横っ飛びオレンジ少女
『それじゃあ、とりあえず10分間は休憩だな』
先生がそう言い残し、教室から出ていった。
葉菜は瞳を閉じ、俯きがちに小さく息を吐いた。
なんとか勇気を振り絞り、誰かに話しかけよう………。
そう意気込み、スッと瞳を開くと―――――――、
『なあ!!』
「うわあ!!?」
バァンッ!と両掌で机をぶっ叩く少女が目の前に。その勢いに押されて葉菜は椅子ごと後ろへ傾いた。
『おっ!大丈夫か?』
『うん、大丈夫だけど……………な、何?』
精一杯姿勢を元に戻しながら元気少女の問に答える。
少女は机に両肘をつき、手で顎を支えてニコニコしている。
『ハナっていうんだよな?フィリはね、フィリっていうんだよ!』
『あ、うん、そう…………よろしく』
そう答えると、フィリは葉菜の後ろへ回りこみ、頭をわしゃわしゃと撫で回した。
『あははー、よろしく――――――――にゃっ!!』
『おい』
破天荒な行いを続けるフィリの頭に制裁のチョップが降ってきた。
後ろを振り返ると、頭を押さえてうずくまるフィリと、手刀を構えるリアの姿が。
『なにすんのリア!チョップなんてしたら痛いんだよ!』
『そんなことは分かってる。それより、葉菜がビックリしてるだろ』
『そーなのかっ!ごめんなんだよっ』
パンッと両手を合わせて謝るリア。
『あ、ありがとうリア』
『悪いのはあいつだからな。初対面のやつにああもやかましく絡めるのは流石だけど…………。とにかく、あいつは基本あんな感じだから気をつけろよ』
既にこの場から去り、他の友人にちょっかいをかけるフィリへと視線を送るリア。
葉菜も同じく、客観的に彼女を眺めてみる。
夕とあまり変わらない身長……………いや、もしかしたら夕よりも低いかもしれない。
発色の良い短めのオレンジ髪は毛先が所々ぴょんぴょんと跳ねており幼さが残っているようだ。
色の薄い腕や脚、腰も非常に華奢で、あの明るく人懐っこい性格と相まってだいぶ年下に感じられる。
『早速フィリに絡まれたのね。何も無かった?』
『あ、マヤ。大丈夫だったよ。髪の毛くしゃくしゃにされちゃったけど』
撫で回され、乱れに乱れた髪を手櫛で雑に整える。
マヤは腕を組み、下を向いて大きく息をついた。
『全く……………。ごめんなさい、あの子は基本的に見境ないから』
『あはは…………リアと同じこと言ってる』
とりあえず、初対面のフィリの印象は、かわいいがとにかく見境がない、に落ち着いた。
この後はちらほらと初めましての人と簡単に挨拶をしたり、人によっては軽めの世間話をしたりした。
中には会釈だけ、という子もいたが、その子とはぜひいつかお話しよう。
休憩時間が終わり、事務的な連絡を聞いたり、いよいよ明日から始まる授業の説明を受けていくつかのプリントをもらったりしたところで、始業式の今日はこれでおしまい。
荷物を持ってゾロゾロと教室から出ていく新クラスメイト。
葉菜もリアと共に帰ろうと教室内を見回していると、
『とぉっ』
『ぬはぁっ』
横腹にフィリから横飛びの頭突きをくらった。
かかる力に素直に従い横へと飛んだが、たまたまそこにいたマヤに受け止められた。
『ちょっ………!!葉菜、大丈夫!?』
『あぅ…………ダイジョーブ』
マヤの腕の中でぐったりしながら、返事を返す。
加害者フィリは小さく跳ねて楽しそうだ。
『ハナ、マヤ、いっしょに帰ろーなんだよ!』
『フィリ!その前にごめんなさいでしょ!?』
『ぅあ…………ゴメンナサイでした』
マヤの剣幕に、一歩引き下がりながら、怒られている園児のようになるフィリ。
大ダメージを負った場所を摩りながらフラフラと立ち上がり、片手を上げて大丈夫だとフィリに伝える。
『葉菜、本当になんともないの?』
『うん。だからフィリ、気にしないで』
コクコクとかわいく頷くフィリ。
痛いは痛いが、そんなしぐさがかわいくてつい許せてしまう。
そののちこの場にリアも合流し、4人で教室を出る。
初登校は精神的にも物理的にも刺激満載で、凹んだ横腹とは対照的に、胸は期待に膨らんでいた。
みなさまこんばんは、イロハです。
あるいはおはようございますこんにちは。
さて本日4日は、GW3日連続投稿2日目です。
前の話に続いて新キャラ登場回になりました。
中々に刺激的且つ個性的な
キャラクターですが、如何でしょうか?
これまでのキャラクター同様に
受け入れていただけると嬉しいです。
それでは、今回はここで終わります。
また明日も20時に投稿されますので、
手と喉と首を洗ってお待ちください。
それでは!
※Twitterもあります
https://twitter.com/iroha_TETUHANA
【次回投稿予定日時は 5月5日 20時 です】




