寂しさ
修了式が終わってから、葉菜はクラスメイトに取り囲まれ、驚きの言葉やお別れの言葉をこれでもかと浴びている。
そして、業後。
私たちいつもの5人はしんとした教室に残っている。
「全く…………どうして今まで言ってくれなかったんだよー」
幸が葉菜の前に仁王立ちしてそう言い放つ。
その声音は決して怒っているわけではなく、純粋な疑問から生まれた驚きによるものだろう。
「変なタイミングで言っちゃったらそこからなんとなくギクシャクしちゃうかと思ってさ………」
葉菜が頭をかきながら照れを滲ませて返事をする。
「それでも新城さんはだいぶ前から知ってたんでしょ?」
「いつ聞いたかはあんまり覚えてないんだけど、高校に入る前には知ってたかなー。言わないでって言われてたから言わなかったんだけど」
「はー、幼なじみの特権って訳ですか。ずるいよなー夕……………夕?」
幸が腕を組んで幼なじみという事実に嫉妬する。
傍になっていた夕に同意を求めるが、当の夕は幸の横腹にしがみついていた。
「どーした、お腹でも痛いのか?」
幸が心配そうに問いかけるも、しかし夕からの返事は無い。
そして顔を埋めている状態から細々と言葉を紡ぎ始めたのはそれから1分ほどしてからだった。
「……………だってさあ…………」
夕の小さなつぶやきを聞き取った私と幸が夕に声をかける。
「お腹痛いの治ったか?」
「無理しちゃダメだよ。今日はもう帰ろう?葉菜もすぐに出発する訳でもないし」
私の提案にみなが同意し、帰り支度を始める。
しかしその動きは、なんとか絞り出した夕の次なる言葉によって停滞を迎えた。
「だって…………留学、とか、聞いて、ないっ……………」
その声は震えていて、ようやく顕になった夕の瞳も、たまる涙によって揺らめいていた。
素直な気持ちからなる声の震えは空気を伝ってか皆に伝染していき、心に、唇に、なんとか押し込めていた感情が押し寄せてくる。
「もうっ…………泣かないでよ夕…………」
葉菜が夕の頭を撫で、優しく抱擁する。
抱かれる夕は静かに嗚咽をもらし、体重を葉菜に預ける。
凜は口を真一文字に引き結び、幸は葉菜と夕のやり取りに微笑を浮かべながらも一筋の涙が右頬を貫いている。
「なにも今生の別れっていう訳でもないんだから、泣かないでよ…………私も寂しくなっちゃうからさ」
「わぁかってる、けどっ…………ヒグッ」
夕もまた、葉菜の背中に手を回す。
いよいよ私も涙を留めて居られなくなり、凜からも声がもれた。
「永咲さんはっ…………どのくらい、留学に行くの?」
「2年生時の専用器試験に受かれれば1年だし、それがダメだったら2年かな」
葉菜が頭を上げ、凛の方へ向き直って応える。
夕が葉菜の服を引いて、上目遣いに問うた。
「ぜったい、帰ってくる?」
「―――――っ、ああもう!夕はかわいいなあ!帰ってくるよ!もちろん!みんなをおいて勝手にいなくなる訳ないよっ」
重々しい雰囲気を払拭するべく、私はわざと大きく深呼吸をした。
「ほらっ、そろそろ帰ろう?まだ何日かあるんだから」
努めて明るい言ったつもりだが、無意識に声が波打ってしまう。
そんな私の気遣いに気がついたか否かは分からないが、凜と幸が動き、葉菜が未だ張り付く夕を宥めながら今度こそ帰り支度を始める。
各々荷物をもち、1年の間お世話になった教室に別れを告げた。
みなさんこんばんは!イロハです!
あるいはおはようございますこんにちはっ!
ここ最近改名しようかと悩んでいます。
とある場面で仮の名前を考える機会があり、
そこで私に「日渡彩葵」というきれいで
かっこいい名前を頂きました。
せっかく頂いた名前なのでそれを名乗って
活動して行くべきかと煩悶しています。
また進展があったらご報告します(笑)
それでは今回はこれで終わりになりまーす。
また次回よろしくお願いします!
【次回投稿予定日は 2月9日 です】




