そうしたいのはお前の意思だ
『……………お前か』
『お前って…………私にはリアっていう名前がありますよーっと。お邪魔します』
実機授業1回目、ヨーラ班の2人目はリア。
いつもと何ら変わらぬ軽口を携えながら、先生の待つP1へリアが乗り込んできた。
『そんなような気はしていたが、緊張はほとんど無さそうだな』
『全くないって訳では無いですけどねー。それより、葉菜が平然としていた事にビックリしたんじゃないですか?』
『あれは確かに驚いた。かなり意外だったな』
リアは操縦席に腰掛けながら、先生は安全ベルトを体に取り付けながら、その場に似合わぬ和んだ空気で会話を弾ませている。
足元に置いてあるヘルメットを被り、準備は完了した。
『いけるか?』
『はい、いけます!』
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『なあハナ、どうだった?どうだった!?』
控え室で待つみんなの元へ合流し、2番手のリアを送り出したところでフィリから怒涛の勢いで話しかけられた。
『ちょっ、耳元で叫ばないで………………』
『フィリ、少しは落ち着きなさいって。朝からやかましすぎるわよ』
言葉と共に抱きついてくるフィリを、背後からマヤがロックする。
『楽しかったよ。自分ではそこそこ上手く出来たと思うし』
『緊張が無かったのも、いい結果に繋がったでしょうね』
『もっとガチガチになってるもんだと……………って先生に言われたよ』
『オー!似てる!似てるぞハナ!』
ヨーラ先生の声真似をしながら、言われた事を復唱する。
どうやらそれなりに似ていたらしく、マヤに雁字搦めにされているフィリがじたばたと喜んでいる。
いないいないばあで喜ぶ赤子のようだ。
『まあ、上手く出来たようで何よりだわ…………ところで……………』
体と声を震わせながらマヤが言う。
その後に続いた言葉は―――――――――――
『フィリを抑え込むの、手伝って貰えないかしら?』
『…………………よしきた』
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『今日はここまでだ。お疲れ様だったな』
『はーい、お疲れ様です』
初操縦が終わっても尚飄々としているリア。
資料に授業の結果を書き込みながら、先生が嘆息する。
『お前、機体の揺れにも影響されないんだな。葉菜はフラッフラになっていたのに』
『そーなんですか?全く、まだまだだな』
何故か自分が優位に立っているような発言をするリア。
『操縦テクニックだけみれば大した差は無いんだがな』と、苦笑いをする先生。
しかし、一転し少し険しい表情に変わる。
その理由は、コックピットに入ってから不断の笑みを浮かべ続ける生徒にある。
『リア………………お前、無理してないか?』
『っ…………………いきなり何ですか?実際、私はフラフラにもなってないですしー』
頑としてこの態度を崩そうとしないリア。
だが、一瞬の言い淀みを、数多くの生徒を見てきたヨーラは見逃さなかった。
『お前がやろうとしていることは、並大抵の事ではない……………それどころか、紛うことなく地底世界が始まってから前代未聞の事なんだからな。だが、軽率に相談出来るような事でもない。そうだろ?』
『………………なんだ、先生は知ってるんですね』
急激に語調が固く、しかし弱々しくなるリア。
固く握り込まれた両の手は小刻みに震えている。
『それじゃあ…………先生は私の事、どう思っているんですか?』
『どう思うもなにも、お前は何もしてないだろ』
リアからの不安気な問いかけに、間髪入れずに返答するヨーラ。
どこか怯えている様子のリアだが、それとは対照的に「当たり前だろ」とでも言わんばかりの話し方で続ける。
『お前が世界に何かしたか?むしろお前はこの世界を救う立場になろうとしているんだ。お前自身が咎められる要素がどこにある。それどころか、お前は世界のために、自らの人生を賭しているんだ』
『先生はそういってくれますけど………』
『そう思うのはお前の意思だ。ここにいるのもまた、お前の意思だ。これ以上、私が干渉するべきでは無い』
生徒への、ヨーラなりの愛情がこもった言葉をかける。
『何かあったなら、私を頼れ。私は教師であり、お前は生徒なんだからな』
みなさまこんばんは、イロハです。
あるいはおはようございますこんにちは。
水曜日の投稿、お休みしてすみませんでした。
その代わりと言ってはなんですが、
今回は少しばかり濃いめの味付けと
なっているかと思います!
漂う不穏な空気の真意はまだ長くは
明かされませんが、どうかお楽しみに!
それでは、今回はここで終わります。
また次回お会いしましょう!
ブクマや感想をくださるととても嬉しいです!
【次回投稿予定日は 7月8日 22時 です】




