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ガジェット・ワールド/プロローグ  作者: 饂飩滲みるは
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第ジュッゴォォォ章

はい!更新です。応援もお願いします。

 邦之は『ガッキーン!』という鋭い衝撃が自分の側頭部に加えられたのを、クラクラする頭で認識していた。亮介が作ってくれた防空頭巾もどきを被っていなかったら、危うくその一撃で意識をたたき出されていたところだ。


『痛えな! コノヤロウ』

 邦之は咄嗟に自分にヒールを唱えた。


 すると、辛子胡椒弾でやられた視力も回復し、目の前に木製のバットを振りかぶった人相の悪い男が立っているのに気が付いた。


『こいつか! 今、俺を殴ったのはこの腐れ野郎か!』

 邦之は無性に腹が立って、二発目のバットの攻撃を左手の肘でかわすと、男の顔面を右手で鷲摑みにして『毒殺』をお見舞いする。


 男は唖然とした顔で自分の喉笛を押さえ、バットを取り落として苦しそうにもがき始めた。


 邦之がすかさず辺りに視線を送ると、周りを6人の男達に囲まれていた。全員20代前半の年恰好に見える。肉体強化を施しているに違いない。


 その内の一人は毒で戦闘不能にしたが、残りの五人の内二人が洋子を、三人が邦之をターゲットに定めて迫ってくる。可奈は初撃で意識を無くしたのか、力なく地面に横たわっていた。洋子は流石に元自衛隊員だけあって、ビルの壁に背を預けて両手を十字に交差させて男達の攻撃をガードしている。


 邦之は腰から振動刃の出刃包丁を取り出すと、彼に向かって振り下ろされてくる2本のバットを根元から切り飛ばす。そして返す刀ならぬ出刃包丁で一番左の男の喉笛を掻き切った。男は喉から血泡を噴出してヨロヨロと後ろに後ずさる。


『ザマア見ろ』

 と溜飲を多少下げた邦之だったが、時間差で攻撃してきた右端の男の痛撃を右の脇の下に食らってしまった。『グキッ』と嫌な音がしてアバラが2~3本持っていかれた感覚がした。邦之はわき腹の鈍痛を無視するように、出刃を振り回して右端の男の右手を肘の先から切り飛ばした。


「ウガァ!」

 右端の男が上げる悲鳴を心地よく聞きながら、手に持った出刃を真ん中の男の胸に深々と突き立てる。


 その間2秒足らずだった。肉体強化レベル12の体力でごり押しした戦闘だ。体術など習った事も無いから、全て我流でまったく美しくない。『ラブ』に戻ったら洋子に教えてもらおうと本気で考えた。


 邦之は再び自分にヒールを掛けると、洋子の方を向いた。


 洋子は邦之が4人の男を倒している間に、4~5回殴られていたが、まだ両手で頭を庇って意識は手放していないようだった。その代わり、両手は肘から先に新しい関節が幾つも出来たように折れ曲がっている。さぞや痛いことだろう。


 邦之は目を吊り上げて、洋子を襲っている男達に飛び込んで行った。


「てめえら、俺の女に何さらしてんじゃ!」

 そういう怒声と共に、手前の男の首を出刃で刈り取った。刈られた首の付け根からは1メートル近い血の噴水が吹き上げ、ビルの壁面にシュールな文字を書いた。その向こうに居た男はギョッとして迫り来る邦之を見たが、反応する事が出来ず、邦之に首根っこを掴まれて『毒殺』の攻撃を浴びる。


 邦之は6人の男全員を殺すか戦闘不能に陥らせると、間髪を置かずにビルの壁から道の中へ2~3メーター飛び出すと、背中の矢筒から『爆発』の矢を引っこ抜き、力を加減しながら3射ほど連続して撃つ。


 矢は次々と屋上で爆発して『ウギャー』という男達の悲鳴が聞こえてきた。

 そして2呼吸ほど、後続の攻撃が来ないか神経を尖らせて確認した。その間邦之はレベルが2つほど上がった。


 邦之は追撃が無いのを確認すると、壁際に倒れている可奈と洋子に走り寄って慌ててヒールを掛ける。可奈は直ぐに意識を取り戻し、泣きべそをかいていた洋子の両腕も何事も無く修復された。二人は嬉しそうに邦之に感謝をする。


 邦之は二人を立ち上がらせると、撃退した男達の方を振り返った。


 襲撃してきた6人の内2人は既にガジェットになって死亡していた。

 右腕を切り落とされて地べたで『あがががが……』と唸っている男以外は5分以内に死ぬだろう。


 邦之は洋子に出刃を渡して、片腕の無い男以外の3人に止めを刺させる。その間に邦之は片腕の男の左手を踏みつけ、男を動けないように拘束した。


「邦之様、レベルが6つも上がりました」

 背後から洋子の声が言った。


「そうか、なら、散らばったガジェットを回収して直ぐに肉体レベルを上げるんだ。念のためにレベルアップボーナスは1つ残しておけ」

 亮介は男を見下ろしたまま、後ろも見ずに洋子に指示を出す。


「さて、お前だが……」

 邦之は大量の出血と激痛で青ざめた顔をしている男に声を掛ける。


「何故俺達を襲ったんだ? しかも刃物を使わなかったな? 生け捕りにするつもりだったのか?」

 邦之は不敵な笑みを浮かべて言った。


「…………」

 男は邦之と視線を合わせようとせず、だんまりを決め込んだ様だった。邦之はわざとらしく大きなため息を付き、いきなり目にも留まらぬ速さで男の両肩に矢を撃ち込むと、その身体を文字通り地面に釘付けにしてしまった。


「ウゴォォォ……」

 男は獣の様な声をあげ、目をカッと見開いて苦悶の形相で邦之を見上げる。


 邦之は男の左腕から自分の足を退けると、近くに転がっていた男の右手を拾い上げた。そして、切断された面をくっつけ合わせ、男にヒールを掛ける。すると男の右手は元通りにくっ付いていた。


 男は『えっ?』というような驚いたような表情で邦之を見上げる。


「良かったなあ、腕がくっ付いて……俺は医者だから治すのは得意なんだ」

 邦之はニヤニヤしながら男に声を掛ける。だが、その目は笑っていなかった。


「お前にチャンスをやるよ」

 邦之は優しく声を掛ける。


 洋子は邦之の意図を察したのか、背後から出刃を邦之に渡す。


「身体の色んなとこを次々と切り落としてやる。その度にくっ付けてやるから安心しろ。お前はその都度、様々な痛みを体験するんだ。 どうだ? 凄えチャンスだろ? 普通の人間じゃめったに体験できねえよな?」


 邦之がそう告げると、男の額からじわりと汗が滲み出す。目は恐怖で皿のように見開かれ、顔色は青を通り越して白くなってきた。


 邦之は笑顔のまま、出刃をつっと男の顔に近づける。

「わ、分りました! 御免なさい! 何でも聞いてください」

 男は泣きながら邦之に懇願した。



鋼伝寺邦之・総合レベル18

 肉体強化レベル12

 スキル=暗視・ステータス・アナライズ

 固有能力・ヒール・ドレインヒール・聴診・麻酔・毒殺

 レベルアップボーナス、8


高木可奈・総合レベル1

 肉体強化レベル1

 レベルアップボーナス、0


今田洋子・総合レベル7

 肉体強化レベル6

 レベルアップボーナス、1




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