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Synthetic School  作者: 南雲 楼
六章 生徒総会、争奪戦
97/160

6

「な、なんで!?」


 久炉の口をついた疑問は今この場にいる生徒全員が抱いている物だろう。何故、彼女がここに上がってきた?


「大丈夫? 大変そう」


「だ、大丈夫、うん、でもなんで」


 いきなりのことで焦りも苛立ちもすべて抑え込まれていく。少し前にちょっとした喧嘩もしたことがあったが、やはり一番の友人だ。一瞬で混乱も静まる。


「大変そうだったから手伝いに来た」


「手伝い?」


「私が代わりにそれ、読むから」


 花火が指指したのは演台に置かれていた資料とメモだった。


「私が読むから、あんたは役員の人とウサギ助けに行ってきな。大丈夫、私あんまり緊張してないし、放送部員だし」


 部活動の一つである放送部。昼の放送や行事の際のアナウンスを行う部活動に花火は入部していた。何度か放送を聞いたが、話が上手く、聞き入ってしまうほどだ。そのせいか花火は学校中の有名人となってしまった。


 確かに、花火ならばこの喧噪を鎮められるかもしれない。見栄を張って彼女を戻すこともできるが、今はそれどころじゃない。心中での見栄と委託の戦いの結果、この場を花火に託すことに決めた。



「じゃあ頼んだ」


「わかった、どうすればいい?」


 久炉はマイクのスイッチを切ると花火に読み上げて欲しい事項、進行の仕方を伝えた。花火は一度の説明で全てを覚えたようで頷くとマイクのスイッチを入れた。


「大変お待たせしました。生徒会長の代理として、各委員会の活動方針の発表を行いたいと思います。なお、時間短縮のため、質疑応答は生徒会ポストに投書するか、直接生徒会役員に渡してください。それらに対する答弁は後日の昼の放送で行います」


 噛むこともどもることもなく、すらすらとマニュアルを読み上げていく花火。先程の喧騒は一気に静まり、時折話し声が上がる程度だった。


 久炉はそれを確認すると、役員と委員長の席に向かった。


「衣琉。お前は司とここに残って花火のサポートしてやってくれ。何かあったら連絡して」


 衣琉が頷いたのを確認すると、委員長達を見渡した。



「誰か、一緒に来てウサギ助けてくれる人いない?」


 花火が方針を読み上げる以上、委員長達はここにいなくても問題はない。


「あんたウサギ助けるのまで投げ出すつもり!?」


「そうじゃねえよ! 人手欲しいんだよ人手! この学校広いからウサギ探しから大変なんだよ!」


 なんでこうも雛は突っかかってくるのか。正直仲良くなれる気がしない。


「う、うち、行きます!」


 咲がおそるおそるといった感じで手を上げた。


「咲! ありがとう! 他は?」


「どうせ暇だ。手伝ってやる」


 雄大は気だるげに言うと、久炉が礼を言う前にステージ袖に消えて行った。一番意外な助っ人だ。寝ていたんじゃなかったのか。


「じゃあ僕も」


 帳も立ち上がった。「僕は行くけどカリカリしないでね、雛ちゃん」と隣の雛の頭を撫でる。お前ら付き合ってんの? とつい場違いな質問を投げそうになった。


「えっと、全員ってのもよくないだろうし、渡部さんと岩川君はこっち見ててくれ」


 そういうと咲と帳を連れてステージ袖に入り、ステージを降りた。体育館を出る前にちらりと花火に視線をやると、代議委員の方針を読み上げていた花火と視線が交錯する。軽く手を振ると、体育館を出た。



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