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鉄の世界に咲く花は  作者: イロハ
二捻生
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進みゆく覚悟を胸に

そして迎えた4月1日の水曜日。

葉菜がいよいよ留学へ出発する日だ。


絶対に見送りに行くと約束をしていたため、飛底機場に行くと、大きなスーツケースをゴロゴロと転がす葉菜を見つけた。

思わず駆け寄ろうとすると、同タイミングで夕と幸が、少し遅れて凜が合流した。


「おはよう葉菜…………いや、もうそろそろこんにちはの時間かな?」


「まだ10時前だからおはようでいいんじゃない?でも明日からはHelloだと思うと何だかムズムズするな」


「永咲さん、英語の成績はとてもよかったものね。きっとやっていけるわ」


「まあ英語はこの時のためにちゃんとやってきてたからねー」


「英語だけしかちゃんとやってこなかったのか?」


幸の的確かつ鋭いツッコミに葉菜が「ゔっ」と言葉につまる。

「ソンナコトナイヨー」とカタコトで反論するが、そこに説得力などは皆無に等しい。


「永咲さん、ご両親はみえないの?」


「うん、私がお願いしたんだ。最後まで親に見送りされちゃうと決心つけるまでに時間かかりそうだったからさー。絢には泣きつかれて大変だったよ」


と、ここで今まで静観していた夕がおずおずと1歩進みでる。

それに気づいた葉菜が少々膝を曲げ、夕と目線を合わせる。


「見送りありがとう。私、頑張ってくるから、夕も………………ん?」


「こ、これ、お守り、作ったから…………わふっ」


「夕はかわいいなあーーー!!」


夕が話し終わらないうちに葉菜が夕に抱きつく。

それが本心であることは間違いないないだろうが、葉菜の(まなじり)がキラッと光ったように見えたのは気のせいか。


「お守り、大切にするからね!絶対専用機乗りになって帰ってくるよ!」


「うん、頑張って、ね。私も、頑張る。次に会う、ときは、お互いに………りっぱ……………ふぇ」


「あー夕泣くなって!今日来る前に絶対泣かないっ!て宣言してただろー」


「だっで………」


泣きじゃくる夕の頭を優しく撫でる葉菜。

その様子はまるで幼い妹をあやす姉のようだ。


「葉菜、夕も言ってたけど、次に会う時は私たち4人も絶対専用機乗りになってるからな。慣れない環境、負けんなよ」


「負けないよ。環境にも、みんなにも。」


夕を撫でながら立ち上がり、葉菜と幸がグータッチを交わす。


「あの、永咲さん………」


左を見れば、若干目を赤くした凜が立っている。


「凜も、見送りありがとう」


「当然じゃない、友達なんだもの」


腕を組み、毅然とした態度でそう言い放つが、目は変わらず赤く、唇が小刻みに震えている。


「改めて面と向かってそう言われると恥ずかしいな。凜も、もちろん専用機乗りだろ?」


「ええもちろん。あなたが驚くようなスーパーパイロットになってやるわ」


「言ったな!期待してるぞ!」


次は凜と腕を組み合わせる。

夕は腕で顔を隠しながら幸の隣でなんとか落ち着こうと頑張っている。


「葉菜」


私も葉菜に声をかける。

こちらを振り返り、微笑みを浮かべる葉菜もまた優しくこちらへ言葉を投げかけてくる。


「紗愛と長いこと離れるなんて、出会ってからは初めてだね」


「うん…………なかなか実感湧いてこないや。これからしばらく葉菜がいないなんて」


どうしてもしみじみとしてしまう。

言葉通り、実感は湧いてこないのだが。

ここにある事実が強制的にこの雰囲気を生み出しているように思える。


「私は絶対に、紗愛にだけは負けないからね」


「な、なにっ!?私だって葉菜にはまけないもんっ!」


最後の最後までいがみ合って、その空気がなんだか可笑しくってみんなで笑って。




ついにやってきた出発の時。見送りの時。


「それじゃあ、行ってきます」


歩き出す葉菜の背中を、視線で押す。

それ以上はなにもすることも、言うこともない。

それは誰もが理解している。




葉菜が乗り込んだ飛底機が動き出した。

あれが行ってしまえば本当に会えなくなってしまう。

悲しいし、不安だし、何より寂しい。

でも、私は泣いたりしない。

ここで泣いてたら、夢なんて到底叶えられないような気がするから。

きっと葉菜も泣いてない。

直感がそう言っている。


「あら、永咲さんからグループで連絡が来てるわよ」


凜が携帯の振動に気づき、取り出して画面を見る。


「なんだよ葉菜のやつ、もう寂しくなったのか……………えっ!?」


葉菜からのメッセージを読んだ幸が驚きの声をあげる。


「何考えてるのもーーっ!」


私も思わず叫んでしまった。

それでもきっと、私の表情は怒りでも、悲しみでもなく。

それはもう晴れやかな顔をしている事だろう。


「なんか、葉菜、かっこいい、ね」


夕もメッセージを読んで笑顔になっている。

なによりだ。


「永咲さんの覚悟、本物ってことね」


凜も笑顔を浮かべながら肩をすくめる。


「真面目にやらなきゃ、あいつに顔向けできないな」


幸が笑顔で私たちの気を引きしめる。


「私たち、も本気で、成長、しないと」


夕が笑顔でやる気を宣言する。


「後悔のない再開にしないといけないわね」


凜が笑顔でまた会える日に思いを馳せる。


「あのやる気、一方通行なんて許さないんだから」


私は笑顔で葉菜に宣戦布告をする。



4人、気持ちを新たに再び前に進んでいくことを、葉菜からのメッセージと覚悟に誓った。




[私は、またみんなに会える時を本当に楽しみにしてるから!再開の瞬間を全力で楽しむために、みんなの連絡先を消します!これが、覚悟だよ!!!]

みなさんこんばんは!イロハです!

あるいはおはようございますこんにちは!


非常に重要な回ですね。

ここからが3章の始まりと言えるでしょう!

お楽しみ頂けるように、

キャラ達同様精一杯頑張ります!


それでは、今回はここで終わります!

また次回、よろしくお願いします!


【次回投稿予定日は 2月12日 です】

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