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ブレイブリバース!~二人で魔王倒せるの?会社員なゲーマー勇者と器用貧乏な吟遊詩人が、データ通りじゃないRPG異世界(101周目)を独自ルートで攻略した話~  作者: 鳴海なのか
第1章 初めての街、初めての仲間

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第32話「とにかく、魔術の威力を上げたいのです(2)」


 数十分後。



「……うまくいかねぇ……」


 練習に疲れた俺は、ぐったりと切り株に座っていた。




 俺が試すことにしたのは、【光魔術】の光投槍(ライトジャベリン)

 消費MP15の割には威力が高く、コストパフォーマンスが良い術式だ。


 ゲームで術式を研究し続けている有名プレイヤーいわく、理由は単純。

 魔力を『発動時の見た目』『動きの優雅さ』などの余計な部分に使わず、「相手にダメージを与える」というシンプルな目的に特化しているからとのこと。



 ――魔力で細長い槍を作り、それを投げて対象にぶつける。


 それが『投槍(ジャベリン)系』発動時のイメージだ。



 俺の場合は「光魔力で槍を具現化する」という手順までは何とかなる。

 だけど、その後がどうにもうまくいかず。

 何度やっても、どう投げても、狙った的に当たってくれない。


 昔TVで見た、陸上競技の槍投げの動きを思い出して投げてみたり。

 テオに『風投槍(ウィンドジャベリン)』を実演してもらい、その動きを真似したり。


 できる限りの試行錯誤はしたのだが……とうとう集中力の限界が訪れた。






「はい、MP回復薬(ポーション)

(わり)ぃな」


 疲れ切った俺に、テオが小瓶を手渡してくる。

 瓶の蓋を開けて中身を一気に飲み干し、ぷはぁと一息。



 MP回復薬(ポーション)は、栄養ドリンクをさらに濃縮した感じの強烈な味。


 正直なところ、味わって飲むようなもんじゃない。

 息を止め一気にグイッといかないと、喉につかえて飲み込めなくなる。


 救いは、量が少ないところ、後味が悪くないところ。

 喉さえ通れば意外とさっぱりしてるから、水での口直しまでは必要ない。





「……見てて思ったんだけどさ、タクトは、()()()槍を投げるイメージでやってるんだよな?」

「うん。なかなかイメージ通りにいかないけど、努力はしてる」

「あぁ……原因それだっ!」

「え?」


 俺の試行錯誤を見ていたテオは、どうやら何かに気付いたようだ。


「ん~……そもそもタクトは『槍』って投げたことある?」

「いや、無い」

「やっぱり! 投げ方見てて何となく分かったぜ」


 テオは納得したらしく、1人でウンウンとうなずいている。



「何が分かったんだ?」

「OK、ちゃんと説明する! そもそも魔術とは何かって説明は覚えてるよね?」

「えっと……『精霊の力を借りて、魔力を自由に扱う技』だよな」

「そのとおり。でも今のタクトの『光投槍(ライトジャベリン)』は、光の槍を具現化するとこまでは魔力を使ってるんだけど、投げる段階では魔力を全然使ってないんだ」

「……?」


 テオによれば、精霊は『術者のイメージ』を汲み取って魔力を動かしている。

 だから基本的に、その範囲でしか魔力は働かない。


「だからタクトみたいに『自分で投げよう』って強く意識してイメージしてると、精霊は『あ、投げる時は手伝わなくていいんだ!』って解釈しちゃうんだよ。しかもタクトは元々槍投げが上手いわけじゃないだろ?」

「正直……自信ない」

「だったら自力で的に当てられるわけないじゃん!」



 そういえば、元陸上部だという知り合いから聞いたことがある。

 ――槍投げは意外と難しい。

 ――真っすぐ投げられるようになるだけでも時間かかる。


 これまでの術式が何とかなっていたのは、おそらく偶然の産物だ。

 光球ライトオーブのときは、俺が球状のボールを投げ慣れていたから。

 光矢ライトアローは、魔力の弓で矢が飛んでいく姿を無意識にイメージできていたから。



「もう分かったよね?」

「ああ……自動で的に当たるようイメージすればいいんだな」


 テオは満面の笑みで「その通りっ!」と答えた。





*************************************





 ほんの少し休憩を挟んでから、俺は光投槍(ライトジャベリン)の練習を再開。


「タクト、どんなイメージで投げるか決めた?」

「おう。何となくは固まったよ」



 発想を変え、投げる段階で『魔力を利用』する。

 標的となる木をもう一度見据えてから、イメージを固めつつ詠唱を始めた。



 

「……(きら)めく光達よ、鋭く(とが)れ。その穂先を研ぎ澄ませ……」



 詠唱に(こた)えるように、俺の手へと白い光が集まる。

 それから徐々に力強い槍へと姿を変えていく。


 ここまでは何度も成功済み。

 問題はこの後だ。



「そして……」



 手の中の槍が、()()真っすぐ的へと飛んでいくよう……。

 しっかりイメージしつつ、詠唱を仕上げる!


「貫け! 光投槍(ライトジャベリン)!」





 ――ビュウンッ!





 俺の手を離れた瞬間、白い光の槍は自ら加速。

 轟音(ごうおん)を立てて的にぶつかり、小さく爆発して消えた。




 標的にしていた木に、ゆっくりと近づく。


「……すげぇ」


 木の幹には、『光矢(ライトアロー)』の時とは違い、大きな大きな穴が開いていた。




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