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Synthetic School  作者: 南雲 楼
四章 委員長、集合
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11

 扉を開いたのはおとなしそうな男子生徒だ。髪は短く、制服も崩していない。どこか柔らかい雰囲気がある。

 少し司に近い要素のある男子生徒だ。彼との明確な差と言えば百七十センチ程度の身長と、眼鏡をかけていないことだろうか。


 彼は教室内を見渡し、目を丸くする。部屋の奥半分では女子生徒が倒れていて、手前半分では生徒会の女子生徒が軽そうな雰囲気の男子生徒を虫で追い立てている。

 この光景を見て、驚かない方が珍しいだろう。


「えっと、入ってもいいかな?」


「あ、どうぞどうぞ。ごめんな、ちょっと立て込んでて」



 男子生徒は遠慮がちに教室に足を踏み入れる。黒板の座席表を目を細めて確認すると、咲のいた席の隣に座った。座席の位置からして、美化委員長、桑島(くわしま)(とばり)だ。


 久炉は衣琉を他の役員に任せると、帳のもとへ向かう。衣琉は端に寄せられ、回復を待つ状態となっている。咲の言っていたことが本当なら少し目を離しても大丈夫だろう。

 何かあれば、保健委員長である東夜が保健室に連絡を入れてくれるはずだ。


「えっと、桑島君だよな? 美化委員長、立候補してくれて助かったよ」


「誰も立候補してないって掲示板に書かれてたからね。僕でもできないことはないんじゃないかって。誰かやらないといろんな人達が困るだろうし」


 帳は少し照れ臭そうに頬を掻きながら答えた。雰囲気とは対照的に積極的だ。それに周りの生徒や教師のことを考えて仕事を請け負ってくれた。

 正直なぜ委員長に選ばれたのかわからない光太郎と違って頼りになりそうだ。



「あと、来てないのは生活委員長だけですね……」


 いつの間にか久炉の隣に立っていた名月が溢す。光太郎はおとなしく、渡部の二つ隣の席に着席していた。どうやら粛清が終わったらしい。


 他の役員の方を見ると準備は万端と言いたげに着席している。衣琉はまだ起きないが、生活委員長の杉田が来たら会議を始めよう。


 そう考えた矢先、机が強く叩かれる音にびくっと体が一瞬強張った。音の方向を見ると、先ほどまで文庫本を読んでいた雛が久炉と名月に鋭い視線を向けながら、勢いよく立ち上がった。椅子は倒れ、またも大きな音を立てる。



「いい加減にしてください!」


 久炉と名月は顔を見合わせる。突然どうしたのだろう。名月も原因が思い当たらないのか首を捻る。


「時間です! 時間! もう五分も過ぎてるじゃないですか! あなた達生徒会なんでしょ!? 生徒の代表が時間も見て行動できないの!?」


 渡部は勢いよくまくしたてる。見た目通り気が強い。その言葉で時計を見ると確かに開始予定の時間から五分ほど過ぎていた。しまった。光太郎や衣琉のトラブルのせいですっかり時計を見ることを忘れていた。


「いや、こっちの役員が倒れたり、他の委員長がナンパ行為したりしてたんですけど? 多少時間前後してもしょうがないです。それに生活委員長も来てないんですけど」


 名月は眉間にシワを寄せる。名月の言葉に憤慨したらしい雛は時折机を叩きながら名月に言葉を吐きかけた。言葉の内容は徐々にヒートアップし、注意から暴言に変わりつつある。会議前から険悪な雰囲気になるのはまずい。



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