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第3話〜定時 退社を諦めない

第3話「定時退社を諦めない」をお読みいただきありがとうございます。

前作でまさかの「魂の入れ替わり」を果たしてしまった、定時退社を愛する騎士団長のアレクと、仕事中毒ワーカホリックな王女ヴィクトリア。

最強の筋肉を得て「24時間働ける!」と覚醒した王女と、華奢な美少女の体で1200件の書類に圧殺されかける騎士団長。お互いの「執念」と「肉体」が最悪の形で噛み合ってしまった結果、王宮に未曾有の労働災害ディストピアが吹き荒れます。

定時退社への執念が自らの肉体に破壊される、絶望のドタバタコメディをお楽しみください

定時退社を諦めない

「ハァ……ハァ……! な、舐めるなよ……! 24時間営業が何だ、王女の公務が何だッ……!」

午前11時。ヴィクトリアの可憐な肉体となった俺――アレクは、血走った眼で凄まじい速度で万年筆を動かしていた。

目の前には、未だに減る気配のない書類の山。朝食の5分間で50件を片付け、新部位プロテインの試飲会を「一気飲み」で10秒で終わらせ、進捗会議では「全案件、承認ヨシ!」の4文字で乗り切った。すべては、17時の定時退社を勝ち取るため。

「素晴らしい進捗です、ヴィクトリア様。ですが……」

背後に控える侍女長が、無慈悲に次の束をドサリと置く。

「こちらは隣国との関税交渉に関する緊急書類300件です。本日中に処理を」

「これ以上増やしてんじゃねえええええ! 労基だ! 誰かこの国に労働基準法を連れてこいッ!」

涙目で叫ぶ俺の白い指先は、すでに限界を迎えつつあった。ペンを握るだけで激痛が走る。この華奢な体は、ブラック労働に耐えられるようには作られていないのだ。

一方、その頃。王宮の反対側にある騎士団執務室。

「素晴らしい……! 本当に素晴らしいわ、この筋肉はッ……!」

深夜から数えて、すでに10時間以上ぶっ続けで書類を処理しているヴィクトリア(中身:アレク)は、恍惚の表情を浮かべていた。

「これまでは100件超えたあたりで偏頭痛がしていたというのに! 今は肩凝り一つない! むしろ、大胸筋が『もっと文字を刻め』と訴えかけてくるわ!」

「ア、アレク殿……もうおやめください……」

周囲では、彼女の超人的な労働速度に付き合わされた側近たちが、泡を吹いて次々と倒れていた。部屋の空気は完全にブラック企業のそれである。

「何を情けない声を上げているの! まだ太陽は高いわ! ほら、私が新しく考案した『有給申請・即時却下システム』の魔術回路図、これを今すぐ全部署に配備しなさい!」

「ひえぇぇ……! 騎士団長が、国家規模の社畜モンスターに進化してしまった……!」

疲れを知らない最強の肉体を得た仕事中毒の王女。それは、帝国の労働環境を完全に焦土へと変える、歩く災害そのものだった。

「……ハッ、ハハハ! 勝った……! ついにやったぞ!」

16時55分。王女の執務室で、俺はインク塗れになった万年筆を机に叩きつけた。

1200件の未決済書類、すべて処理完了。

時計の針は間もなく17時。

「見たか侍女長! これが定時退社に命を懸けた男の執念だ! 俺は帰る! 今日はもう一歩も動かんぞ!」

勝利を確信し、豪奢な椅子に深く背を預けた、その時だった。

バァンッ!!!

執務室の重厚な扉が、勢いよく蹴り破られた。

「待たせたわね、ヴィクトリア! あなたが残した新規事業の予算案、すべて私の肉体(筋肉)で承認しておいたわ!」

入ってきたのは、俺自身の姿をしたヴィクトリアだった。その目は完全にキマっており、手にはさらに巨大な、厚さ1メートルはあろうかという鉄の箱を抱えている。

「な、なんだそれは……?」

嫌な予感しかしない俺に、ヴィクトリア(中身)は満面の笑みでそれを突きつけた。

「我が肉体のポテンシャルに感動してね! 勢いで**『帝国24時間労働化・第1段階』**の法案を今さっき可決してきたわ! これはそれに関連する、新たな決裁書類5000件よ!」

「ご、五千……!?」

「さあ、夜はこれからよ! 私たちの最強のシナジーで、この国を不眠不休の理想郷ディストピアに変えるのよッ!」

時計の針が17時を告げる鐘を鳴らす。

しかし、目の前には新たな絶望の山。

「ふざけんなあああああ! 俺の定時を、俺の肉体で破壊してんじゃねえええええ!!」

美少女の姿をした俺の悲痛な絶叫が、夕暮れの王宮に虚しく響き渡った

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王女、ちょっと待った!入れ替わる前に離婚をしてくれ

下書き 第3話〜定時 退社を諦めない

作成日:2026年07月18日 13時50分

更新日:2026年07月18日 14時13分

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第3話「定時退社を諦めない」をお読みいただきありがとうございます。


