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Synthetic School  作者: 南雲 楼
二章 生徒会、募集
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33

「ああ! とにかく話の続きだ!」


 副会長の躁状態は顧問の一喝で終息を向かえた。名月は不満そうに虫達を灰色の光に戻す。ようやく話が進みそうだ。どこかに行ってしまった衣琉には後で伝えておくようにと前置きすると斉藤は先ほどの続きを話し出した。


「それで、だ。さっきあんなことを言ったのは学園生活を守るためだ。学園を快く思っていない生徒も必ずいるからな。そういう生徒が職員室に攻撃でも仕掛けたら授業ができなくなって他の生徒が被害を受けることになる」


 職員室が壊されたら授業を行うのは困難になる。授業嫌いの生徒にとっては大いに歓迎なのかもしれないが。


「今日お前たちをトラブルに巻き込んだような不真面目な連中ならともかく、真面目に授業を受けている生徒が不快な思いをするのは避けたいんだ。わかってくれるか? ……まあ言いたいのはそれだけなんだが」



「あー、じゃあ帰ってもいい感じで?」


「ああ。とりあえず校舎区では腕章は常時着用。それと普段通り日誌の提出。くらいだな。今伝えることは」


 名月の奇行があったにも関わらず、話の長い斉藤にしては早く切り上がった。夕食の時間には十分間に合いそうだ、と思ったのも束の間だった。


「あ、相崎はちょっと残ってくれ」


「はあ!? 差別だろ!」


 聞こえよがしにため息をついて斉藤は“他の役員は早く帰れ”といった表情で三人を眺めている。軽く礼をして踵を返す三人から視線を外すと、さっさと終わらせろよという言葉を目線に込めて斉藤を見据えた。

 どうせまた面倒な仕事だろう。早く話を済ませてくれ。



「相崎、何で長倉や迷原といった生徒を選んだ?」


 斉藤の言葉は完全に予想外で面食らう。何でそんなことを聞くんだ? その疑問を斉藤にぶつけると、彼は納得がいかなそうな目で登録用紙に視線を向けた。


「何故と言われてもな。単にお前があの名簿外から役員を選ぶとは思えなかったから気になっただけだ」


「……それは男子二人を貶してるんすか? それとも選んだ俺?」


 書類に視線を落としていた顧問ははっとした表情になり、顔を久炉に向けた。


「言い方が悪かったな。すまない。確かに今の言い方だとケチをつけているみたいになるな」


 どうやら違ったらしい。彼の言葉の真意を求めて言葉の続きを待つ。



「お前の事だから名簿から適当に交渉して他の生徒には干渉しなそうだとか勝手に思ってたんだ。ちゃんと仕事してるじゃないか」


「あ? あー、はい、あざっす?」


 まさかあの粘着質顧問から褒め言葉が出るとは。褒められた喜びよりも驚きの方が大きい。返した言葉は少しどもっていた。


「これからも頼むな」


「まあ仕事はちゃんとしますけどね……」


「おう、じゃあ帰っていいぞ。それと日誌はちゃんと書けよ。誤字脱字に内容は関係ないことだらけ、とかお前は日誌を何だと思ってるん……おい、待て! 話を聞け!」


 長い説教に移行しそうになったので無視して職員室を出た。帰っていいと言って一分もたっていないのに、待つように言われたのが少し面白くて表情が緩んだ。



「うゆ! おかえりなさいなのです!」


 先程職員室を出た三人に加え、外で待っていた暦と一足先に職員室を出た衣琉の姿もあった。虫に驚いていたようだが、今は落ち着いたらしい。


「じゃあ、みんなで帰るのです!」


 高らかに言って先陣を切って歩みを進める衣琉。なんでお前が仕切ってるんだよ。そう突っ込みたいのを抑えて四人と共に衣琉の後ろを歩きだした。




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