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ちゅんちゅん

 ちゅんちゅんっ


 早朝。

 須磨家、楽人の部屋。

 もうお盆に近いと言うのに、庭からは朝早くから雀の鳴き声がする。

 サーニャはベッドの中で目を覚ますと、目の前にある楽人(こいびと)の顔に安心して、そっと唇を重ねた。


 ちゅっ


 一つのタオルケットの下で、飾り気の無いブラに覆われたその豊満な胸が、楽人の胸に当たる。

 昨晩は二人とも海で疲れたので、帰宅後はシャワーを浴びて直ぐベッドに入った。

 残暑の厳しさもあって、サーニャはお気に入りの着ぐるみパジャマを着ておらず、下着しか身に着けていない。


「んん…」


 楽人が少し寝苦しそうに唸り、寝返りを打って仰向けになった。

 サーニャは目をパチクリと瞬かせる。

 彼がまた安らかな寝息に戻ると、彼女ははにかんで(・・・・・)、彼に四つん這いで覆い被さり、もう一度唇を重ねた。


 ちゅっ


「んん-ん……」

「むにゃむにゃ…。サーニャ、あと5分…」


 楽人がまた寝返りを打って、元の向きに戻った。

 経験上、サーニャにはそれが半覚醒状態では無く、寝言だと知っていた。

 彼女はそれから彼が目覚めるまで、何度も唇を重ねた…。



 * * *



「ガクト、朝ですよ~♪」


 庭の雀が飛び去って、鳴き声も聞こえなくなった頃。

 そろそろ楽人が目を覚ましそうなので、サーニャは馬乗りになって彼を起こした。


「むにゃむにゃ…。サーニャ、あと5分…」


 楽人は寝言と同じことを口にしたが、サーニャは微妙な違いを感じ取って、彼の肩を掴んで揺さぶった。


「…うぅ…」


 楽人は腰の上の重みと揺れに耐えきれず、仕方なく5分を待たず目を開けた。

 仰向けの彼の目の前には、愛するサーニャの顔がある。

 彼女は彼の腰の上に馬乗りになり、肩に手を置いて前屈みになっていて、肩や太もも、互いの下着越しに熱が伝わっている。

 その動きは止まったが、飾り気の無いブラに覆われた豊満な胸が、余震で揺れていた。


 ムクリッ


「きゃっ♪」


 股間が朝の主張から更に大きくなり、サーニャが頬を赤らめて嬉しそうに声を上げた。

 二人の視線が絡み合う。

 彼女は目を瞑って更に前屈みになる。

 近かった顔が更に近付いていって唇が重なって…。


 ――小一時間後。


「おはよう、ガクト♪」

「おはよう、サーニャ」


 朝っぱらから睦み合って汗だくになった二人は、笑顔で改めて朝の挨拶を交わすと、風呂場へ直行して熱いシャワーを浴びるのだった…。



 * * *



「今朝はお楽しみでしたね」


 楽人とサーニャがシャワーを浴び、着替えて食堂へ向かうと、母親に笑顔で迎えられた。


「止めろ。それは俺に効く」


 楽人が真顔で返した。

 サーニャは彼の横で、両手を頬に当てて腰をくねらせて照れている。


「あらあら、照れちゃって……トーストは何枚?」


 母親は息子の批難を笑って流しながら、食パンの袋を開けた。


「3枚。そう言えば、父さんは?」


 朝から運動をしてお腹の空いた楽人はお腹を擦り、トーストを3枚要求して、いつもの椅子に座った。


「お義母様、わたしも3枚お願いします♪」


 サーニャも同じだけ要求して、彼の隣に座った。

 それを聞いた彼は少し驚いた後、昨晩は帰って直ぐに寝たので、夕飯を食べていなかったことを思い出して納得した。


「お父さんならまだ寝てるわよ。疲れてるみたいだから、今日はゆっくりさせてあげてね」


 母親はトースターにパンを入れると、冷蔵庫からマーガリンの容器と林檎ジャムの瓶を取り出す。


「ゆっくりして貰うのは良いけど、父さん昨日泳いで無かったよな?」


 楽人は昨日の様子を思い出してみたが、父親はずっと母親とブルーシートの上で喋っていた姿しか思い出せない。

 サーニャは二人の話を聞き流しながら、大皿に盛られたポテトサラダとレタスを小皿に盛って、楽人の方に差し出した。


「あら、あなたたち昨日は早く寝たのね。昨晩は私たちもハッスルしてたのよ」


 母親は食堂に戻って来て、マーガリンとジャムをテーブルに置くと、片手を頬に当てて小首を傾げて、艶っぽくウットリした目で答えた。


「…聞きたく無かった。両親のそんな話」


 楽人は愕然として白目で呟いた。

 思春期の子供にするような話では無い。

 『ハッスル』という隠語を知らないサーニャは、そんな彼を見て小首を傾げた。


(俺にサーニャが居なかったら、絶対グレてる…)


 とは言え、両親が昨晩励んだのは、息子たちに中てられたからである。

 彼がサーニャと結ばれるまでは、気付かれないように気を使っていたので、母親を責めるのは酷かもしれない。


 チーンッ


 トースターが小気味よい音を立て、最初のトーストが2枚焼きあがった。

 サーニャは早速、焼きあがったトーストを取り出して、次の2枚をセット。

 出来立てのトーストにマーガリンを塗って、隣の楽人に差し出した。


「はい、ガクト♪」

「ありがとう、サーニャ」


 楽人がトーストを受け取ると、彼女はもう一枚のトーストにマーガリンを塗って、その上から林檎ジャムを塗った。


「「いただきます」」


 サーニャを待っていた楽人と、二人同時に食前の挨拶を口にする。

 母親はその様子を微笑ましそうに見守っていた…。

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