第284話 出品手続きをする
商談室まで案内された俺たちはバイヤーさんに促されて革張りのソファに座った。
「それで本日はどの様な商品をオークションに出されますか?」
バイヤーさんは俺たちが椅子に座るなりそう切り出して来た。
俺はバイヤーさんのその言葉の返答として無限収納からギードさんから貰った紹介状を手渡した。
バイヤーさんはそれを受け取り「拝見します」と言って中に書かれている内容に目を通している途中で一瞬だけ営業スマイルだった表情が崩れたがすぐに気を取り直して最後まで読み切ってから口を開いた。
「なるほど、分かりました。それでこの手紙に書かれている現物はお持ちですか?」
「はい、あります」
俺はそう答えて無限収納からオークションに出す予定のゴブリンキングの王冠とオークキングの王冠を取り出してテーブルの上に置いた。
「拝見します」
バイヤーさんはポケットから手袋を取り出し嵌めてからまずはゴブリンキングの王冠を手に取った。
バイヤーさんは全体を一通り見回した後ルーペを取り出して宝石を一つ一つ確認してからそっとゴブリンキングの王冠を戻した。それからオークキングの王冠に手を伸ばし先ほどと同様に鑑定をしていき鑑定が終わりオークキングの王冠をテーブルの上に戻したところでバイヤーさんは口を開いた。
「こちらのゴブリンキングの王冠ですが使われている傷一つ無い宝石の数々だけでもそれなりの価値がありますがこの小さな王冠を形作っているオリハルコンもそれだけで価値があります。私共が買い取るなら二百五十万シアが限界ですがオークションに出せばそれ以上の値が付くと思われます。では次にオークキングの王冠ですがゴブリンキングの王冠と違い王冠の本体部分は金で出来ていますが使われている金の重量が重量ですのでとんでもない値段になります。そして何よりゴブリンキングの王冠に使われていた物よりも更に大粒の宝石の数々、コレは滅多にお目にかかれない貴重な物ですのでそれらを加味して私共が買い取るならばオークキングの王冠は三百五十万シアになります。もちろんこちらもオークションに出せばそれ以上の値を付ける方がいる可能性がありますので是非オークションに出品なさって下さい」
俺たちはバイヤーさんのその目利きを聞くまでもなくオークションに出品する事は決まっていたので俺が代表して「出品します」とバイヤーに伝えた。
それを聞いたバイヤーさんは「では手続きを行います」と言って3枚の紙を取り出して来た。
「こちら3枚の書類に出品物の名称と出品者の名前、それから出品物のスタート価格を決めてご記載下さい。1枚はこちらで保管しもう1枚は出品者が保管をして最後の1枚はオークション会場に張り出します。一応オークション会場に張り出す書類だけは匿名も可能となります。その場合は出品者の名前は無記入でお願いします」
俺はバイヤーさんのその説明を聞いてから書類を書き始めた。
出品者の名前も匿名では無くそのまま自分の名前を書いて提出した。
「はい承りました。では当日はその書類とオークションに出品する品をお持ちの上、昼の鐘が鳴る前に商業ギルドにお越しください」
そう説明を受けて俺たちの初オークション出品の手続きは終わった。




