げんなりする
『おはよーなんだよ!』
翌日の朝、教室にて。
大きな音と大きな声を引き連れながらフィリが元気に参上。
自分よりも先に登校していたクラスメイトに手当たり次第に話しかけ、最後に葉菜とリアの元へも突撃。
『2人とも!おはよーなんだよ!』
『おはようフィリ……………って、また飛んでこないでよ!?』
『おお、そうだったな!飛んだら痛いんだったな!』
獲物へ飛びかかろうとする肉食動物のような姿勢のフィリを、葉菜がすんでのところで静止させた。
前傾姿勢からグッと重心を後ろへズラしたため、体が己を支えきれずフィリは後ろへ倒れた。
『わっ!フィリ、大丈夫か?』
『あててー。うん、大丈夫なんだよ』
ヒリヒリするお尻を摩りながらフィリが立ち上がる。
それと同タイミングで、大きな荷物を持った先生と大量のプリント資料を抱えたマヤが教室へとやってきた。
『おいお前ら席に座れー。授業ノートやらプリントやらを配るぞ』
先生の一言で、教室中に散らばる生徒たちが席に着き静かになる。
両手いっぱいの資料を教卓へと置いたマヤも自席に着いた所で先生が話を始めた。
『今日から授業諸々が始まる訳だが………………あー、とりあえずさっき言った通り色々と配るぞ』
そういって先生から配られた水色のノートに名前を書く。
みながペンを走らせる音が止んだところで先生が話の続きを始める。
『次に配るのは保護者の方へのプリントだったり、機体を使った訓練について簡単に説明したプリントだ。数分時間をとるから、各自1度目を通せ』
手元に届いたプリントを隅々までじっくりと目を通す。
プリントに記されている機体名は、アメリカ領の練習機として最も流通している《P1》。
あくまでも練習機のため総合的な戦力は高くはないが、コックピット内の構造が簡易的なため、操縦の感覚を掴むにはうってつけの機体といえるだろう。
「リア、実際に乗るの楽しみだね」
『あーー……………そうだな』
高ぶる興奮をなんとか何処かへ逃がそうと小声でリアに話しかける。
だが、話しかけられたリアはというと、話には乗って来ず、険しい目付きでプリントを睨んでいる。
日本語で話しかけたにも関わらず、その返事は英語だ。
『………………?どうしたの?何だか元気無さそうだけど……………』
『! いや、大丈夫。ちょっとボーッとしてただけだ』
『おいお前ら、読めとはいったが喋れとは言ってないだろ』
『あ、すいませーん』
片手を上げて軽く適当な謝罪を先生へと投げるリア。
馴れ馴れしいリアの態度に、葉菜は苦笑い以外の反応が思いつかなかった。
朝の時間が終わり、1時間目のためにクラスみんなで移動する。
授業用の服が入った袋を手に取り、リアと2人並んで一団に続く。
フィリは真っ先に教室を飛び出し、マヤは先生と共に職員室へと向かっていった。
「はあ、緊張する…………心臓爆発しそう……………」
「大袈裟すぎないか」
主張の激しい左胸を左手で押さえる。
そんな葉菜とは裏腹に、リアの態度は随分飄々としており、服の入った袋をぶんぶんと振り回している。
「流石というか……………リアは元気そうだね」
「まあこんなところで緊張してても仕方ないしな。そういう葉菜こそ、こういうのには強いと思ってたんだけどな」
「私自身大丈夫だと思ってたんだけどなぁ…………」
想像していた「緊張に抗う自分」と、今ここにいる自覚ある自分との差にげんなりする。
結局心臓は鳴り止まないままに、大きく聳えるドームの入口へと辿り着いた。
みなさまこんばんは、イロハです。
あるいはおはようございますこんにちは。
GW3日連続投稿最終日でございます。
お楽しみいただけましたでしょうか?
作者としては「よしやってやったぞ」と、
僅かながらに達成感が湧いております(笑)
そしてお知らせですが、今回3日連続で
投稿しましたので、本来水日の週2日投稿ですが、
明日の投稿はおやすみさせて頂きます。
ので、次回は日曜日にお会い致しましょう。
それでは今回はここで終わります!
お読み頂きありがとうございました。
感想やブクマなどお待ちしております。
※Twitterもあります
https://twitter.com/iroha_TETUHANA
【次回投稿予定日時は 5月10日 22時 です】




