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イベント:席取り

「早く来て正解だったろ。感謝しろよ」


 イベント会場の観客席で、先に来て席を確保していた手塚が胸を張った。


 会場があるのは海岸の道路寄り、夏の間だけ建てられる海の家の一角。

 よくあるミスコンのような構成で、正面にはゲートの付いた舞台があり、左右には審査員用のテーブルと椅子、裏には控え室、前方に観客用の折り畳み椅子が多数並んでいる。


 舞台と控え室はプレハブ形式で組み立てられていて、表は飾っているが裏は安っぽい。

 舞台の上方には、筆の殴り書きで『リアライザー・コンテスト夏の陣』と書かれていた。


 既に数百にも及ぶ椅子の半数以上が埋まっている。

 水着イベントにしては珍しく、女性だけで固まっている人たちが散見された。


「ありがとうございます♪」


 手塚は楽人に言ったつもりだったが、一緒に到着したサーニャがお礼を言った。

 彼女は手に大きなビニール袋を持っていて、その中にはジュースとポップコーンとフライドポテトと枝豆が入っていた。


「これで貸し借りは無しな」


 楽人は自分のビニール袋から、ポップコーンと缶クォーラを取り出して彼に手渡すと、サーニャが客席の真ん中に来るように並んで座った。


 それらは隣の海の家で買ってきた物だった。

 会場の両隣は、高額の出資をした協賛店が陣取っている。

 勿論、海の家だけでは費用を捻出できないので、主な資金源は海鳴市の財政である。

 海に店を出さない協賛店もあり、その名前がパンフレットや会場の柱などにあるのはスポーツの会場に近い。


「サンキュー、心の友よ」


 手塚は今日初めて楽人を心の友と呼んだ。

 それも仕方あるまい。

 海のナンパに誘われたと思って来てみたら、同行する女性の半数が彼目当てだったのだから。


「お~、見やすそう! 眼鏡くんやるじゃん☆」


 続いて、メスリンの手を引いた範子が到着すると、親指を立てて彼を褒めた。

 メスリンは本日二杯目のカキ氷を売店から食べ歩きしている。

 範子は彼女をサーニャの隣に座らせると、自分もその隣に座り、少し後ろから付いてきた貴巫女がメスリンの後ろに座った。


「お嬢、ジュースです」

「あんがと」


 兵藤は客席全体を見渡した後、範子にビニール袋からジュースを手渡して、彼女の後ろに座った。


 最後に静香とアキラ、アル・ラクスが到着。

 “眼鏡オタク(てづか)”の発言に引いた貴巫女が彼を強く警戒して、他にあまり気が回らない様子だったので、静香がアキラの相手を引き受けた形である。

 貴巫女の隣に静香、アル・ラクスと並んで座った。

 未就学児のアキラではステージが見辛いので、アル・ラクスの膝の上に座った。


(予定通り席を確保できたから、安心してイベントに集中できそうだ)


 席順は予め決めていた。

 前列は範子・メスリン・サーニャ・楽人・手塚、後列は兵藤・貴巫女・静香・アル・ラクスとアキラ。

 兵藤とアル・ラクスで後列の左右を固める形である。


 イベントに興味の無かった父親と母親は、残ってイチャイチャしている。

 食事から戻って来たらそれを見せつけられるサングラスの黒服はご愁傷様である。


――――――――――――――――――――


 道路


================


控え室 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  |  舞台  |

  /______\審

 /________\査

/__________\員

___範メサ楽眼____

___兵貴音ア&幼___

____________

____________

____________


~~~~~~~~~~~~~~~~



――――――――――――――――――――

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