王都の使者と、聖域の招待状にゃ!
「みゃう! お兄ちゃん、悪いおじさんたちが来ても、私のおリボンと大魔法で、みーんなお花畑に変えちゃいますの!」
ニナの優しい膝の上で、最高級の真っ赤なレースと大きなリボンを誇り高く揺らしながら、りなが小さな可愛い肉球をポンと突き出した。その肉球からは、土壌の微生物バランスを整え、精霊の加護を定着させる、キラキラとした大地の魔力粒子がリビングいっぱいに広がる。
ニナもお腹を優しく撫でながら、穏やかな笑みでレオとキラに向かって頷いた。
「そうよ、レオさん。私たちにはシロちゃんとりなちゃん、互いの領域を尊重し、魂の共鳴によってこの町を豊かに育て上げてきた大切な家族がついているもの。彼らは単なる猫じゃない。この国そのものを体現する、誇り高き文明の担い手よ。王都の傲慢さごときに、私たちの絆が揺らぐはずないわ!」
家族の中に芽生えた新しい命。そして、人と猫が対等な契約関係を越え、家族として絆を深めていくこの聖域。
王都がどれほどの権力や軍事力を持っていようとも、この『猫の国』に構築された、魂のレベルでの完璧な信頼関係を崩すことなど不可能である。キラは穏やかな気配の中、りなの頭を優しく丁寧に毛繕いしてやりながら、町を覆う「守護の結界」をさらに強固なものへと書き換えていた。これは単なる防衛ではない。王都の傲慢な特使が足を踏み入れた瞬間に、彼らの無知を露呈させるための、知的な罠である。
町のはずれの街道からは、王都の威信を掲げた、煌びやかで傲慢な特使の一団がこちらへ向かってくるのが見えていた。家畜の群れを引き連れた長いキャラバンの列の先頭にいる彼らは、自分たちが王都という絶対的な権力を背景に、この「辺境の猫の町」を従えられると信じて疑っていない。
しかし、彼らを迎える『猫の町』の入り口では、首に誇り高き『赤の首輪』をキリッと巻いた何百匹もの魔法猫たちが、一糸乱れぬ知的な眼差しで、彼らを見下ろしていた。それは、ただの猫の集まりではない。文明の最先端を体現する、誇り高い先住民の軍団である。
いつものポカポカ広場。
レオとニナ、町長、精度高い情報網を持つボス副校長を交えた井戸端会議の中央で、キラは、お兄ちゃんを信じ切って「みゃう〜」と幸せそうに丸くなるりなを、フワフワな白い体で優しく包み込んでいた。
(王都の技術不足を、俺たちの富で埋めさせてやる義理はない。特使の者たちよ、我が聖域に足を踏み入れたことを、骨の髄まで後悔させてやろう。俺たちの文明と誇りは、金貨や暴力で買えるものではないということを、その身をもって証明してやる)
集まった人間と猫たちの、絶対的な信頼に満たされた満開の表情に囲まれながら、影の総大将キラは、至高の幸福を噛みしめながら静かに目を細めるのだった。
王都の策略を前に、キラの『大人の知恵』と『積み上げた文明の力』が今、幕を開ける――!!




