3 つきのてんしは
少々気が滅入ったルイは、荷物を片付けて備えつけ設備のドリンクサーバーに向かった。
冷たい緑茶を取り、地球の見える窓辺の席でため息をつく。
複数人の気配と自然に、意識して雰囲気を出し、ゆっくりとそちらを見た。
取り巻きを連れた白い人がいた。
白い人以外の男らは、地球を背に佇むルイの容姿に息を呑み固まる。
「なにか?」
声も響きのいい音で丁寧に出す。
190センチ超えの長身ではあるが、中性的な雰囲気のルイはめんどくさい相手には、意識しての美しさで視覚から脳をぶん殴る。
「・・・なるほど」
白い人は感心した声音で言った。
血の気の引いた白い肌、白銀の髪、瞳はブルーグレイで、白いコート。
丸い銀の縁の眼鏡にはチェーンをつけている。
身長はルイより少し低いが、体格は華奢なルイよりしっかり男性感がある。
「とんでもない美形がいると噂があってな。こいつらは、月の天使と言われている僕より美しいハズはないとやって来たわけだが・・・見ての通りだ」
固まった者共を部屋から閉め出し振り返った。
「大変失礼した。僕はガブリエル・ミューズ。環境開発局の研究員だ。君は太陽圏外からいらしているのだろう?明日出航の」
「ええ、まあ」
話が出来そうな人間と判断して、ルイは外面を作るのをやめた。
「外宇宙からの個人船は稀だから皆、興味があるのだよ。この地球圏では惑星開発は活発で無い。外宇宙はいま何処まで行っている」
「・・・百年くらいずっとアンドロメダ銀河目指してるらしいですよ」
「それは興味深い。惑星を人工的に居住化や人工衛星都市もあると聞くが」
「個人所有の居住衛星も専門企業も沢山ある。宇宙事業専門の都市国家もある。生活空域は、大銀河帝国やステラ惑星連合って大規模国家とかも・・・映像データでよければ見ますか」
「お願いする」
食いつきがいいので楽しくなったルイは、色々撮りだめていたファイルを見せてあげた。
「・・・やはり、技術は外宇宙か。地球が安定してしまってから、この地球圏は技術の停滞になってしまっている。宇宙適正で宇宙に来ても、子供が適性無く地球に降りる者も増えているのだ」
首を振って嘆く。
「僕は月産まれで判定S持ちのだから、月や火星の判定A女性からの見合いも多くて参るよ。個人でなく政府から」
「・・・へぇ」
「適性と容姿しか求められない世界は僕の求めるものじゃ無い」
「それは確かに・・・惑星環境開発局の研究員か・・・技術に興味もある。本気で転職希望なら、明日準備してきて下さい。ボスに話は通しておきます。許可するか知らないけど」
「信用してくれるんですか?」
「まぁ。俺にの見た目に惑わされない人は信用してる」




