↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/166

お部屋にお邪魔:呼び出し

 トゥルルルッ、トゥルルルッ…


「…んんー…」


 もぞもぞ


 土曜日の朝早く、電話の呼び出し音に起こされた須磨楽人は、寝ぼけながら枕元にあるはずのスマホを探した。

 昨日は期末テスト最終日と言うこともあり、最近勉強にかまけていた分、彼はサーニャと夜遅くまで遊んだため、目蓋が重くて持ち上がらなかった。


 むにゅっ


「はにゃっ?!」


 彼が頭の上を手探りでスマホを探していると、手が何か柔らかい物を掴んだ。

 餅のように柔らかく、手に吸い付くような、それでいて手に余る温かい何か。


「はぅんっ!」


 サーニャの甘い声を上げた。

 スマホは頭の上には無かったので、今度はその周囲を手探りで隅々まで探し始めた。


「そ、そこ…っ」


 手に柔らかくて温かくて長い物が当たり、彼が寝惚けた頭で枕だと思って下に手を入れて探すと、その二つの(・・・)柔らかい物に挟まれて手が抜けなくなった。


「…んぁんっ……ガクト……んんっ…」


 楽人はそこで漸く、サーニャが起きているなら聞けば済むことに気付いた。


「ふまほ…ふまほ……」


 もぞもぞ


「…はい、スマホです」


 サーニャは太ももから彼の手を解放し、スマホを持たせた。

 彼は手に馴染んだ冷たい感触で、それがスマホだと理解して礼を言った。


「はひはほう、はーひゃ」

「…どういたしまして…」


 サーニャは何となく不満そうに礼を返す。

 楽人はスマホを見もせずに慣れた感覚で操作した。


「もひもひ……はへ?」


 呼び出しは既に切れていた。

 彼は更に記憶頼り、指頼りで、一番上の着信履歴に当たりを付けてコールバックした。


 トゥルルルッ、トゥルルルッ、トゥルルルッ……ガチャッ


『はい、音無です』

「…ふぁっ?!」


 電話が繋がり、生物教師の音無静香が電話に出た。

 楽人はその声を聞いて一気に目が覚め、ベッドの上で飛び起きた。


「せ、先生?!」


 彼は電話を間違えたかと思ったが、あの日以来、彼女との間に電話は無いので、履歴からのコールバックで間違うはずが無い。

 スマホを少し離して見ると、通話相手は《音無先生》となっていて、平日なら登校中の時間帯だった。


『須磨君、朝早く御免なさいね』

「どうしたんですか先生? まさかまたユントロが…」

『ううん、そうじゃないの。でも、その…』


 音無先生は途中で言い淀んだが、意を決して、申し訳無さそうに続けた。


『…時間があれば、須磨君に相談に乗って欲しいの』

「分かりました。今から行きます。どこで待ち合わせますか?」

『…本当に悪いんだけど、うちに来て貰えないかしら』

「…え?」


 楽人は音無先生の言葉を理解できず固まった。


(今“うち”って言った? 家じゃないよな? 内? 打ち? セイウチ? ……)

『あ、御免なさい無理言って、それな…』

「いえ! 行きます! 住所を教えてください!」


 音無先生が消え入りそうに言うと、楽人は慌てて答えた。


 ピロンッ


 直ぐに音無先生から住所が送られて来た。


『…じゃあ待ってるわね。急がなくて良いから気を付けて来てね』

「はい」


 ガチャッ


 楽人は「子供扱いだなぁ…」と思ったが、二週間に二度も事件に首を突っ込んだ(まきこまれた)現実を思い返して首を振った。

 このご時世、どこに何が転がっているか分からない。

 注意をして、し過ぎるということは無いのだ。


「どこか行くんですか?」


 楽人が声に釣られて上を向くと、サーニャはベッドの頭の辺りで丸まったまま、少し赤い顔で彼を見ていた。

 暑くて寝苦しかったのか、彼女はお気に入りの着ぐるみパジャマ――黄色いユントロ――を脱いで下着姿だった。


(さっきの柔らかい物って…)


 楽人は思い出して顔が真っ赤になった。


「済まん、寝惚けてた」

「くすっ。いいんですよ……今度は起きてる時にしましょう♪」


 サーニャの柔らかい笑顔で、楽人の残っていた眠気が全て吹き飛んだ。


「朝食にしよう」

「はい♪」


 彼らは着替えて食卓へ向かった。

サーニャの寝相は良くないです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。