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鉄の世界に咲く花は  作者: イロハ
惨劇の予兆
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無邪気な裏拳

『少し早いけれど、お昼ご飯の準備をしようかしら。クイラちゃん、手伝ってもらえる?』


『おばあちゃん!おひるごはんなにー?』


『今日はリュトちゃんの好きなポトフよー』


昼食のメニューを聞いたリュトがバッと立ち上がり大きくバンザイ。

オレに『やったね!』と笑顔を向けてくるが、突然のことにオレは曖昧な返事になってしまった。


『あら、グリュックくんはポトフ苦手だったかしら?』


台所からばあさんが心配そうな声で尋ねる。


「いや、嫌いじゃないです」


『………?クイラちゃん、今何って言ったのかしら?』


『嫌いじゃないですって。「グリュック、言葉が戻ってるわよ」』


『あ、つい………』


会話の緊張からか、無意識に言葉が戻っていることを指摘され、オレは右手で口元をおさえる。


まだこの国の言葉に馴染んでいない証拠だ。

もっと勉強続けないとな………。


『それじゃあおばあちゃん、一生懸命作るから楽しみにしててちょうだいね』


『あ、わかりました………』


隣の部屋へ返事をするが、どうしてもたじたじになってしまう。

相手の態度からしてあまり身構える必要は無いようにも思えるが、自分の立場を考えると対等な感じで発言をすることが出来ない。


『おにーちゃん、どうした?げんきない?』


リュトがオレを心配してくれる。

しかしリュトの両手はオレの頬を掴んで引っ張ったり押し込んだりと忙しなく動いている。

行動と言動が噛み合っていないリュトの両手を引き離すと、背後から声が聞こえた。


『そんなに緊張してないで、もっと気楽に話したらいいじゃないか』


声の主は、大きな木の椅子にデンと腰掛け、腕を組んだディラだ。


『でも、緊張して………』


今度はオレがリュトの両手をいじくりながら弱々しく返事をする。


『俺たちと初めて話した時はあんなに怒鳴ってたのにな』


『いやっ、それは………』


グラフが茶化して笑い出す。

それにつられてリュトもより笑顔になる。

………痛い痛い腕を振り回すんじゃないよ。


暴れるリュトを両手でグイッと引き寄せ、オレの膝へのせた。


『おお、2人とも仲良しじゃないか』


『全く、ちゃんと仲良くしてくれて安心したよ。もっとも、リュトのことだからあんまり懸念してなかったけどな』


そういって親子2人で笑い合う。

この家庭はどの関係も仲がいいんだな………と思いながらボーッと膝上のリュトを眺める。


視線に気づいたのか、首をもたげてリュトがこちらを見る。

目があうと、キャッキャと喜ぶ。

全く、赤ん坊でもペットでもないんだから………。


くそう、可愛いやつめ。


『よかったなあリュトちゃん、憧れのお兄ちゃんが出来て』


『憧れ?』


ディラの発言にオレは首を傾げる。


『うん、よかった!おにーちゃんすきー!』


「ぐほあ!」


リュトが体をグルンと回転させてオレに抱きつく。

その途中、遠心力によって攻撃力が倍加した右手の裏拳がオレの右頬に炸裂した。

こんばんは!イロハです!

あるいはおはようございますこんにちは!


この夏休みの間で、リュトとグリュックは

随分と仲良くなったようです。

作者はグリュックが羨ましいです。

こんな金髪ロングでかわいい妹欲しかった………。


グリュックは未だ義祖父母に対しどこか

壁を感じているようです。

果たしてその障壁を取っ払うことは

できるのでしょうか。

「義祖父母との対面」編はもう少し続きます。

ぜひお付き合いくださいな。


それでは、今回はここで終わります!

また次回よろしくお願いします!


【次回投稿予定日は 12月4日 です】

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