1 突破
惑星エスカから星間航路は太陽系方面に向かい、オールト雲で終わる。
流動デブリ帯を超えた先に太陽系があり、木星のガニメデが太陽系の玄関口だ。
展望で見えるのは暗い銀河の闇と遠く煌めく恒星。
「シオくん。いけそう?」
ヘッドセットから聞こえるルイの声に、久しぶりの艦砲を構えてシオは応える。
「いつでも」
シュガーソルト号は現在、戦闘モードである。
オールト雲は細かな氷や岩石のデブリ群の壁である。流動している上、密度が高いため通常の宇宙船は装甲に穴の空く危険があるが、この船はシュガーソルト号だ。
艦砲でデブリ帯に穴を開け、防御力のゴリ押しで突破することに決めた。
距離を測り加速しながら突入していく。
「ネームドの準惑星、衛星は射線上に無し。10・9・8・7・6・5・4・3・2・1・発射」
ビーム砲を横薙ぎに撃ち、デブリ帯に穴を開けシュガーソルト号は進む。
抜けたそこは太陽系だ。
レーダーのモニターはデブリ帯の内側に入ったことを示しているのを確認して戦闘モードを解除した。
「あそこがカイパーベルト?デブリ帯が集約してる、なんでだろ太陽系の磁場かな」
レーダーモニターを見て進む。
「もうすぐ海王星」
大きな青い惑星が見えた。
地球圏保護区の許可証に添付された、太陽系のナビゲートシステムを作動させ、操舵しながら進む。
「次、天王星。リングがもう少し縦だから、正位置はこう?」
天王星のリングを横に見ていた艦の体勢を整える。
「薄い水色の惑星なんだな」
「次は土星」
大きなリングを持つ惑星が見えてきた。
「なるほど、リングだな」
『衛星が300を越えます。衛星の軌道を変えないように慎重に進んで下さい』
「小天体全部衛星かもしれないから気をつけろ」
『左手に見えるのが土星最大の衛星タイタンです』
星間ワープはしなくても、準光速で進めるので、地球まではだいたい5時間ほどで着く。
だが、地球圏は保護区であり、そういうわけにはいかないのだ。
「木星の衛星ガニメデで、月への許可証出してもらって地球だよ」
「来ようと思えば来れるもんだ。500光年近くあったのに」
眼前に橙のグラデーションの大気がうねる惑星が見えてきた。
木星である。
木星の衛星、イオ、ガニメデ、カリスト、エウロパ
のうちイオ以外は居住衛星である。
外宇宙の宇宙港ガニメデは宇宙警察の地球本部である。




