですネ!」


スフィカの高いテンションに、細々と生まれていた寂しさが薄く溶けていく。

確認する方法はないけれど、葉菜なら絶対大丈夫だろう。

長年の付き合いさんがそう言っている。


「ハッ!?」


「わっ!なに、どうしたの幸?」


突然大声を上げた幸に驚く私。

隣に立っていた夕は肩を縦に跳ねさせる。


「スフィカ、いっしょに凜と住むってことは…………まさか、眠るのも、風呂もいっしょだったりするのか!?」


「え、凜!そんなことまでしていいのですカ!!」


「いいわけないでしょ!?」


「2人とも……………えっち」


「ちょっっっっとまって黒森さん!なんで私もなのよ!」


怒涛の口撃に絶え間なく凜が何とか抵抗する。

慌ただしく動いているのは口だけのはずなのだが、凜はすっかり息があがっているようだ。


「遠慮せずに寝込みでも襲ってみろよ」


「了解よ幸!凜にあんなことこんなことして良ければ写真も撮ってきちゃうのでス!」


ネイティブ発音で「グッジョブ!」と元気に親指を立てて写真宣言をする。

そんないよいよな発言を聞いた凜は頬を朱に染めながら私に泣きついてきた。

弱々しく助けを乞う凜にSっ気を刺激されてしまった私は凜の肩を優しく掴み、無意識ながら悪戯な笑みを貼り付けてこう言った。


「諦めて…………私も写真、見たいから!」



結果として味方が皆無になり、霊媒師なんかに見てもらえば


「口から魂が漏れています」


とでも言われてしまいそうな凜は、虚ろな瞳を虚空へと向けながら、


「私はもうダメね…………汚されてしまうのだわ…………」


と呪詛のように独り言を繰り返している。


闇堕ち凜ちゃんが爆誕したところでようやくみなお別れ。

それぞれが帰り道へ散り、私も葉菜がいない帰路を1人で辿った。

みなさまこんばんは!イロハです!

あるいはおはようございますこんにちは!


段々と凜が可哀想になってきてしまいました。

作者なのに(苦笑)

………いや、もしかしたら作者だから、

かもしれませんね(笑)


スフィカが当初思っていたよりもかなり

ぶっ飛んだキャラになっております。

誰かが手網を握らねばですが

果たして自分に操りきれるでしょうか(苦笑)


それでは本日はここで終わります!

また次回!ありがとうございました!


※Twitterもあります!

(https://twitter.com/iroha_TETUHANA)


【次回投稿予定日は 3月4日 22時 です】

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