永眠しよう
楽人はガチャで爆死した後、授業に全く身が入らなかった。
先生にも注意され、クラスメイトたちに笑われたが、それすら耳に入っていない。
反応の無い彼にクラスメイトたちは直ぐに飽き、先生も授業の邪魔にならないので彼を放置した。
彼は呆然としたまま授業を終え、家に帰り、夕飯を食べ、風呂に入り、ベッドに倒れた時点で漸く実感が湧いて来た。
「外れた……」
楽人は推しとの出会いを走馬灯のように思い出した。
3年前、“ミレニアム戦記”のキージビジュアルを見た瞬間、彼の脳裏に電流が走った。
キービジュアルの彼女は、ド真ん中では無いが、明らかにメインキャラの配置。
しかもビジュアルが彼のドストライクだった。
彼が即座にゲームの事前登録を済ませたことは、言うまでもない。
「あれから色々あったなあ……」
メインキャラにも拘らず、全く実装されない新衣装。
次々に登場する新キャラに人気も出番も奪われ、推し仲間も次々に推し変していき、人気投票の度に順位を落としていく。
それでも彼は彼女を愛した。
いつか新衣装が実装されると信じ、いつからかガチャを控え、爪に火を点すように溜めたガチャ資産で見事に爆死。
保険として貯金を全てスマホのプリペイドに入れておいたが、それも全て使い切った。
1000連のダブルスコア。
2000連を超える大爆死。
「外れた……」
もう一度同じ言葉を呟くと、彼は実感が湧いて来た。
ゲーム内で稼げるガチャ資産は微々たるもの。
ガチャ期間が終了するまでに、それで推しを引ける可能性は限りなくゼロ。
一年後のガチャ復刻まで、お預けが確定したと言える。
彼の視界が滲んだ。
「……あれ?」
それで彼は、自分が泣いていることに気付いた。
気付いたが、声を上げて泣く気力すら無い。
「……永眠しよう……」
彼は部屋の電気を消し、啜り泣きながら眠りに就いた。
せめて夢で彼女に逢いたいと……。
短いけど区切りがいいので。
今日中にあと一回の予定。




