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Synthetic School  作者: 南雲 楼
四章 委員長、集合
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16

 教室に残されたのは役員五名と咲と摩胡だった。日はかなり沈み、外は暗い。すでにほとんどの生徒が帰寮しているだろう。


 久炉は息を吸い込み、ここ一時間半でため込んだものを解き放つように声を上げた。


「疲れたあああああ!」


 本当に、疲れた。それは他の役員達も同じようで、名月は机に顔を伏せ、蒼冱は肘をつき、組んだ手に額をつけてため息をついている。司は本来衣琉の仕事であった議事録のまとめを作成しており、まだ力が抜けないでいた。


「衣琉はいいよなー。気絶してたから」


 壁際に寝かされ、まだ目を覚まさない衣琉に視線を向ける。それなー、と蒼冱の同意の声が上がる。


「本当に、みなさんお疲れ様です!」


「摩胡とか咲さんみたいな人ばっかならよかったんですけど……」


 名月がぼやく。つい、それなー、と蒼冱のような切り返しをするところだった。


「それにしても、何なん、あのナンパ野郎……アフターって……。うち、本当にああいう奴、嫌や……」


 咲もぼやく。咲は本当に災難だっただろう。いきなり知らない男に迫られれば誰だって不愉快だ。



「それにしても、本当になんであんな奴ら委員長にしたんだ……」


 蒼冱の呟き。やはり他の役員も人選に不満があるのだろう。問題があったのは全て教師の推薦のあった生徒だ。

 雛は癇癪持ち、光太郎はナンパ行為。雄大は大幅な遅刻をした挙句、自分勝手な座席に座り、いつの間にか会議を仕切って帰って行った。


 雛は真面目な生徒の部類なのだろう。選ばれてもおかしくはないのだが、常日頃からあのような性格なのだろうか。

 入学したばかりで顧問が詳細な性格などの情報を掴めていなかったという可能性もあるが、もう少し見極められないものなのかと憤る。


 光太郎と雄大に関しては選んだ顧問の考えが気になって仕方ない。



「やっぱり、会いに行って問題ないか確かめるべきだった……」


 時折襲い来る胃痛に表情が歪む。咲と摩胡と会った時になかなか癖が強いと思っていたが、あの三人の前ではそれも霞んでしまう。


 選んだ顧問にも責任はあるが、他の仕事で手が回らず、会いに行くことをしなかった生徒会にも責任はある。会議の伝達も各顧問を通して行われていた。役員が伝えに行くべきだった。生徒会と委員長の交代まで、うまくやっていくしかない。


 そういえば、摩胡、東夜、雛、雄大は役員集めの前に見た名簿に名前があった気がする。もし、役員集めに失敗してあの名簿の生徒全員に声をかけていたら雛や雄大が生徒会に加入した可能性があるのか。


 そう考えて寒気を覚える。雄大はともかく、雛は二つ返事で引き加入し、久炉を胃痛で苦しめることになっただろう。摩胡や東夜だったら何の問題もないはずだが。



「うゆ」


 のんびりした高めの声。衣琉が目を覚まし、起き上がっていた。目をこすって立ち上がる。


「お、衣琉、もう大丈夫か?」


「うゆ? 会議は……?」


「もう終わったよ」


 衣琉は本来自分の席だった久炉の隣に座る。ぼんやりとした眼であたりを見回した。司がタイピングを終えて背伸びをする。

 名月は彼に歩み寄って画面の数か所を指さし、指摘をすると言葉を交わしつつ、キーボードを打ち込む。予算を確定させているのだろう。


「うゆ、それにしても大変だったですね。雛さんが急に怒り出して」


 衣琉のその言葉にぴたりと全員の動きが止まる。衣琉は自分の発言に気づくと少し気まずそうな表情で口を開く。


 雛の怒鳴り声で目が覚めるも起きて会議に参加する勇気がなく、その場で昼寝を始めた――とのこと。突き刺さるその場の人間の視線。

 逃げるように、衣琉は左手首の腕輪に黄色の光を灯し、姿を消した。



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