前作でまさかの「魂の入れ替わり」を果たしてしまった、定時退社を愛する騎士団長のアレクと、仕事中毒ワーカホリックな王女ヴィクトリア。


最強の筋肉を得て「24時間働ける!」と覚醒した王女と、華奢な美少女の体で1200件の書類に圧殺されかける騎士団長。お互いの「執念」と「肉体」が最悪の形で噛み合ってしまった結果、王宮に未曾有の労働災害ディストピアが吹き荒れます。


定時退社への執念が自らの肉体に破壊される、絶望のドタバタコメディをお楽しみください


本文

定時退社を諦めない


「ハァ……ハァ……! な、舐めるなよ……! 24時間営業が何だ、王女の公務が何だッ……!」


午前11時。ヴィクトリアの可憐な肉体となった俺――アレクは、血走った眼で凄まじい速度で万年筆を動かしていた。


目の前には、未だに減る気配のない書類の山。朝食の5分間で50件を片付け、新部位プロテインの試飲会を「一気飲み」で10秒で終わらせ、進捗会議では「全案件、承認ヨシ!」の4文字で乗り切った。すべては、17時の定時退社を勝ち取るため。


「素晴らしい進捗です、ヴィクトリア様。ですが……」


背後に控える侍女長が、無慈悲に次の束をドサリと置く。


「こちらは隣国との関税交渉に関する緊急書類300件です。本日中に処理を」


「これ以上増やしてんじゃねえええええ! 労基だ! 誰かこの国に労働基準法を連れてこいッ!」


涙目で叫ぶ俺の白い指先は、すでに限界を迎えつつあった。ペンを握るだけで激痛が走る。この華奢な体は、ブラック労働に耐えられるようには作られていないのだ。


一方、その頃。王宮の反対側にある騎士団執務室。


「素晴らしい……! 本当に素晴らしいわ、この筋肉はッ……!」


深夜から数えて、すでに10時間以上ぶっ続けで書類を処理しているヴィクトリア(中身:アレク)は、恍惚の表情を浮かべていた。


「これまでは100件超えたあたりで偏頭痛がしていたというのに! 今は肩凝り一つない! むしろ、大胸筋が『もっと文字を刻め』と訴えかけてくるわ!」


「ア、アレク殿……もうおやめください……」


周囲では、彼女の超人的な労働速度に付き合わされた側近たちが、泡を吹いて次々と倒れていた。部屋の空気は完全にブラック企業のそれである。


「何を情けない声を上げているの! まだ太陽は高いわ! ほら、私が新しく考案した『有給申請・即時却下システム』の魔術回路図、これを今すぐ全部署に配備しなさい!」


「ひえぇぇ……! 騎士団長が、国家規模の社畜モンスターに進化してしまった……!」


疲れを知らない最強の肉体を得た仕事中毒の王女。それは、帝国の労働環境を完全に焦土へと変える、歩く災害そのものだった。


「……ハッ、ハハハ! 勝った……! ついにやったぞ!」


16時55分。王女の執務室で、俺はインク塗れになった万年筆を机に叩きつけた。


1200件の未決済書類、すべて処理完了。


時計の針は間もなく17時。


「見たか侍女長! これが定時退社に命を懸けた男の執念だ! 俺は帰る! 今日はもう一歩も動かんぞ!」


勝利を確信し、豪奢な椅子に深く背を預けた、その時だった。


バァンッ!!!


執務室の重厚な扉が、勢いよく蹴り破られた。


「待たせたわね、ヴィクトリア! あなたが残した新規事業の予算案、すべて私の肉体(筋肉)で承認しておいたわ!」


入ってきたのは、俺自身の姿をしたヴィクトリアだった。その目は完全にキマっており、手にはさらに巨大な、厚さ1メートルはあろうかという鉄の箱を抱えている。


「な、なんだそれは……?」


嫌な予感しかしない俺に、ヴィクトリア(中身)は満面の笑みでそれを突きつけた。


「我が肉体のポテンシャルに感動してね! 勢いで**『帝国24時間労働化・第1段階』**の法案を今さっき可決してきたわ! これはそれに関連する、新たな決裁書類5000件よ!」


「ご、五千……!?」


「さあ、夜はこれからよ! 私たちの最強のシナジーで、この国を不眠不休の理想郷ディストピアに変えるのよッ!」


時計の針が17時を告げる鐘を鳴らす。


しかし、目の前には新たな絶望の山。


「ふざけんなあああああ! 俺の定時を、俺の肉体で破壊してんじゃねえええええ!!」


美少女の姿をした俺の悲痛な絶叫が、夕暮れの王宮に虚しく響き渡った

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