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ブレイブリバース!~二人で魔王倒せるの?会社員なゲーマー勇者と器用貧乏な吟遊詩人が、データ通りじゃないRPG異世界(101周目)を独自ルートで攻略した話~  作者: 鳴海なのか
第1章 初めての街、初めての仲間

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第26話「こんな時、頼りになる人(2)」


 しばらくダガルガと話したのち、夜にウォードも交えて再び会う約束をした。

 業務中だった彼は、いったん仕事に戻る。


 俺たちはドロップ品をギルド窓口で売却してから、休息がてら時間をつぶした。






 その夜。


 まず先にウォードと落ち合った。

 俺とテオが泊まる宿屋『野兎亭』の客室に連れていき、諸々の事情を説明する。



「……っていうわけなんです。ウォードさん、力を貸してもらえませんか?」


 黙って聞いていたウォードが重い口を開いた。


「……力を貸すとか貸さないとか以前の問題としてよ……その話、本当なのか?」

「え?」

「言っちゃ(わり)ぃが……お(めぇ)が勇者だってのが信じられねぇんだ」

「そ、それは……」



 ウォードの言葉が、胸にずしっと突き刺さる。


 特に助けてもらったあの2回――空腹で死にそうだった姿、オークジェネラルに追われる姿――を見られている以上、俺の言葉に説得力があるわけがない。



「タクトは本物の勇者だよっ! ステータスの称号に『勇者』って書いてあるの、【鑑定】スキルでちゃんと確認したし!!」


 テオが必死に加勢してくれた。

 だが、ウォードは表情を崩すことなく否定する。


「確かに【鑑定】は便利だがよ……それを簡単に(くつがえ)しちまう【偽装】とかいうスキルがあると言ってたのは他でもない。テオ、お(めぇ)じゃねぇか」

「あ……」


 テオの目が泳ぐ。

 どうやら心当たりがあるらしい。


「だからよ、ステータスの情報だけじゃ裏付けにはなんねぇな」

「……」


 テオは何も言い返せなくなってしまった。




 さすがに気まずいと思ったのか、ウォードは少し笑って言う。


「ま、タクトが勇者だって証拠を、この目でしっかり確かめられたらよ……力でも何でも貸してやるさ」

「証拠……」


 エレノイアやイアンの時は『神様からのお告げ』があった。

 テオは自分から、俺が勇者であると確信して動いていた。

 そしてダガルガは……ただ真っすぐに信じてくれた。


 だけど、この世界(リバース)の人にとって『勇者』は特別な存在だ。

 むしろ俺が何もせずとも信じてくれた今までが特殊だったのだ。

 普通はウォードのように「証拠を見せてほしい」と思うものなのだろう。


 ――勇者である()()

 というかそもそも勇者って何だろう……。


 ここまで考えたところで、俺は気付いた。





「「【()()()】!」」


 どうやら同時に同じことを思いつき、同時に言葉を発したらしい俺とテオ。

 お互い目が合い苦笑い。





 【光魔術】は、この世で唯一『勇者』だけが扱える魔術。

 そして『勇者』とは、【光魔術】が扱える者のこと。


 同時発言に少し驚いた顔をするウォードだったが、気を取り直したように言う。


「……そうだな。【光魔術】見せてくれるってなら……信じるぜ」



 俺は黙ってうなずき、瞳を閉じた。


 ウォードに信じてもらいたい。

 そんな気持ちからか、いつもより不思議と気合いが入る。




 しっかりと集中力を高め、そして唱えた。


「……光よ集え。光球(ライトオーブ)





 ――ポウッ


 俺の詠唱に(こた)え現れたのは、ひときわ白く輝く光の球。





 言葉を失ったウォードは、ただただポカンと目の前の光球を見つめていた。





「これで、信じてもらえましたか?」

「……ああ」


 若干戸惑いを残しつつ、ウォードは言葉を選ぶようにゆっくり口を開いた。


「……疑って……すまんかった」

「いいんです! 逆に、疑ってもらえたからこそ気づいた事もありますし」

「そ……そうか?」

「はい! ……あの、ウォードさん」

「なんだ?」

「改めて、俺たちに力を貸してもらえないでしょうか?」

「……おう。できる限りやらせてもらうぜ」



 俺とウォードは、笑顔でがっちりと握手を交わすのだった。




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