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第4話〜24時間働けますか?

互いの身体が入れ替わってしまった、最強の騎士アレクと王女ヴィクトリア。

ヴィクトリアは、アレクの「3日徹夜してもピンピンしている強靭な肉体」を手に入れたことで、秘められた最強の社畜メンタリティを覚醒させてしまう。

定時退社を至高の目的とするアレク(中身)の願いも虚しく、王宮にはかつてないブラック労働の嵐が吹き荒れようとしていた――。

ep.5 第4話〜24時間働けますか?

「……は?」

固まる俺(中身:アレク)の前に、ヴィクトリア(中身:王女)がドン、と地響きを立てて鉄の箱を置いた。

「驚くのも無理はないわ。でも安心して、アレク。あなたのその強靭な肉体のおかげで、私は今、人生で最も輝いているの!」

「輝くな! 頼むからくすんでくれ! というか、なんだその『帝国24時間労働化』って!? 狂ったか!」

「狂ってなどいないわ。大いなる効率化よ。これまでは人間、睡眠という無駄な時間を挟まねばならなかった。しかし、この肉体は違う。3日徹夜してもスクワットができる! ならば国全体もそれに合わせるべきでしょう?」

美少女の顔で絶望する俺を、我が身ながら惚れ惚れするほど逞しい大胸筋を張ったヴィクトリアが見下ろす。目が完全に、深夜のオフィスで覚醒した人間のそれだ。

「おい侍女長! 誰か、この暴走社畜モンスターに麻酔銃を撃て! 国家反逆罪だ!」

「いえ、ヴィクトリア様」

背後の侍女長が、すっと眼鏡を光らせた。

「アレク団長(中身:王女)のご提案は、すでに皇帝陛下の決裁を通っております。そして、これ。隣国との関税交渉の緊急書類、先ほどあなたが『全案件、承認ヨシ!』と丸投げしたツケが、今、不備修正として倍になって戻ってきました」

「……え?」

見れば、侍女長の手にも新たな書類の束。

突貫工事で終わらせたツケが、特大のブーメランとなって俺の頭に突き刺さる。

「さあヴィクトリア、夜はこれからよ! 共に書類の海へダイブしましょう!」

「嫌だああああ! 俺は寝る! 帰って寝るんだよおおお!」

17時5分。定時退社の夢は消え去り、王宮の執務室には新たなデスマーチのゴングが鳴り響くのだった。

本作をお読みいただき、ありがとうございます!

「24時間戦えますか?」という昭和の有名キャッチコピーが、まさか異世界で、しかも最悪の形で回収されてしまいました。肉体は最強、中身はガチの社畜という組み合わせが生み出すディストピア。自業自得とはいえ、定時退社を夢見たアレク(中身)の明日はどっちだ。

次回、「睡眠不足の騎士団長、ついにカフェインの錬金術に手を染める」。

労働環境の崩壊へ突き進む帝国を、誰か止めてあげてください。

今後とも応援よろしくお願いいたします!

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