入室
「…………………」
部屋と廊下の狭間に立つ、自分と同じような背丈の女の子を葉菜は無言で見つめる。
薄く淡い金髪は美しく煌めいており、サイドアップで綺麗にまとめられている。
水色基調の少々幼さが残るファッションとは裏腹に、力強く切れ味の良い瞳からは真面目な印象を受ける。
その瞳から放たれる視線は葉菜を上から下へと眺め、そして顔へと戻ってきた。
『あなたが…………永咲葉菜さん?』
『そうです!留学生の永咲葉菜です。よろしくお願いします!』
『そんなにかしこまらなくてもいいのに…………。私は学級委員のマヤ・コークスよ。よろしく』
『そっか、同い年だもんね。それじゃあ、よろしく!』
同い年だから、ということを意識した途端に緊張はあれよあれよと飛んでゆき。
持ち前のコミュニケーション力を発揮して距離を詰める。
『馴染めそうで何よりだ。クラスのみんなも待っているだろうから、早く行きなさい』
校長先生にも背中を押され、マヤとも話すことができた葉菜は自然にふつふつと元気が沸き、マヤに新しい教室への案内をお願いした。
=======================
『……………ねぇ、本当に入るの?』
『さっきまであんなに元気だったでしょうに……………教室に近づくにつれてどんどん萎れていくじゃない』
数秒前まではマヤの言う通り色々と話せていたにも関わらず、教室の入口を視界に捉えた瞬間に元気は遥か彼方へ。
その代わりに、さっきおさらばしたはずの緊張が片手を上げて馴れ馴れしく帰ってきた。
『あなた、リアの家に住んでいるんですって?』
『そうだよ。リアも含めてみんないい人だし、妹ちゃんは可愛いし、いいところに来たなーって思ってる』
緊張を追い払おうと、口にトーストを頬張るターシャを思い出す。
そんな可愛い姿を思い出してにんまりしていると、気がつけば目の前に入るべき教室が。
『ほら、よくわからない話をしている間に着いたわよ』
『よくわからない話って…………。あー緊張する』
中にまで聞こえないよう小さな声で緊張を吐露する。
『じゃ、行くわよ』
『ちょっっと待ってよ!私、もう息切れしてる!』
既にドアノブに手をかけているマヤの肩を掴んで静止させる。
今のまま教室への入ってしまえば、動悸が収まらず慌てふためくヤバいやつのレッテルを貼られてしまうこと間違いなしだろう。
『大丈夫?汗も凄いじゃない。緊張じゃなくて、体調が悪いんじゃないの?』
『多分そういう訳ではないと思う……………あと1分待ってて!』
そう言って1分の猶予を貰い、精神と動悸と呼吸を同時に整える。
そして瞑想すること宣言通り1分。
『今度こそ大丈夫?』
『大丈夫』
葉菜からの同意を受け、マヤがドアを開く。
スタスタと歩いていくマヤの後ろを、努めて平成を装いながらついていった。
=======================
今、私は大きなホワイトボードを背に大勢の人の前に立っている。
背の高い子から小さな子、黒髪金髪赤髪などの色々な髪色に髪型。
初めて見る面々を眺めていると、私の左側に立つヨーラ先生が話を始めた。
『お前ら、こいつが留学生の永咲葉菜だ。ほら、自己紹介』
『日本領から来ました、永咲葉菜です。よろしくお願いします!』
安直であり、当たり障りのない平凡な自己紹介。
頭を垂れると、パチパチと拍手が起こったり、目の前の子に『よろしくー』と言ってもらえたりする中で、
『おーい葉菜ー』
教室左奥の方から聞きなれた声が聞こえた。
そうか、リアもいたんだった………………。
緊張のあまり、先程までマヤと話していた同居人の存在をすっかり忘れていたが、いざ思い出せば急激に安心感が押し寄せてきた。
『お前ら仲良くするようにな。葉菜、リアの隣の席に行ってくれ』
リアの隣の席を指さしながら着席するように言われた。
向かう途中で『よろしく』と言われたり、知らない子にいきなり手を握られたり…………と早々にビックリ事件が起きているが、それは友好的に受け入れて貰えていることの表れだろう。
まずはいい感じに入れたのでは、と安堵する葉菜だった。
みなさまこんばんは、イロハです。
あるいはおはようございますこんにちは。
本日のこの投稿が3日間連日投稿の1日目です!
また明日の20時もお楽しみに!
5月に入り、急激に気温が上がってきた
印象がありますが、そろそろ衣類だったり
布団だったりいろいろ変わる時期ですね。
温度管理をしっかりして、体調は
崩さないようにお気をつけを!
それでは今回はここで終わります。
また明日の20時頃にお会いしましょう!
※Twitterもあります。
https://twitter.com/iroha_TETUHANA
【次回投稿予定日時は 5月4日 20時 です】




