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Synthetic School  作者: 南雲 楼
六章 生徒総会、争奪戦
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1 生徒総会

「うゆうううううう! 緊張してきたのです!」


 衣琉(いる)は体育館のステージ袖でぴょんぴょん飛び跳ねながら叫んだ。朝からこんな調子で時折叫んだりしている。授業の時はバッチリと寝ていたのだが。


「緊張って、お前は任命書受け取った後少し挨拶するだけだろ……」


 久炉(くろ)はため息をつきながらブレザーの袖に腕を通した。校内でブレザーを着るのは久しぶりだ。


「で、でも、生徒総会で前に出るなんて……い、胃が痛い……」


 衣琉の隣の(つかさ)は今にも死にそうな顔色になっている。昼休みのミーティングの時もこうだった。ステージ上で倒れないか心配だ。



 四月最後の金曜日。七時限目の学級活動の時間。本来はクラスごとの活動なのだが、今日は学年全クラスが同じ活動となっている。


 生徒総会と生徒会役員、委員長の任命式。授業日初日に行われた校内生活オリエンテーション以来の全校生徒が集う機会だ。

 授業時間を一コマ分使い、校長からの任命証の授与、その後、生徒会と各委員会の公約や活動方針が発表され、それに対する質疑応答が行われる。


「俺は話すのは嫌いじゃないからいいけど檀上上がる生徒は服装をカッチリしないといけないのが辛いわ……ジャージが恋しい。あとネクタイが苦しい」


 普段からそういう服装してれば困らないんじゃないのか、という蒼冱(そうご)の言葉を聞き流し、ブレザーのボタンを留める。腕章を腕に通し、安全ピンで留めた。


「まあいいさ。とりあえず注意事項な。衣琉は叫ばない、飛び跳ねない。司は体調ヤバくなったら袖から抜けて保健室行け。名月(なつき)は絶対にステージ上で虫を出すな!」


 久炉の言葉で衣琉、蒼冱、司の視線が名月に突き刺さる。


「さすがに自重しますって……また衣琉が騒いだら困りますしね……」


 視線を受けて名月は不服そうに呟いた。だがその掌には数匹の虫が這いずり回っている。説得力が無いとはこのことだ。



「お待たせー!」


「なんだか緊張します! 緊張の儀式を……」


「踊らんでいいわ!」


 (さき)摩胡(まこ)が袖に入ってきた。委員長達の中では一番乗りである。意外にも咲より摩胡の方が緊張しているらしい。緊張しているからといってあの珍妙な踊りを踊られるのは困る。


「皆おはよう」


 次いで東夜(とうや)も現れた。今日は枕やブランケットなども装備しておらず、目新しく感じる。左腕に巻かれている保健委員会の腕輪が目立つ。緑色に銀糸での刺繍が入った物だ。生徒会の物よりはシックだが、目に留まる。これは東夜だけでなく、保健委員全員が付けている物だ。



「ごめん! ちょっとギリギリだったね!」


(とばり)君がトイレになんて寄るから私まで遅くなったじゃないですか!」


「ごめんごめん、緊張してたんだ」


 委員長たちの間で三番目に現れたのは美化委員長の帳と、意外にも代議委員長の(ひな)だ。雛に関しては役員よりも早く到着してもおかしくない性格なのだが、帳と共に行動していたらしい。



「ちーっす! ちょっと遅く……咲ー!」


 軽さ丸出しの挨拶で舞台袖に飛び込んできた光太郎(こうたろう)。彼は咲を見かけると一目散に彼女に向けて歩み寄った。咲は嫌悪感丸出しの表情で後ずさる。光太郎が咲の手を取ろうとした時、摩胡が間に割って入った。


「やめてください! 咲ちゃんが嫌がっています!」


「そうよ! 総会前に何してるの! 恥を知りなさい!」


 摩胡の言葉に乗って糾弾する雛。女性陣の言葉に気圧された光太郎は「冗談だって」と言いながら咲から離れた。名月が射殺すような視線で睨んでいたことにも気づいたのだろう。


 聞こえた足音。顔を向けると雄大(ゆうだい)が面倒くさそうな表情でゆっくりと現れた。今日は服装も髪も乱していない。これで役員五名、委員長七名、全員がそろった。


 生徒総会が始まる。


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