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物語の始まり〜冒険者ジース編〜

イベント

〜聖王国グランセルの陰謀〜


聖王国グランセルから1つの馬車が駆ける。

「早く! 急ぎなさい!」

その馬車のスピードとその御者の必死な顔色を見てただの行商馬車だと思う人はいないだろう。この馬車に乗る私の名前はクローディア。グランセル王国の第2王女だ。御者は私の信頼できる配下の1人、執事セバース・チャーンだ。


私は今かなりの危機的状況に陥っている。

聖王国が1人の宮廷魔術師によって乗っ取りを受けているのだ。父親である王は既に魔法による洗脳誘導を受けているし姉である第1王女はその魔術師に絆されてしまっている。そして私はその宮廷魔術師を糾弾しようとしたのだが……結果はこの有様だ。猫に追われるネズミのように追手から逃げ出すしかなかった。


だが私にも1つの希望がある。

山奥に住む魔女ジェシカ。

1000年に1人の天才と言われた彼女が知らない魔法は無いと聞く。彼女ならば我が父にかけられた洗脳魔法を解くヒントを知っているはずだ。

しかし彼女は十数年前に謀反の疑いをかけられて聖王国から追放となった身。私の話を聞いてくれるかどうか……。だが追い詰められた私はそれに縋るしか道はない。

私は今、皮の軽鎧を身につけており冒険者風の姿をしている。これでも剣の腕には自信があり幼い頃に騎士団長からおだてられた私は「将来騎士になる!」と我が父を困らせたものだが……まあそれは昔の話だ。

そしてこの馬車の同乗者はギルドで護衛として雇った数人の冒険者。場慣れしている歴戦の冒険者達には私の様子や雰囲気から「危うさ」を感じ取ったのか距離を取られた。

だから……はっきり言うならば……察しのよろしくない若い冒険者しか雇えなかった。自分で言うのもなんだが若くて美しいが得体の知れない私の護衛なんて引き受けるのは性欲だけで頭の足りない連中かあるいは……。

まあそんな事はいい。私は早く魔女ジェシカに会わねばいけない。宮廷魔術師の目的ははおそらく……「災厄の復活」だろうから。


ーー


僕は冒険者ジースだ。

だが元の名前は佐藤 拓人だ。日本人の僕は気付いたらゲームの中に入り込んでいてその中のキャラクターの1人になってしまっていた。このゲームはファンタジー世界を舞台にした多主人公制のフリーシナリオRPGでありジースはその主人公の1人だ。

このゲームの中で特にジース編はやり込んだからそのストーリーやイベントもよく知っている。


「誰か! ……コホン。護衛を探しています。山奥の魔女ジェシカのもとまで。」

焦っている様子を隠しながら冒険者ギルドへ駆け込んで来たのは1人の女冒険者……に扮した聖王国の第2王女クローディアだ。

聖王国グランセルの王が魔族の国の陰謀により洗脳を受けていてその陰謀を阻止するというイベントだ。そして陰謀に気づいた第2王女クローディアは山奥に住む魔女ジェシカに助けを求めて洗脳魔法を解く方法や宮廷魔術師の正体を暴く方法を教えてもらう。

そして僕は今は護衛としてクローディア王女の追っ手から逃げる馬車に乗り込んでいる。しかしクローディア王女は美人だな。ゲームでは一枚絵やドット絵だったのだが現実で見るとやはり違う。

綺麗な青い髪をうなじの所で縛っておりどこかお転婆な雰囲気を持ちながら高貴な雰囲気が漏れ出ている。


そしてこのクローディアにかかる追手はかなり強い。暗器を主武器とした特殊部隊で数は5人程だが精鋭でパーティーメンバーや装備が揃うまではこのイベントをやってはいけないと言われている。

だが僕の手にはゲーム中最強の武器と言われる聖魔剣デュランダールがある。この武器は様々なわらしべイベントを経てゲームの終盤頃に聖王国グランセルの八百屋の爺からゲット出来る剣だ。

だが俺はそのわらしべイベントを無視して……はっきり言えば盗んで来た。まあ世界の危機を救うためだから仕方ないよね?

そしてこの剣の性能はいたって高い。

基礎パラメータアップに加えて自動体力回復、自動魔力回復、自動攻撃、自動防御に加えてこの剣を一振りすれば範囲魔法攻撃を放つ事が出来る。


このイベントにおける強敵は追手5人くらいしか居ないし、この聖魔剣デュランダールがあれば楽に倒せる筈だ。そして僕がこのイベントをする1番の理由だがイベントクリア後になんとこの王女クローディアがパーティーメンバーになるのだ。ぐふふっ、こんな美人と旅に出られると考えると自然と笑いが溢れる。あんな事やこんな事ももしかしたら……ぐふふっ。


俺達を乗せた馬車は山脈ふもとの街道を走る。もうそろそろ山道に入るはずだ。

「もう少し走ったら街道から外れて山道に入ります。皆さん、魔物の襲撃に備えて下さい。」

とクローディアが言うものの魔女ジェシカの家までの道中は魔物が出現しない。彼女が言う備えとは魔物ではなく……。


と、その瞬間、馬車に大きな衝撃が走った。木造の馬車の屋根が吹っ飛んで馬車の一部が燃える。どうやら火の魔法を使われたようだ。


皆、慌てて馬車から飛び出す。

馬車から降りて目の前に居たのは黒ずくめの5人の集団。全員がそれぞれ馬に乗っている。

「クローディア様、王女であるあなたに王への謀反の疑いがかけられています。城へお戻り下さい。」

美人の女冒険者が実は王女だという事実を突きつけられて周りの冒険者達がザワザワし始める。

「なっ! 謀反は! あなた達の方でしょう!」

クローディアは怒りは露わにする。

「クローディア様。しかも謀反の自覚が無いとは。これは困った事だ。……やれ。」


黒ずくめの集団が攻撃を仕掛けてきた!

「くっ! 皆さん! 奴等は聖王国転覆を目論む者達です! 倒して下さい!」

クローディアは冒険者達に声をかけるが……

「えっ。まじかよ……。」

「話が違うじゃねーか!」

他の冒険者達は状況についていけずに戦々恐々としている。

よっしゃ! ここは俺の出番だ。俺の聖魔剣デュランダールが火を噴くぜ! ギッチョンチョンにしてやんよーー! と意気込んでいたのだが……


「ジェシカよ。漁夫の利という奴のようだ。」

「ヴァイス。その言い方はどうかと思うよ。」


白銀色の甲冑を身につけた銀髪の男と赤いドレスローブを身につけて顔に大きな傷のある金髪の美女が「空から急に」現れた。しかも美女の方の名前はジェシカだって!? 魔女ジェシカも同じ顔の傷があってかなりの年のババアのはずだが。

それとゲームにこんなキャラクターはいなかった筈だぞ! どういう事だ? 僕の知らない隠しキャラクターか?


「どうやら襲われているようだ。襲撃者は無力化後に捕獲だ。そして……被襲撃者は「保護」する事としよう。」


この人達いったい誰ー!?


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