表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Synthetic School  作者: 南雲 楼
六章 生徒総会、争奪戦
98/160

7

 体育館の玄関で久炉はブレザーを脱ぎながら咲と帳に声をかけた。


「つーか、二人とも魔法ってどんな感じなんだ? 戦える感じ?」


「僕は大丈夫」


 帳はにこやかな笑みを浮かべて頷いた。咲は少し悩んだ風な表情になった。


「うーん、うちのは攻撃もできるけどサポートの方が得意……かな」


「じゃあ、矢文さんは、敵の誰かと会ったら僕か相崎さんに連絡、他の役員や禹佐田さんに会ったらそのまま付いて行って戦闘のサポートって形でいいんじゃないかな?」


 帳の提案は尤もだ。いくら人手が欲しくても勝負に負けたらウサギを殺すとも明言されている中で、サポート重視の魔法では戦い辛い。咲はそれを了承すると、「うちはあっち行くわ」と魔法実習棟の方角に向かっていった。


「じゃあ、相崎さんはブレザー片づけたそうだし、本館方面、僕は矢文さんが行かなかった別館方面に行ってみるよ」


 帳はこんな時でも気遣いを忘れないようだ。あのヒステリック少女、雛を手懐けるだけのことはある。


「わかった、何かあったらすぐ連絡しろよ!」


「うん、相崎さんもね」



 言葉を交わすと、同時に担当する方面へ向けて駆けだした。ネクタイやボタンを緩めながら、まだ新しい道を走り、校舎の中へ飛び込む。このまま五階まで駆け上がってから降りつつ敵を探すか、それとも上がりながら敵を探していくか――


「大変ですね、生徒会長という立場も」


「うわああああ!?」


 階段向かうべく角を曲がった時、唐突に聞こえた声に足をもつれさせ、思い切り転んだ。久炉は呻きながら顔をそちらに向ける。


「何でお前がいるんだよ……」


「面白そうなことになったので」


 神奈が壁に背を預けて立っていた。久炉はため息をつきながら立ち上がると、持っていたブレザーについた埃を払う。「いつの間にこっちに来たんだよ」と呟くような問いに神奈は当たり前と言いたげな表情になった。


「そうですねえ……確か雨津さんが壇上に上がった後、貴方が他の役員や委員長と話していた時ですかねえ。周りの目もステージに寄せられていましたし、貴方が体育館を出ると分かったので。ここにいたのは単にブレザーを片づけに行くだろう貴方が通ると踏んだからからです」


「あ、そう……」


 行動を読まれていて何とも言えない気持ちになる。苛立ちと気恥ずかしさが混ざった感情だ。



「まあいいや、こっちにあの不良たちの誰か来てないか?」


「さあ? 見かけていませんね。もしかしたら私が来る前に隠れているかもしれませんが」


 じゃあ探さないと、か。上から回るか、下から回るか――。せっかく神奈と会ったんだ。上下から探していこう。だが、そんな考えも読まれていたらしい。


「では私は下から探しますので、貴方は五階からお願いします」


「お、おう、なんで言おうとしたことが……」


「この状況で二人以上いれば、手分けするのは自然なことでしょう。それにそのブレザーを片づけるためにここに来たのなら、荷物は早くしまいたいのではないですか?」


「その通りです下からの方お願いしやす」


「お任せください」


 本当に神奈はよくわからない生徒だ。頼もしい雰囲気はあるが、不思議な雰囲気の方が印象的だ。敵には回したくないタイプと言ったら神奈が浮かぶだろう。



 神奈は壁から背を浮かし、久炉に背を向けた。自分も早くウサギを探さなければならない。階段に向けて足を進めた。


「あ、そうそう」


 神奈の声を聞きながら足を進める。


広瀬(ひろせ)さんと芙北(ふきた)さんでしたっけ。貴方のご友人もどこかへ出かけてくのを見ましたよ」


「ああ!?」


予想外の言葉に振り返る。その瞬間、また足をもつれさせ、床に体を打ち付けた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