刺々しくも
「…………あら、最初は中嶺さんからね」
「はい、よろしくお願いします」
エリスムのコックピット内で、パイロットスーツを身にまとった宮居先生と顔を合わせる幸。
そこに日頃の元気な雰囲気は漂っておらず、代わりにあるのは小動物程度ならば尻尾を巻いて逃げ出しそうなほどに刺々しい空気だ。
「中嶺さん、いい目をしていますね」
「そうですか?ありがとうございます」
一方の先生も、どこか抜けた様子の宮井先生ではなく、正真正銘、何度も戦場へ赴いている強者の表情をしている。
「それでは、始めましょうか。座席についてください」
先生に促され、幸が操縦席に座る。
シミュレーションの授業で繰り返し練習した通り、正面にある2つのレバーを両手でそれぞれ掴む。
「まずは陸での移動から始めます。左手に持っているレバーを、ゆっくりと少しだけ前に倒してください」
嫌という程に冷や汗をかきながら、言われた通りに左腕を前へ押し出す。
すると、
「……………うおっ」
揺れと共に、エリスムの左足が一歩前へ踏み出される。
「今日は細やかな動きまではやらずに、大まかな動きをいくつか教えていきます。各動きを詰めていくのは今後の授業で行います」
「分かりました」
そのあとは後ろへ下がったり、ジャンプしたり、走ったり屈んだり腕を振ったりと全身運動を複数こなしていく。
「……………基本的な動きはシミュレーションでマスター出来ているようですね」
手に持ったバインダーに挟まれている資料にペンを走らせる先生。
どうやら、現段階ではそこそこいい評価を貰えているようだ。
カチッとペンの蓋を閉め、先生が再び口を開く。
「これで今日の分は終わりです。お疲れ様でした」
「ありがとうございました」
操縦席を立ち、頭を垂れる幸。
ボタンを押してコックピットの入口を開き、外へ出ようとすると――――――――
「中嶺さん、その後………………お父様とは………?」
先生が幸に質問を投げかけた。
それに対して幸は少し俯き、下唇を噛んだ。
「ごめんなさい、いきなりこんな質問をしちゃって………………」
「いや、大丈夫です…………でもまあ、相変わらず、かな」
表情を苦笑いに切り替えて、軽い口調で返事をする幸。
「黒森さんや保護者様とは、上手くいっているの?」
「夕はもちろん仲良しだよ。香おばさんも優しいですし、不自由とかはこれといって特に…………」
「そう、それなら安心したわ」
「それじゃあ、次呼んできますね」
会話を切り上げ、幸がエリスムを後にする。
心の中で父親に唾を吐きながら、順番を待つ次の生徒を呼びにシミュレーション室へ向かった。
みなさまこんばんは、イロハです。
あるいはおはようございますこんにちは。
始まっていきました実機訓練。
機体の描写や、緊張に満ちる
キャラたちもそうですが、
ここから核となるようなストーリーも
徐々に展開されていきます。
ぜひお楽しみにっ!
それでは今回はここで終わります。
お読みいただきありがとうございました!
また次回お会いしましょう!
※Twitterもあります
https://twitter.com/iroha_TETUHANA
【次回投稿予定日時は 6月10日 22時 です】




