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Synthetic School  作者: 南雲 楼
五章 学園、違和感
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1 侵入者

 ガコン、と音がして紙パックのジュースが落ちる。オレンジジュースと書かれたその紙パックを取り出し口から取り出すと久炉(くろ)は自販機を後にした。


 会議が終わって時間が経ち、外は完全に夜となっている。名月と司を中心に予算案を確定させると、司の作成した議事録と共に印刷し、職員室に提出した。


 やはり各委員会の予算配分は生徒会顧問の斉藤の目にも留まり、説明をさせられることになった。議事録を見せながら話したためか、彼はすぐに納得し、珍しくすぐに解放されることになった。

 それでも結構な時間は話すことになったのは、小言の多い斉藤の性格のせいである。


 誰もいない校舎内を歩く。先ほどの雛達のことが気になり、第二保健室の隣の階段を使って三階の生徒会室に向かうことにした。しかし、すでに第二保健室の電気は消えており、養護教諭の柴田さえもいないことが窺えた。



 光の漏れていない保健室の扉には誰もいないため、用があるなら第一保健室に行ってほしいとの旨が書かれたプレートがかかっていた。それを横目で見ながら階段を上る。


 買ってきた紙パックのストローをはがして差し込むと、マスクをずらしてくわえた。中の液体を吸い上げると、会議で長々と話したせいか、オレンジ酸味が喉に沁みた。


 三階まで登りきると一つの教室の扉の窓から明かりが漏れていた。その光の小ささ、校舎内の人気のなさからそれが生徒会室からの光だとわかる。


 顧問に印刷した書類を提出するという自分一人でできる仕事だったため、他の役員と委員長はすでに帰寮させている。生徒会室には誰もおらず、久炉の荷物が置かれているくらいだ。

 提出した議事録と予算表に不備が無かったんだから、荷物を持っていけばよかった、と今更思う。



「あー、電気消し忘れた」


 書類の提出期限が本日中だったため、焦って印刷して職員室に走ったせいで、電気を消し忘れていたようだ。


「電気、消した気がするんだけどなー」


 呟きながら扉の細い擦りガラスから漏れる明かりで鍵を選び、鍵穴にを差し込む。人間の記憶は曖昧だ。こういったことがあるのも仕方ない。


 残り少なくなった紙パックの中身を吸い上げながら鍵を開け、ポケットにしまうと扉を開けた。



「おや、おかえりなさい」


「んー……ん!?」


 突然の声に口に含んでいた液体が噴出される。その一部が気管に入り込んだせいでむせ返る。ミカン色の液体の染みたマスクを外しながら声の方を見る。

 普段生徒会の面々の使っている長机で文庫本を読んでいた男子生徒は立ち上がり、置かれていたティッシュ箱を手に取った。


「ああ、大丈夫ですか?」


「な、何だお前はあああああ!」


 叫んだせいで再び咳き込む久炉にティッシュ箱を差し出して、男子生徒は名乗った。


「私は一年五組の音久里(ねくり)神奈(かんな)といいます。よろしくお願いしますね」



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