前へ目次 次へ 218/224 野々香虎威2 「習ってないって本当ですか?」 あまりに見事な一本投げだったため。ぼくは前を歩く友人に声をかけた。一人称吾輩または私の友人は、そうだが?と言いながら歩みを止めない。 虎っぽいオーラを出したこの友人の正体は、残念ながら虎ではない。ぼくと同じ中立世界の化身で、前の姿は人でも虎でもなく火の鳥、不死鳥だ。虎で猫科であったなら、草木のぼくと仲良くなるのを短縮できたはずである。 いつもより早く歩く友人に、遅れないようぼくも足を早めた。