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ブレイブリバース!~二人で魔王倒せるの?会社員なゲーマー勇者と器用貧乏な吟遊詩人が、データ通りじゃないRPG異世界(101周目)を独自ルートで攻略した話~  作者: 鳴海なのか
第1章 初めての街、初めての仲間

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第27話「こんな時、頼りになる人(3)」


 無事にウォードの協力を取り付けることに成功した俺とテオ。

 次の約束の場所である、営業終了後の『冒険者ギルド』へ皆で向かった。


 ギルド内で待っているのは、ダガルガ1人だけのはずだったのだが……。




「あのぅ……なぜ、あなたがいらっしゃるのでしょうか?」

「はい。当ギルドの管轄内にて、緊急事態が起こっていると伺いましたので」


 恐る恐るたずねる俺に、微笑みながら答えたのは若い女性職員。


 彼女は『ステファニー・ヘイズ』と名乗った。


 俺が初めてカウンターを利用した際、対応してくれた職員でもある。

 窓口担当は他に数名いるが、ステファニーは仕事が早くかつ丁寧。

 しかも笑顔が素敵な美人のため、ついつい俺は彼女の窓口に並びがちだった。


 ……気まずそうに、ダガルガが言う。


「昼間よ、奥で喋っただろ? あれで勘繰(かんぐ)られちまってな……」

「ギルド長が『執務室』へ一般冒険者を通すなんて、めったにありませんもの」

「で、お前らが帰った後にみっちり問い詰められてよォ……ぜんぶ喋っちまったんだ。ほんとにすまん!!」




 笑顔のステファニーから放たれる()()()()()()()()


 ひしひしとそれを感じている俺たち。

 頭を下げて精一杯謝るダガルガを、責めることなど……できるはずもない。




 しばらくの間、ステファニーとダガルガとの会話が続く。 


「どうせギルド長は『小鬼(こおに)洞穴(ほらあな)』へ同行するおつもりだったのでしょう?」

「お、よく分かったな!」

「ギルド長が分かりやす過ぎるんです。で、仮に同行が決まった場合、エイバスからカルネ(ざん)、そしてダンジョン入口からボス部屋までの往復だけで、どんなに急いでも2日、通常であれば4日から6日はかかります。今回のように特殊な事態であれば、念のため10日程度は見ておいたほうが賢明かもしれませんね」

「うむ、間違いないな」

「ではその間、ギルド長の通常業務はどうなさるんですか?」


「……」


 ダガルガは一瞬固まった後、「ガハハハハ!」と大きく笑った。

 どうやら、何も考えていなかったらしい。


 ステファニーは「やはり……」と大きく溜息をつき、それから言った。




「……分かりました、何とかしましょう」




「「「「え?」」」」


 きょとんとする俺たち4人。



「ギルド長、シフトを組み直さなければならないですし、状況によっては臨時職員の雇用も検討します。ですからせめて、討伐の日程だけは早めに決めてください」

「任せろ! 今日中に決めておくぞ!」

「お願いいたします。では私はお先に上がらせてもらいますね」


 一礼し、去ろうとするステファニー。

 思わず彼女を呼び止める。


「待ってください!」

「はい、なんでしょう?」


 ステファニーは振り向き、柔らかい口調で答えた。


「本当にいいんですか?」

「ええ。かつてない緊急事態、しかも未知の存在が相手ということですから、この街でも指折りの実力者であるギルド長が同行するのは妥当かと。正直、ギルド長不在の穴は大きいですが……10日程度なら何とかがんばります!」

「……すみません」

「いえ……こちらこそ、ダンジョンの件はよろしくお願いいたしますね、勇者様」


 にっこり微笑むステファニー。

 その優しい笑顔にドキッとしつつも、俺は何とか「は、はい!」と答える。



 ステファニーは再び一礼し、その場を去っていった。





*************************************





 俺とテオとウォードの3人は執務室へ案内された。

 応接ソファに座り、「雑用片付けてくるぜ!」と部屋を出たダガルガを待つ。



 落ち着いたところで、ふと俺はつぶやいた。


「それにしても……ステファニーさんって、いったい何者なんだ……?」


 ステファニーはゲームにおいて、ずっと窓口業務を担当していた。

 守衛のウォード同様パーティには加えられず、お決まりのセリフだけのNPC。

 だから俺は、ゲーム中の彼女を意識したことは1度もなかった。


 この世界(リバース)でも窓口以外に接点は無く、さっきまでは名前すら知らなかったし。


「ああ、ステファニーはな……」




 ウォードによれば、彼女はこの街の有名人の1人らしい。

 事務が苦手なダガルガに代わり、その若さでギルド業務の大半を仕切っている。

 だから裏では『エイバス冒険者ギルド・影のボス』と呼ばれているらしい。




 話を聞いたテオがポロッと言う。


「へぇ~。だったらステファニーがギルドマスターやればいいのに」


 俺が「ちょ、テオ!」と慌てると、ウォードが笑いながら否定した。


「それがそうでもねぇんだ……昔から冒険者ギルドは『血の気の多い荒くれ者共の巣窟』ってのは、テオも知ってのとおりだろ?」

「まぁね……」

「ステファニーは先代ギルドマスターの娘で、しかも貴重な『【鑑定】スキル持ち』だったもんで、小さい頃から買取業務を手伝ってたんだがな……戦闘向きステータスじゃねぇ上に(わけ)ぇから、冒険者共に舐められちまってたんだ」


 なんか分かる気がするな。


 ゲームで様々な国や街を見て回ったけど、どこのギルドも争いが絶えない。

 柔らかい物腰のステファニーが、彼らと渡り合うには無理がある。


「ある日も、このギルドで大きな喧嘩が起きててよ……そこへフラッと現れて、笑いながら争いを止めちまったのが、俺らのパーティを解散した後にソロで冒険者をやってたダガルガだった。その場にいた先代が『どうしても!』と頼み込んだ結果、ヤツがギルマスの座を継ぐことになったってわけさ」


 思わず「知らなかった……」とつぶやくテオ。

 ウォードは言葉を続ける。


「事実ダガルガが来てから、このギルドでのトラブルは激減……というかほぼ0(ゼロ)になってよ……まぁそうだよな。あんな体がデカくて大声で、しかも本気を出せば恐ろしく強い奴が常駐してんだぜ? よっぽどのバカじゃない限り、トラブルなんざ起こす気にもならねぇだろ。ステファニーがその実力を発揮し始めたのも、ダガルガが就任した後のことだしな」


 何となく気になったので聞いてみる。


「ちなみにダガルガさんは、なんでエイバスに来てたんですか?」

「ああ、先に冒険者を引退した俺がこの街に住んでたからよ、たまたま近くに来てたダガルガが顔見せに寄ってくれたんだ。でもまさか、あいつもエイバスに定住するなんてな……予想もしなかったぜ……」


 ウォードが昔を懐かしむように話していると、執務室の扉が勢いよく開いた。



「待たせたな! んじゃ、ダンジョンボス対策会議始めるぜっ!」


 空気を切り替えるかのようなダガルガの声に、俺たちはそれぞれうなずいた。




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