4 潮騒
降り立った場所はからりと晴れ渡った空と纏わりつく湿度が特徴の都市だった。
太陽の日差しを浴びたシオの髪と瞳は赤紫を帯びた暗めの青。
「これが金青色」
「青いねぇ」
「似合ってるよシオくん」
「違和感しか無い」
日差しの下はより青く見える。
鏡のようなガラスに映る色彩に戸惑いまじまじ見てしまった。
しかし、劇的変化はシオだけだが他2人も色が違う。
ルイはレモネードのような金髪だし、ユージンはオレンジブラウンの彩度が上がった。
光の眩しさからかルイはいつの間にかサングラスを買ってかけているし。
「じゃ、行こう」
タクシーに乗って、住所を見せると40分ほどでその場所に着いた。
そこは空手道場である。
「ここは?」
「宇宙警察官になる前から習ってて、学生カラテで優勝経験あった父が、流派のルーツ訪ねて出会ったのが母みたいな?ここから海方向に歩いて着く海岸にいきます」
「ユージンもやってるのか空手?」
「少しだけ。大会とかはでたこと無いし、メリクリウスの整備士に有段者いて、トレーニング室で習っただけだけど」
月では行く場所に浮かない服装が原則購入でコーディネートされるため、観光客として地域を散策しながら、買い物をしたり食事をして海に出た。
「海ー!」
砂浜に白く弾ける波が繰り返し、エメラルドグリーンの海が広がっていた。
ユージンは靴を脱いで駆け出し、波に濡れた砂地に立つと波が足首までかかる。
「これが海。本当にしょっぱいのか?」
シオも靴を脱いで、海に入り指をぬらして舐め「ぺっ」している。
「キラキラしてる。知ってたけど、延々と水しかないのちょっと怖いな。生臭いし」
音を立てながら、ゆらゆら煌めき、水平線の向こうもずーっと海と言う事に、完全管理の人口天体で過ごしてきたルイは鳥肌が立っていた。
「潮の香りだよ。地球の人にとっては宇宙のほうが何もなくて怖いとこだよきっと」
ユージンは波を蹴り上げて飛沫をルイに掛けてあげた。
「やめろ、濡れる」
いい大人の男たちが無邪気に、波打ち際で海と戯れていると、海岸道にいつの間にか自転車の子供がいた。
「お兄さん達観光客?何処泊るの?」
「ペンション『星降る岬』」
「家のお客さんだね」
くりくりと大きな眼で、日に焼けた肌をしている少年はそう言った。
「ボク、帰るとこなんだ。案内するよぅ」
十年前のユージンを、全体こんがり焼いた感じの少年は人懐っこい笑顔をしている。




