フィリがここにいる訳
『ハナ、どうした?なんだか元気ないんだよ?』
『あははー…………ちょっとね?』
3時間目が終わり、更衣室にてみんなが運動着から私服へと戻る。
初の実技授業も終わり、緊張の糸が切れたらしいみんなが笑顔で先の授業の振り返りをしている。
だが、思い通りの結果とはならなかった葉菜はその会話に交じり盛り上がる気にはなれず、ため息をつきながら着替えを進めていたところ、横からフィリが声をかけてきたところだ。
『さっきの授業があまり上手くいかなくて…………』
『それでさっきから微妙に元気がなかったのか』
リアも同調してくれるが、悲しみの大きい葉菜の耳には響かず、ただ右から左へと通過していくのみだ。
そこへ勢いよくマヤが飛んできて、ダラりと力の入っていない葉菜の両手を握りしめた。
『? マヤ?どうし――――――――――』
『葉菜、心配しないで!私も同じだからっ!』
『ちょっとマヤ!痛い痛い止めてやめて!』
『あっ、ごめんなさい』
その両手を、もげるかと思うほど激しく上下に揺すぶった。
静止をかけたが、マヤは腕を振り上げながら手を離したため、海老反りのような体勢になる葉菜。
『ほい!ハナ、大丈夫かっ!』
シュッと葉菜の後ろに回り込んで支えとなるフィリ。
そのかいあってか、葉菜の背骨が軋むことはなく、なんとか海老人間と化すことは免れた。
『ごめんなさい葉菜、大丈夫だった?』
『うん、大丈夫大丈夫。おかげで元気でたよ。マヤも、緊張してたの?』
『そうなの。普段は記憶力に自信はあるのに…………いざP1に乗ったら頭真っ白になっちゃって』
わかるわかると2人そろって首を縦に振る葉菜とマヤ。
いつの間にか着替えを済ませたリアが、更衣室内ではしゃぎ回るフィリを上手にあしらいながら言う。
『まあまだそんなに慌てなくても大丈夫だと思うぞ。テストはまだ先だし、退学制度に怯えることもないだろ』
『…………確かにそれはそうなんだけど』
テストはまだ先であり、退学を警戒しなければならない時期ではないことは間違いない。
家で落ち着いて自主勉強に励めば、この遅れを取り返すには十分すぎるほどの時間があると言えるだろう。
『リアは随分と余裕そうだけれど、手応えはあったのかしら?』
『当たり前だろ。多分今からでもさっき習った分は全部言えるぞ』
胸を張り、自慢げなリア。
『緊張してなかったの?』
『別にしてなかったぞ』
『す、すごいわね……………』
初搭乗にも関わらず、平常心で臨めたと豪語するリア。
相変わらず肝座ってるな、と関心してしまう。
『緊張してなかったといえば……………フィリはバッチリ出来たの?』
『お? もちろんだよ!ってゆーか、フィリは教わらなくてもなんとなーくわかるんだよ!』
くそう、おのれチーターめ。
やっぱり身内に関係者がいると強いんだな…………。 そこで、ふと思い浮かんだ疑問をフィリに投げかけてみた。
『フィリが兵士を目指してる理由って、家族が関係者だから……………っていう感じだったりする?』
『えーっとね、確か6歳ぐらいの時に、パパのお仕事場でちょっとしたパーティみたいのがあったんだよ。それに着いて行った時に見た機体がカッコよすぎたんだよ!』
『それに影響されたったわけか。葉菜、似たようなやつがここにもいたな』
『ちょっ…………やめてよ!』
今自分がアメリカ領にいる理由を掘り返され赤面する葉菜。
そして当然それに反応してくるのが――――――――
『それは、どういうことなのかしら?』
『フィリ、気になるんだよ!』
『お、やっぱり気になるか? えーっと、これは葉菜が留学に来た理由なんだけど……………』
『リア、そんなこと話さないでってばー!!』
みなさまこんばんは、イロハです!
あるいはおはようございますこんにちは。
ようやく窮屈なご時世も快方へと
向かい始めているということで、
安心感も広まりつつあるのではないでしょうか。
とは言っても未だリスクが根絶された
訳ではないので、健康管理はしっかり
おこなっていきましょう!
では、また次回、水曜日の夜にお会いしましょう!
※Twitterもあります
https://twitter.com/iroha_TETUHANA
【次回投稿予定日時は 5月20日 22時 です】




