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ブレイブリバース!~二人で魔王倒せるの?会社員なゲーマー勇者と器用貧乏な吟遊詩人が、データ通りじゃないRPG異世界(101周目)を独自ルートで攻略した話~  作者: 鳴海なのか
第1章 初めての街、初めての仲間

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第17話「光と闇と、この世界の理-ことわり-」


 翌朝、俺とテオはエイバスの街を出発した。


 ダンジョン『小鬼(こおに)洞穴(ほらあな)』は、歩いて半日ほどの山の(ふもと)にある。

 馬を借りれば1~2時間で到着できるが、今回は徒歩を選んだ。


 ちなみに、いきなり馬を乗りこなす自信がなかった俺が、それっぽい理由を付けて徒歩での移動を推した……というのはテオには内緒である。



 街道沿いなら、魔物はほとんど出現しない。

 暇つぶしもかねて聞いてみる。


「なぁテオ。そもそもダンジョンって、どんな存在だと考えられてるんだ?」

「んー……それ語るなら、まず『この世界の(ことわり)』ってやつを説明しないとな!」


 そう前置きすると、テオはおもむろに話し始めた。





 この世界(リバース)には、大きく分けて“3種類の存在”が暮らしている。



 ――まずは『生き物』。

 生身(なまみ)の肉体を持つ存在である。


 例えば、人間、四足動物、鳥、魚、昆虫。

 地球ではお目にかかれないエルフやドワーフ、獣人なども存在する。


 そして、もし『生き物』が死んでしまった場合、生身の肉体はそのまま残る。



 ――続いて『魔物』。

 魔力で作られた肉体を持つ存在だ。


 何らかのアイテムを核とし、その核が魔力を(まと)い肉体を作り出している。


 魔物を倒すと、肉体を構成する魔力が拡散し、核だったアイテムだけが残る。

 これが『ドロップ品』というわけだ。



 ――最後は『精霊』。

 先の2つに比べて謎多き存在となっている。


 通常はその姿を見るなど不可能だ。

 人間が存在を実感できるのは、魔術を使用した時ぐらいだろう。

 例えば【火魔術】は、火の精霊の力を借りて魔力を操るスキルだ。


 なお、特定の属性の精霊に愛され、生まれつき魔術を使える種族も存在する。

 魔術を極めた者の中には、精霊と会話できる者もいるらしい。





 世界には元々『魔力』が散らばっている。

 スキルやステータスといった不思議な力が働くのは、魔力の作用によるものだ。


 魔力が多いエリアでは『魔物』が生まれやすくなる。

 彼らは「自分と近い魔力」を好むため、生まれたエリアに留まる特性がある。

 だから人間たちは、国や街などの拠点を「魔力が少ないエリア」に作った。

 これにより、魔物との衝突を避け共存することができたのだ。



 3年前、その状況に変化が訪れた。

 各地に散らばる魔力の属性に『闇属性』が混じり始めたのだ。


 闇属性に接した魔物は攻撃的になる。

 その凶暴性は、混じる闇の力が濃ければ濃いほど増していく。



 元凶は【闇魔術】の唯一の使い手『魔王』。


 今になってこの世界(リバース)に住まう者たちは思う。

 魔王は3年前から少しずつ復活していた。

 そして半年前、その声が世界に響き渡ったあの時、完全復活したのだろうと。


 今もなお、世界は闇に侵され続けている。

 ただ闇の魔物を倒しても、闇の魔力が空気中へと戻るだけで減ることはない。

 時間が経てば、『闇』は再び魔物に変わる。


 魔王城がある西側諸国から徐々に、そして確実に闇の力は広がりつつある。


 世界が闇で(おお)い尽くされた時。

 すなわちそれが……世界の終わり。



 だがこの世界(リバース)の人々には、希望が残されている。


 ――光属性の魔力を扱う術【光魔術】。


 伝承では闇を浄化するたった1つの方法で、その使い手が『勇者』なのだと。

 だから皆は、勇者が再来する瞬間を、強く強く待ち望んでいるのだ。





 さて、話を戻そう。


 世界各地には、局所的に濃い『闇』に支配されたエリアが点在する。

 理由は明らかではないが、「その地の魔力が闇属性と親和性が高かったがために、自然と闇を引き寄せたのではないか」と推測されている。




「……で、その局所的に濃い闇魔力に支配されたエリアこそが『ダンジョン』と呼ばれていて、周りと比べて凶暴な魔物が多いんだよっ」

「なるほどな……」



 吟遊詩人として、各地の伝承・人々の噂などを調べつくしたというテオ。

 彼の説明と、ゲーム上の設定には、やはり大して違いはない。


 だが、現実と架空の違いが、どう働いてくるかは不安だ。

 ゲームでは神様が()()()()()()無くしたという食事や睡眠の必要性。

 攻撃も防御もボタン操作ではなく、自分で動かなければならないこと。


 こればかりは、この世界の人に聞くわけにもいかないし……

 自分で試しながら探るしか、解決策は無いだろう。



 ひととおり説明も終わったところで、首をかしげながらテオが言った。


「……でも、いくら調べても分かんないことがいくつかあるんだよねー」

「なんだよ?」

「まずは、500年前に倒されたはずの魔王が『何で復活したか』ってこと!」


 これはゲーム上でも未だ解明されていない。

 検証好きなプレイヤーたちには、未解決問題の1つとして知られている。


「あとは……伝承の中の500年前の勇者は、魔王を倒す前に各地のダンジョンをいくつか回って、その地に蔓延(はびこ)る闇魔力を消し去ったらしいんだ。でも、実際どうやって闇を浄化したかっていう記述がどれも曖昧(あいまい)でさ~」

「ああ、そっちは問題ないと思うぞ」


 テオが「えっ」と意外そうな顔をする。


「どういうこと??」

「闇の魔力を消し去るには『光の魔力を直接ぶつけて相殺(そうさい)する』、それだけでいいんだ。具体的な方法も何通りか知ってる。まだ実際には試してないけど……たぶん、大丈夫なはずだ!」


 闇魔力の浄化方法は複数ある。

 今の俺でも、()()()()なら何とかなるはずだろう。




 そんな俺の横顔を見て、テオがくすくす笑い出した。


「……なんで笑ってんだ?」

「だって【光魔術】は、ほんっとに特別で、謎だらけって言われてんだぞ? なのにタクトはサラッと何でもない感じで答えてさ……何か勇者っぽいなぁと思って」

「いや、“ぽい”っていうか……本物の勇者なんだけど――――」

「知ってる!」


 食い気味に答えるテオ。


「でもさぁ……普段のタクト見てると、ついうっかり忘れちゃうんだよね~」

「うっ!」


 身に覚えがありまくる。


 まずは昨日の『フルプレート断念』。

 召喚初日の『光魔術の発動失敗』『空腹で行き倒れかけ』。

 2日目の『オークジェネラル巻き込まれ』なんてのもあった。




 では逆に“勇者らしさ”はというと……心当たりが、一切無い!




「……そ……そのうち、名実ともに勇者となる予定なんだよ!」

「あ、勇者っぽくない自覚はあるんだ」

「しょうがないだろ! まだこの世界(リバース)に来たばっかなんだし」

「はいは~い。これからもよろしく、勇者さまっ☆」


 冗談っぽくウインクするテオ。


「……」


 のらりくらりとマイペースな彼に、思わず溜息をついてしまった。




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