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勢いよく開かれた扉が壁に叩きつけられる。引き戸にはめ込まれたガラスに衝撃が伝わり、かすかに揺れて音を立てていた。
踵を踏みつぶした靴をぺたぺたと鳴らして会議中の教室に入ってきたのは冷めた雰囲気のある不良生徒だった。髪を赤に近い茶色に染めて整髪料で立たせ、ズボンを腰まで下げて制服をだらしなく着ている。
高い身長と服の上からでも分かるしっかりとした筋肉のせいで、かなり厳つい印象を受けた。
彼は靴をぺたぺたと鳴らしながら会議室に入り、会議で使われていない一番後ろの席に座ると机に脚を投げ出し、携帯電話を弄び始めた。
突然のことに呆気にとられ、雛は名月に指を突きつけたまま席に座り、ゆっくりと指を引っ込めた。全員の視線が無表情で携帯電話を操作している不良生徒に注がれる。
「誰だあいつ」
久炉は名月に問いかける。もし、例のトラブルを起こした勝の仲間で因縁をつけに来たのなら面倒なことになる。名月は眉間にシワを寄せると久炉の問いに答えた。
「あいつ、うちのクラスの不良です。……なんでここに来たのかは分からないですけど」
「あ、マジ? 知り合い? ちょっと声かけてきてよ」
「嫌です。話したこともないし名前も知らないので」
ため息が漏れる。特に他の生徒に聞かれてはまずいことを話合う会議ではないのだが、部外者が会議室内にいると会議が進めづらい。見たところ会議に乱入するといったことはなさそうではあるが、気が散る。
だからといって追い出すことも躊躇われる。校内ではトラブルが起こり始めていた。それらを引き起こしているのは不良生徒が多く、すでに問題となりつつある。生徒会にも対処法を考えろとの指示が出ていた。
「ちょっと!」
雛の怒鳴り声……というよりは叫び声に近い声。視線をやると、会議室の隅で携帯電話のボタンを連打している不良生徒を指さした。
「こそこそ話してないであの不良を追い出してください! 生徒会でしょ!? 会議を進めるのがあなた達の仕事です!」
そう来ると思った。久炉はまたため息をついた。名月の眉間のシワは一層深くなる。自分の要求がすぐに通らなかったからか、雛は机を強く叩いた。癖のようだ。
「なんで追い出されないといけないんだよ。遅刻者は帰れってか。帰っていいなら今すぐ帰るけどな」
面倒臭そうに話す男子の低い声。司のものでも蒼冱のものでも、光太郎のものでも帳のものでもない。声は隅の机に座っている男子生徒の発したものだった。突然の発言。それよりも気になったところがある。
「え、遅刻者……って?」
雛の勢いを失った声。久炉の疑問は彼女と同じ部分に対してだった。おそらく会議に参加していた生徒は全員彼の発言の同じ部分に注意を注いでいるだろう。この会議に遅刻した人物は唯一人。
「は? 俺、遅刻しただろ」
携帯電話の画面に注がれていた視線を雛に向ける。そして、ああ、と何かを思い出したように言葉を続けた。
「俺が杉田雄大だ。会議、続けてくれていいぞ」




