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鉄の世界に咲く花は  作者: イロハ
一年生
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ハッピーバースデー、夕 #2

「あっ、この子かわいい!ほら凜もおいでよー」


「いやっだいじょーぶっけっこーですっ」


前のケースの中にいる子犬とガラス越しに触れ合う私と私の後ろで子犬を見ようともしない凜。


「だって!犬って噛むじゃない引っ掻くじゃないほえるじゃない!怒った顔怖いじゃない!昔は狩りをしてたのよ!いつ本能むき出しになることか………………」


「考えすぎだよー、最近になって犬が狩りをしてるなんて聞いたことないでしょ?」


「それはそうだけれど…………」


それでも尚頑として振り向かず、依然一定距離を保ち続ける凜。


「すみませーん、この子抱っこできますか?」


店員さんにお願いすると、笑顔でこちらを向いて、


「少々お待ちください」


と言ってもらえた。

そして振り返ると犬猫コーナーにきて初めて凜がケースの方を向く。

というか正しくはケースの前にいる私の方を向く。


「え、本気で言ってるの?」


みたいな表情を携えた凜に先手を打つ。


「本気も本気、可愛いんだもの。抱っこしないと!」


しばらくして、先程の店員さんが小さな小さな子犬を抱いてこちらへやってきた。

それを見るなり凜はゆっくりと退散……しようとして私に捕まる。


「…………ああもういいわよさあ来なさい犬!もう私いくからねぁやああ!」


観念して私に向き直った凜は既に私の腕の中にいた子犬と目があい、マッハで後ずさりする。

店員さんに教えてもらった抱き方で優しく丁寧に子犬を抱く。

生き物の温もりを胸の辺りに感じ、とても癒される。


「あぁ〜……かわいいなあキミィ!」


人差し指の先で軽く首元を撫でる。子犬は目を細めて気持ちよさそうにしてくれる。

凜は目を見開いて警戒態勢を解かずに見つめてくる。


「小さくて落としそうで怖いなあ…………」


「そうでしょう怖いでしょうさあ店員さんにお返ししたらどう?」


「凜の怖いとは別の怖いだから大丈夫だよー」






「……………いなかった」


夕ならハムスターの所にいるだろうなーと踏んでいたが、予想は外れ。

そこでは夕と葉菜の姿を確認することは出来なかった。


「ほらっ今度は凜の番だよ」


「ちょっっと待って新城さん本気なの?」


おお?何やら凜が紗愛にいじめられてる……?

あ、多分私今悪い顔してるな?

とりあえず合流しておいたほうがいいだろうし、私も凜いじりたいから向かおうかな。


「おーい紗愛ー、凜ー」


「あっ幸じゃーん」「中嶺さん助けてー!」


凜が幸に気づくや否や腕を伸ばして助けを求める。

が、幸はその腕を取ることなく、一瞬で私側の陣営に入った。


「さあ凜、その子を抱くんだ!」


「あれぇ!?さあ逃げよう、じゃないのね……………」


味方だと信じていた幸に刹那で裏切られた凜はカッと目を見開いたあと、ゆっくりと目を瞑った。

その後短い瞑想を終えた凜は瞑想前とは若干違った面持ちで私の方を見た。


「もう、どうせ逃げられないんでしょう?覚悟、仕方ないから決めたわよ…………で、でも抱っこじゃなくて少し触るだけで勘弁して……………」


「むう、仕方がない今回はそれで行こう」


凜は大きな深呼吸を2回。

店員さんにどう触ればいいかを尋ねる。


「首の付け根辺りをゆっくり触るといいと思いますよ。そうすればこの子もびっくりしないので、怒られたりといったことはないと思います」


「わっ、わかりました……」


明らかにビビっている凜に内心ニヤニヤしつつ、少し子犬を前に出し、凜が触りやすいようにする。


凜は指を伸ばし、店員さんに言われた通りに触る。


「ひゃっ」


指先が子犬の毛に軽く触れると、凜は細い小さい悲鳴を上げスっと手を引っ込める。

しかし再度手を伸ばし、子犬に挑戦する。

指で毛を撫ぜ、少しずつ手のひらで無でーる……。


「も、もう大丈夫です。ありがとうございました」


慌てながら凜が思わず店員に頭を下げる。

私も子犬を店員さんに返しながらありがとうございましたとご挨拶。


「あー疲れたぁ……」


凜が通路脇にあったベンチにへなへなと座り込む。


「凜、どうだった?」


幸の質問にプハっ、と水分補給を終えた凜が答える。


「怖いわよ!怖いんだけどその……ふわっとしてて、温かかった……かな」


凜のその反応に私と幸は顔を見合わせる。お互い、ニヤニヤが止まらなかった。




ドアを開けて外に出る。黒い空に灯る電灯が眩しい。


「ねえ葉菜、あれ」


夕が指さす方向に葉菜が視線を動かす。

そこには名前はよく知れどあまり直接お目にかかることのないと思われる動物のシルエット。

そのシルエットが両前足を上にあげ、大きく(いなな)く。


「馬だあ!」

鹿、栗、黒鹿、芦など様々な色の馬が総じて7頭。

1頭ずつそれぞれの馬房に入っている。

その奥にもまた別の馬が3頭放牧されている。

2人で馬房に近づくと、値札がかかっていることに気がつく。

その値は少なくとも高校生に出せるものではないと葉菜は考えるまでもなく悟った。

大人でも呻く7桁の数字がさも整然と並んでいる


「馬って、高いんだね」


「意外と冷静ですね夕さん、私はびっくりだよー」


この値段に加えて毎日の食費やら(あぶみ)(くら)などの備品の値段も上乗せされるのだからたまったものではない。

明らかに富豪さんの動物だなと思った。


「葉菜、葉菜」


夕が自分の携帯を見ながら葉菜の袖を引く。


「そろそろ、次、の場所に移動、する時間」


「了解!それじゃあとりあえず合流しないとねー。紗愛にでも電話してみるかなっと」

みなさんどうも、イロハです!


1日ズレました、すみません!


全っ然関係ないですけどこれを書いている今、

お腹が痛くてたまりません。助けてください。


ペットショップ回2話目です!誕生日回の中の。

前回、イロハはヘビが好きですといった

旨のお話をしましたが、イロハは犬も馬も

大好きなのです!というよりは

昆虫以外の生物は全て好きですね(笑)


ではまあこの辺りで終わりにしますか……また次回!

………あーートイレーー………


次回投稿予定日は 5月29日 です。

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