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鉄の世界に咲く花は  作者: イロハ
一年生
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さあプレゼントを開けよう! #2

「えーと……最後のプレゼント、開けてもいいかしら?」


凜が自分の左に置かれたでっかい袋を眺めながら言う。


「もちろん!開けてみてよ!」


開けるというよりはみんなのプレゼントと違い箱ではなく袋なので、取り出すと表現したほうが正しいだろうか。


ガサガサと大きく音を立てながらビニールが取られ、徐々にプレゼントが姿を表す。


「いよいしょっ……わあかわいい!でも大きい………」


「でしょ!この子、私の部屋にもいるんだよー」


凜が両手に抱くプレゼントは巨大なクマさんのぬいぐるみ。

抱えているため、クマさんの顔が目の前にある凜は両目を見開いてまじまじとクマさんを見つめる。


「動物苦手な癖に、ぬいぐるみは大丈夫なの?」


葉菜がいたずらっぽく凜に尋ねる。

クマで隠れていた凜が顔を覗かせながら答える。


「この子はふわふわで、目もクリクリしててかわいいじゃない。何より噛んだりしてこないし」


「……基準、はぬいぐるみでも、そこ、なんだ、ね」


思わず動物好きの夕がつっこむ。

凜はクマさんをベッドの上に移動させた。


「この子はここに置かせてもらうわ」


「毎晩添い寝だねー!家族の一員みたいに、可愛がってあげて!」


凜は頷き、クマさんの頭を撫で始める。

ふわふわのクマさんの頭は凜の手で少しへこむ。


撫でる手を止めず、私たちに背を向けたまま凜は言った。


「みんな……こんな時間だけど、まだ帰らなくても大丈夫なの?」


「え?いま何時……て、いつの間にこんな時間!?」


幸が携帯で現在時刻を調べる。

同時に驚嘆の声を上げる。


「あはー、ちょっと長居しすぎたねー。お母さんに怒られちゃうかも!」


葉菜がドタバタと自分の荷物をまとめ始める。

夕は凜と一緒に机の上のお菓子のカスや袋をゴミ箱へ。

私は床に散らかった細かなゴミを集める。


「ちょっと家に電話してくるねー」


「いってらっしゃーい」


幸は携帯片手に自宅へ連絡をしに行った。


「あ、ペットボトル、は幸が、持って帰る、と思うよ」


「そう?それじゃあ後でお願いしておこうかしら」


ベッドの下奥まで飛んでいっていたキャップを取るために上半身をベッドの下に突っ込んでいた凜に夕がそう伝える。


荷物をまとめ終わった葉菜が片付けに参戦。


「とりあえず私がやるから、紗愛も夕も荷物まとめてきていーよ」


「わかったー、片付けよろしくー」


片付け委員が入れ替わり、同時に連絡を終えた幸も戻ってきた。




片付けを終え、祝う側4人はそれぞれ荷物を持ち、凜に案内されて玄関へ。


「みんな、今日はありがとう。とっても楽しかったわ。時間も遅いし、気をつけて帰ってね」


「うん!じゃーねー凜」


葉菜が小さく手を振り返事をする。

4人で「お邪魔しました」と挨拶をして、谷本家を後にした。

そのあとはいつもの2人組に別れ、街灯や車のライトに照らされる道を辿ってそれぞれの帰路についた。






みんなを見送った私は早足に自室へと向かい、ベッドにうつ伏せになる。

自分の隣にいる新しい「家族」の頭を見つめ、起き上がって抱きしめる。

先程までのとても楽しい気分とはうってかわって、今は少し、悲しい気持ち。


「凜、お風呂わいたよー」


リビングからお母さんの声が聞こえる。

だが、返事をする気分にはなれない。


2分ほどすると、廊下から足音が聞こえた。

返事が無かったことを気にかけてお母さんが来たのだろう。


「凜?入るわよー」


ノック代わりに声をかけ、お母さんが部屋へ入ってきた。

私は特に気にせず家族を抱きしめている。


「どうしたの?」


「紗愛がね、この子をプレゼントとしてくれたの」


「かわいいじゃない。ふかふかで、優しい顔」


ぬいぐるみの鼻を人差し指でツンッとしながらお母さんが言う。


「………紗愛がね、この子を家族のように可愛がってあげてって」


この一言を言った瞬間、お母さんのまとう雰囲気が一瞬で変わったことを感じる。

それは、どこか悲しげで何かを懐かしむような雰囲気。


「そうね。…………大切にしてあげなきゃね」


私に元気がない理由を察したであろうお母さんが私の頭を撫でながら穏やかに話す。

無意識のうちに流れていた涙が私の頬とシーツを濡らす。


明理(あかり)はぬいぐるみ、好きだったわね。この大きな子を見たら、きっと欲しがるんじゃないかしら」


お母さんは静かな口調で話し続けてくれる。

その声がなければ、私はもっと泣いてしまいそうだった。


「みんなといた時は、とても楽しそうに笑っていたじゃない。あなたは確実に前へ進めているわ。しっかり自分の芯を持って、頑張りなさい」


お母さんはそういうと、


「先にお風呂入っちゃってもいいかしら」


と私に尋ねて部屋のドアノブに手をかける。

私はそれに無言で応えた。



お母さんはああ言ってくれるけれど、私にはどうしてもそんな自覚が持てない。

もう年単位で前のことなのに、未だに明理(あかり)を思い出して涙してしまう私は本当に前に進めているのだろうか。

本当に、私の芯は強いのかな。


でも、やっぱり――――――――――




私は、自分の中に芯があるだなんて思えないよ。


こんばんは、イロハです!

あるいはおはようございますこんにちは!


本編!そこそこ長いです!

お楽しみいただけましたでしょうか!


大切なお話になったかなーと作者は思います。

完全に凜回です。

詳しいことは当然言えませんが(苦笑)

なんとなく紗愛が悪役ポジになってしまっている

ように感じなくもないですが、決して

そんなことはない、とだけ言っておきます(笑)


書いていて楽しいお話でしたとさ。


それではまた次回ですかねーっと。

それではっ!さようならー!


【次回投稿予定日は 8月27日 です】

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