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ブレイブリバース!~二人で魔王倒せるの?会社員なゲーマー勇者と器用貧乏な吟遊詩人が、データ通りじゃないRPG異世界(101周目)を独自ルートで攻略した話~  作者: 鳴海なのか
第1章 初めての街、初めての仲間

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第20話「初ダンジョン・小鬼の洞穴、2日目(1)」


 探索2日目の朝、小鬼(こおに)洞穴(ほらあな)2階層の階段付近。

 色々とオーバースペックな『ニルルクの究極天幕(アルティマテント)』の中でスッキリ目覚めた俺とテオは、出発の準備を終えた。



「じゃあ行くか――」

「待って!」


 俺がテントの入口を開けようとしたところ、テオが呼び止めた。


「なんだよ?」

「このテントは【防音加工LV5★】の効果で、外からは中の音が聞こえないし、逆に中からは外の音が聞こえなくなってる。だからこそ安心して安眠できるわけだけど……デメリットってやつもあるんだよね」


 言いにくそうに説明するテオ。


「デメリット?」


 意味が分からず聞き返す。


 魔物だらけのダンジョンの中で確実に安全に眠れる。

 理想通りの夢アイテムとしか思えないのに……いったい何が問題なんだ?


 テオは「ふぅっ」と一息ついてから喋り出す。


「昨日、周辺の魔物を殲滅(せんめつ)しただろ? たぶん時間的に、そろそろ復活しつつある頃だと思うんだ」

「そういえば、復活するまで1晩ぐらいって言ってたな」

「うん。じゃあもし……復活した魔物がたまたまテント入口の死角に居たとして、タクトがそれに気付かず外に出ちゃったら?」

「……」


 快適&安全空間で過ごすうち、俺はすっかり忘れていた。

 ここが危険地帯(ダンジョン)のど真ん中だということを。


 ようやく気付いた俺は、入口へ伸ばしかけていた手を引っ込めた。




「そういう訳で気を付けてね、ってだけなんだけど……」


 ここで少し考えるような動作をしたテオが、笑顔に戻った。


「うん! 今は近くに魔物はいないっぽいから、そのまま出ちゃっていいよっ」

「え、なんで分かるんだ?」

「【気配察知】スキルを使ったのさ」

「あぁ……」


 そういやゲームにもそんなスキルがあった。

 称号『器用貧乏』を持つテオなら、これも覚えていたって不思議じゃない。



 【気配察知LV1】は、自分中心に半径30m以内の気配を察知できるスキルだ。

 スキルLVが上がるごとに、察知できる範囲が広がっていく。


 ゲームでも、戦闘をある程度こなしさえすれば自然と習得可能。

 かつては「強敵出現エリアを除き、敵が居ようが居まいが気にせず突っ込んで蹴散らしていく」プレイスタイルで遊んでいた俺には無縁だったけど……。


 いざ戦いの日々が現実となった今は、早めに欲しいスキルだな。


「なるほど……テオが毎回、俺より先に魔物を見つけるのも【気配察知】を使ってたからなのか――」

「違うよ?」




 きょとんとした顔で否定するテオ。




「俺、音に関しては人一倍うるさいんだぜ。なんたって『吟遊詩人』だからなっ」

「??」


 理解が追い付かない俺を放置し、テオは喋り続ける。


「だって鳴き声も足音も、魔物によって全然違うし。同じ種類でも、個体によって微妙に出す音が変わるんだ。それさえ聞き分けられれば、何が何体いるか分かるじゃん! ゴブリンなんか分かりやすいよね~、あいつら手に持った武器を振り回しながら歩くからさ、その物音で簡単に装備を割り出せるし。後は音の大きさとかで、何となくの距離を(はじ)き出せばOKだよっ」


 まるで()()()()()()()かのように説明するテオ。



 俺は溜息をつきつつも、一応質問してみる。


「それ、俺にもできるかな?」

「んー……練習すれば、できるかも?」

「いや無理だろ」

「……まぁタクトは、【気配察知】を覚えるほうが早くて確実なんじゃない?」


 笑いながらも今度こそ真面目に答えるテオに、俺も「だよな」と同意した。





*************************************





 テントを片付け、階段を下りて3階層へ。

 その後も順調に4階層、5階層へと進んで行く。


 スキルを覚えやすくなる【技能(スキル)習得心得LV1】のおかげか。

 ひたすら魔物(ゴブリン)を倒しまくったおかげか。

 俺は、3階層の中盤で【気配察知LV1】を習得した。


 習得後は、常時【気配察知】を展開しながら移動してみる。

 少し手間取ったが、5階層では多少雑談しながら探索できるまでになった。



 余裕がでてきた俺が、歩きながらボソッと言う。


「やっぱり……近くに魔物がいるかどうか分かるだけで、全然違うもんだな」

「だねっ。このダンジョンに入ったばかりのタクトったら、ず~っと顔が強張(こわば)って、全身に変なチカラが入りまくってたし!」



 スキル【気配察知】は、いわゆる“お知らせアラート”のようなものだ。


 常時発動しておけば、魔物が近づいてきた瞬間、ウィンドウがピコンッと開く。

 それを確認してから戦闘態勢を取っても遅くない。



 昨日からの確実な成長を感じた俺は、「この調子で頑張ろう」と思うのだった。




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