第051話「第二次迎撃戦6」
思いついたアイデアを次々作品にしようとして全体の作業ペースがすごい遅くなってしまった。 大地やエステラ達のイメージをイラストにする作業もやってるから夜の時間だけじゃ到底足りない。昼間に作業時間がほしい。
「ずいぶんやられたのぅ、」
「あーこれは、なんだ、俺も必死に戦ったんだが、」
「いや、いい。あの化け物相手に全滅しなかっただけ僥倖じゃ」
「…そっちも大分やられたみたいだな」
「わざわざ陛下に無理を言って魔法騎士を60名も連れてきておいて、残った魔法騎士は10名足らず、これではこれ以上ダンジョンを攻略するにしても被害を出さずに、となると難しい」
「そうだな…、どうする? 一度戻るか?」
「ワシの責任だけで済ませられるならそうするが、今回は陛下の命でここまで来ておるのだ。なんの成果も無しで戻っては兵を出した貴族達の手前、王の体裁にまで面倒が及んでしまう」
「各地から集められた兵士達もかなりやられたしなぁ」
「せめてあと一度潜ってなにか成果となるモノを持ち帰らんと戻るに戻れん」
「では、また俺はここで居残りかな?」
「そうしてくれ、魔法騎士達も置いていく。 …次はワシとイトイルのみで行くことにする」
「うわ、久しぶりにあんたらが全力出すのかよ、あのダンジョンが崩れないといいけどな」
「……その時はダンジョン殲滅を成果としよう」
「エステラちゃん、少しは落ち着きましたか?」
「…P様、どうして行かせてくれなかったのですか?」
「たしかに方角さえわかっていれば、エステラちゃんなら王都に連れて行かれる前に大地さんに追いつくことも可能でしょう。 けどね、追いついてもその後はどうするつもりだったんですか?」
「それは、マスターをお助けしてここに戻るつもりでした」
「ダンジョンの入口に彼らがいるのに?」
「…そ、それは……、」
「その場合、多分ですけど、あなたはあの三人の誰かに倒されて、結局また大地さんは捕らわれの身になってしまったでしょう」
「………、」
「だからそうならないためにセブルティスちゃんに戻ってくるように伝言を頼んだんです」
「……P様、P様は【千里眼】で遠い地を見ることが出来のですよね? 王都とはどこにあるのかご存じありませんか?」
「ええ、知っていますよ」
「な、ならば!」
「でも今は教えません」
「そんな!」
「彼らを倒すか、追い返すか出来てダンジョンが安全になったら教えてあげます」
「……本当ですか?」
「ええ、本当ですよ」
「あの者達を倒せば良いのですね?」
「理想としては大地さんを返すように交渉できれば一番いいですけど、そのためにはまず彼らを倒せるだけの力がこちらにあると思わせることが重要ですね」
「分かりました。私はやる事が出来ましたのでこれで失礼します」
「一人で飛び出さないでくださいよ?」
「分かっておりますP様、少し彼らを倒すための準備をするだけです」
そういうとエステラは自分の切断した足を復活させるために回復魔法を足に向かってかけ始めた。
「さて、では次の問題を片付けに行きましょうかね」
Pちゃんはそう言葉をこぼすと、パタパタと地下要塞内にある食堂に向かった。
「ようやく帰って来たと思ったら一体あんた達何してんのよ!? それにそっちの女は誰!?」
「水橋、なんなのこのヒステリックな魔法少女は?」
「あーもう、大地がいないからってこれ全部俺がフォローしないといけないのかよ、えーと、何から話せばいいんだこれ?」
「「水橋ー!!」」
「いっぺんに言うな!」
いままで状況を知らされず、地下要塞でのんびりとしていたアネイルもさすがにボロボロのエステラや戻って来た水橋達の深刻な表情から何事か起きているというの察し、状況を聞き出そうと問い詰める形になっていた。加えて初対面の華撫を見てさらに自分が蚊帳の外に置かれた事が我慢できず、八つ当たり気味になっていた。
「はぁ~、エステラちゃんが万全になったとしても守り切れるのかなぁこれ」
「もっちー次第じゃない?」
「華撫様の戦力を加えれば何とか通常のモンスターでも対抗できるだけの戦力は揃いそうですが、戦略を練る者がいないと難しいでしょうね」
「だから心配なんですよ」
「まったくね」
~ 二時間後 ~
「ともかくそういうわけで新しく引っ越してきた華撫ちゃんです」
「ちゃん言うなっつってんでしょ」
「で、こっちが大地と契約している魔法使いのアネイルちゃんです」
「私もあんたにちゃん付けを許した覚えないんだけど?」
「……もうやだ、こいつらめんどくさい」
「「なんですって~~!!」」
「すいません、なんでもありません」
「はいはい、もっちーもアネイッちもあとカナっちもみんな大体の事情は分かったんだし、そろそろ侵入者対策の話をした方がいいんじゃない?」
「Dちゃ~ん」
「もっちー、涙と鼻水出しながらこっち来ないで」
「そんなー」
「まぁ、防衛についてはその通りね」
「で、今度は何が侵入してきたの?」
「あぁ、言ってなかったな、王国軍だ」
「……はい? ほんとに?」
「そーいえばアネイルちゃんは王国の冒険者でしたね、王国の人間と戦うのが嫌なら要塞内に引っ込んでてもいいですよ」
「うーん、出来ればそうさせてもらうとうれしいわ、まずない事だけど、あの人が来てたらすっごいめんどくさいし」
「あの人?」
「なんでもないわ、じゃああたしは仲間と要塞にいるから」
歯切れの悪い言葉を残してアネイルはそそくさと要塞内に引っ込んで行った。
「まあ、別にいいか、ともかく戦略としては俺のスレイとエステラちゃんやムラサメが前面に出て、華撫ちゃんがサポートってとこかな?」
「ちょっと、モンスター達は?」
「ここのモンスターの大半は大地の所有で俺のはスライムのみだ、もちろん戦術は考えてあるけど、基本はスライムオンリーだからあんまり期待はするなよ?」
「前から思ってたけど、あんたなんでスライム縛りで使ってんの? 単一種族のボーナスにしてももっと基礎能力値の高い種族を選べばいいのに」
「ふふ、分からんか、スライムを使う理由が」
「な、なにかすごい秘密でもあるの?」
「たとえ基礎能力値が低くともスライムには可能性がある! 他の種族ではその姿に縛られるが、スライムにはそれが無い!!」
「は?」
「スライムこそ無限の造形能力を見いだせる最高の種族なのだ!!」
「要するに好きな形が創れるからスライムを選んだってこと?」
「YES!」
「ただのアホじゃないのあんたー!!」
その後、ひとしきり華撫が怒りをぶちまけて落ち着いたのを見計らい、水橋は今後の作戦を話してを準備をすすめるのだった。
~ 半日後 ~
「では、いくとするか」
「ゼンニ、約束忘れてないでしょうね?」
「わかっとる。ダンジョン攻略と同時にアネイル嬢ちゃんを探せば良いんじゃろ?」
「それが分かってんならよし」
「では行くぞ」
第二次ダンジョン攻略の最後の決戦とも言える戦いが今、始まろうとしていた。




