レンタルショップ:店員
海の家、『レンタルショップ藤崎』の店員、藤崎静流は暇を持て余していた。
昔に比べると、今は通販で水着が選び放題。
海に遊びに来るのに準備もせず、現地でレンタルするような海水浴客は減っていた。
サーフボードや浮き輪の貸し出しも似たようなものだ。
来客なんて海水浴客百人に一人も来ない。
彼女も好き好んで店員をやっている訳では無く、単なる稼業の手伝い。
小遣い稼ぎなのでやる気も無く、カウンターに座ってだらけていた。
ガヤガヤ
「らっしゃーい…?!」
だから話し声が入店して来ても、気怠げな挨拶をしたのだが、来客を見て固まってしまった。
それほどまでに珍妙な来客だった。
一人は高校生くらいの男の子。
高校生にしては立派な身体だが、大柄でも筋肉ダルマでも無く、海ではそこまで珍しくも無い。
一緒に来店したのが四人とも女性なのも、まあ良い。
その内の一人が、金髪でビキニなのも海ではよくあることだ……巨乳だけど。
しかしそれ以外がおかしい。
長い黒髪で清楚然とした、決まり過ぎているチャイナドレスのような水着の美しい女性……爆乳である。
普段の静流なら、勝てる部分が一つも無くて嫉妬して終わるところだったが、それすら固まった原因では無い。
問題は彼女の抱えている、ピンク色の狸みたいなキャラクター物のぬいぐるみ。
それが「ウユーン」と鳴いた。
…ぬいぐるみでは無い。
控え目に言って【リアライザー】である。
それも元ネタを知らない彼女が、見た瞬間に可愛いと認識するレベルの代物。
更に残る二人の女の子。
二人とも髪が真ん中から白と黒に分かれている。
ついでに二人とも左右で目の色が違い、二人で四色だ。
顔立ちは似ているが、年頃もスタイルもまるで違う。
片方は黒髪の女性すら上回るスタイルで、もう片方は小学生くらいの小柄ながら、下半身の肉付きは大人のそれ。
二ヶ月前ならコスプレだと考えるところだが、今のご時世にそんな世間知らずは少ない。
つまり、来店した六人の内三人が【リアライザー】だったのである。
「…んなバカな…」
静流は思わず呟いた。
彼女の常識では、【リアライザー】は人口の1%にも満たない。
それが六人中三人なんて万に一つも無い。
しかも斜陽のレンタルショップに訪れる可能性なんて、宝くじを狙える確率だ。
「…わたし、きょうしぬのかな…」
その後、彼女の悪い予感は別の方向で当たることになる。
今日の犠牲者




